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ドイツ俳句と季節の詩
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年5月15日
- 書店発売日
- 2023年5月16日
- 登録日
- 2023年4月25日
- 最終更新日
- 2023年5月23日
紹介
明治以降、日本の俳句は翻訳と紹介の時代を経た後にドイツ語圏の一般の人々に知られるようになる。本書は、ドイツにおける俳句受容の歴史から文化的背景を解説すると同時に、古典から現代までの日独両言語による俳句の具体例と「季節の詩」の紹介を加えた「ドイツ俳句歳時記」といえる一冊。
目次
はじめに(Vorwort)
序論(Einführung)――ドイツの俳句事情(日・独)
第1章 ドイツ俳句概観
異文化間の総合――ドイツにおける日本の俳句
aus der Vorlesung von Professor Dr. Dietrich Krusche. 1984.
第2章 ドイツ語俳句・小史
Eine kleine Geschichte des deutschsprachigen Haiku.
コラム1 バート・ホンブルクの月――日独俳句大会に参加して
第3章 ドイツ歳時記の試み――ドイツ語俳句を手がかりとして
Ein Versuch zum Deutschen Jahreszeitenlexikon‒Anhand des deutschsprachigen Haiku-
第4章 現代ドイツ語俳句選集――独日。100の作品。
100 deutschsprachige Haiku von heute, deutsch und japanisch.
第5章 オーストリア俳句への道
Der Weg des österreichischen Haiku
コラム2 葉道・リヒター、写真展
第6章 ドイツ連歌とカール・ハインツ・クルツ
Das deutsche Renga und Carl Heinz Kurz
第7章 独訳された現代日本の俳句
Gegenwärtige japanische Haiku, ins Deutsch übersetzt.
コラム3 (書評)渡辺勝『比較俳句論――日本とドイツ』
第8章 四季の詩〈独・日〉45の詩
45 Vier-Jahreszeiten-Gedichte, deutsch und japanisch.
季語・季節の詞・索引 Liste der Jahreszeitenwörter
西欧における俳句関連略年表(ドイツ語圏を中心に) Zeittafel über das Haiku in den deutschsprachigen Ländern
参考文献一覧 Literatur-Verzeichnis
おわりに Nachwort
前書きなど
はじめに(Vorwort)
本書は著者の30年間の研究を1冊にまとめたものです。タイトルの「ドイツ俳句」とは、正確に書けば「ドイツ語俳句」、すなわち、ドイツ語圏の国々、ドイツ、オーストリア、スイスの人々の俳句です。本書では彼らのできるだけ新しい俳句を紹介してみました。これらの作品に「季節の詩」を付け加えることで、いわば「ドイツ俳句歳時記」を試みました。ドイツ語圏には「俳句歳時記」のような本はないからです。ただし、このような試みがドイツ語圏の国々に受け入れられるかどうかはわかりません。日本側からのひとつの提案です。
俳句は世界中の国々でつくられ、それぞれ独自の発展をとげていて、かならずしも季語が必要ではないことも承知のうえです。
本書で使った文章のおおかたは、勤務先の神戸学院大学の研究雑誌に発表したもので、文章も固く、古いものも多いので、読みづらいかも知れません。また、やたらとドイツ語が出てきますが、これはドイツ語俳句の作者にも読んでもらいたいからです。日本の読者の皆様はドイツ語の部分は読みとばしてください。ただし、引用した俳句を5-7-5に翻訳しましたので、それをお読みいただければ少しは読み甲斐があるかも知れません。また、「季節の詩」の多くは日本でもよく知られた作品ですから、原文と日本語訳を照らしあわせてくだされば、多少は楽しんでいただけるのではないかと思います。
序論はドイツ俳句とはどいうものかを短くまとめたものです。第1章と第2章ではその歴史を、第3章ではいくつかのドイツ俳句の具体例を引用して「ドイツ俳句歳時記」を試みました。第4章では日本で未だ紹介されていないドイツ俳句を100句選び、できるだけ日本語の俳句に翻訳してみました。ドイツ語の5-7-5を意訳して、日本語の5-7-5に仕立てたものです。第5章はオーストリアの俳句を独立して取り上げました。そもそもドイツ俳句が生まれた国はオーストリアだからです。さすがは、かつてのハプスブルク帝国だと思います。第6章ではドイツ連歌のことを書きました。ドイツ語圏ではまず川柳が、次に俳句、そして連歌がつくられるようになりました。第7章では独訳された現代日本の俳句を紹介しました。最近まで日本の俳句といえば、もっぱら芭蕉、蕪村、一茶などの古典俳句しかドイツ語圏には知られていないからです。残念ながら、ドイツ語俳句の作者たちのほとんどは、日本語ができないのでなおさらです。一息入れていただくために、章の合間に三つのコラムを挟みました。最後に著者の独断で季節のことば、あるいは季語を選んでみました。
以上が本書の内容です。まず序論を読んでいただき、あとは興のおもむくままに読んでいただければ幸いです。
上記内容は本書刊行時のものです。