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マイノリティの星になりたい 李 大佑(著) - 明石書店
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マイノリティの星になりたい (マイノリティノホシニナリタイ) 在日コリアン教師〈本音と本気〉の奮闘記 (ザイニチコリアンキョウシホンネトホンキノフントウキ)

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発行:明石書店
四六判
288ページ
並製
価格 2,000円+税
ISBN
978-4-7503-5586-3   COPY
ISBN 13
9784750355863   COPY
ISBN 10h
4-7503-5586-0   COPY
ISBN 10
4750355860   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年4月25日
書店発売日
登録日
2023年4月17日
最終更新日
2023年5月23日
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紹介

在日コリアン3世として京都に生まれ育った著者は、家族に見守られ、仲間と先生に支えられ、ラグビーに打ち込むなかで将来をひらいていく。お決まりの偏見・差別にさらされながらも、常にポジティブに、でも時に葛藤し、自分を見つめるなかで掴んだ教師への夢。自らの半生と、少数者という視点から培った教育への思いを、ユーモアと情熱をこめて綴るエッセイ。

目次

プロローグ

第1章 ビビりでいちびり
 ハンメのこと
 「民族マイノリティ」になる
 同化か排斥か
 ビートルズクイズ
 民族名で生きる自分
 強迫観念
 初めてのカミングアウト
 日本人か韓国人か

第2章 たくさんの出会い、人生の岐路
 名前の「儀式」
 生涯の友
 ラグビー部に入る
 ありのままの自分
 宝が池でのセレクション
 先生から受け取った肯定感
 進路

第3章 中学校教師になりたい
 伏見工業高校ラグビー部
 夏合宿
 見つけた夢と目の前の挫折
 夜遊びの中で
 母校へ
 校長先生の熱波
 小学校へ行け

第4章 外国籍教員として
 「在日」って?
 “わからない”ということがわかった
 採用試験合格
 国旗・国歌を考える
 辞令交付式で

第5章 小学校で悪戦苦闘
 何もかもうまくいかない
 「李大佑にしかできないことがある」
 チョーセンが先生に変わる日
 子どもが背負う重荷
 教育は一人ではできない
 同和問題と向き合う
 「李先生やったら わかるやろ」

第6章 タグラグビーで可能性の扉を開く
 自己投資
 日本一の学校にしたる
 全国“大海”へ
 将来の豊かさにつなげるために

第7章 教師としての自己変革
 ラグビーなしで子どもと関わる
 むなしい家庭訪問
 海の家
 なぜ登校させたいのか
 児童養護施設の子どもたち
 母の育った町と夢の舞台と
 教育の結晶

エピローグ

 あとがき

[解説]公立学校の外国籍教員[中島智子]

前書きなど

プロローグ

 在日コリアン2世の父と日本人の母との間に生を受けた私は、現在、中学校教師をしている。私が今ここにいて、この本を世に出すことができたのは、40数年にわたり一貫して、明るく温かく私を照らし続けてくれた両親のまなざしのおかげだ。それが栄養素となり、この本を書くための馬力を育んでくれたのだ。
 この本は、私が家族や地域の中で成長し、多くの仲間や良き先生と出会い、抱いた夢をつかむまでの道のりを描いている。ここには私自身を育んでくれたこの社会のまなざしの在りようが綴られている。そして、私に与えられた温かさをもって、日本の社会を私自身がまなざし返した変遷が綴られている。どうまなざせば、一人の人間が温かさに満ちた生を拓き、そうした温かさで溢れる社会を築いていくことができるのかが綴られている。
 タイトルにある「マイノリティ」は決して少数者を指すのではない。私は物心がついてから20数年は「いつか在日コリアンの星になりたい」という思いを漠然と抱いていたような気がする。輝かしい活躍をして、同胞に勇気や元気を与える存在になりたい、と夢見ていた。しかし年齢を重ねるにつれて、それまで自分が社会構造のどこに位置づけられてきたのか、その社会構造にはどのような問題が潜んでいるのか、そしてその構造の在りようを形づくっているものは何なのかという問いを、自らの内側から搾り出せるようになった。
 そこから徐々に、自分自身が誰にとって輝きを放ち勇気や元気を与える存在でいたいのか、在りたいのか、といった思いの輪郭が浮かび上がり明確になっていった。私は在日コリアンはもちろんのこと、この日本社会において息苦しさを感じている人や傷ついて生きてきた人を明るく照らす星に、いつかなりたい。その息苦しさや傷つきは、人によって異なる。その意味において誰もがマイノリティ性を帯びていると考え、その全身全霊の思いをタイトルに込めたつもりだ。
 現在の日本の社会の中で、生きづらさを抱えている人や葛藤から抜け出せない人は少なくない。そんな人たちにこの本を読んでほしい。これまで、孤独感や時には拒絶を感じて生きざるを得なかった人に、これから、生きていく先を照らす光が見えてこない人にこの本を読んでほしい。
 そして、これまでもこれからもずっと他者に寄り添い、励まし、支え続ける方にこの本を届けたい。あなたのまなざしは、私のような弱く不安定な者にとって何にも代えがたい生きる力の源泉であり、土壌を育む役割を果たしてくれている。そんな感謝の想いとともに、届けたい。
 この本を通して、あなたの人生に温かさが呼び起こされたなら、こんなにもうれしいことはない。そうなったとき――あなたが私にとって一つの星になることは間違いないからだ。

著者プロフィール

李 大佑  (リ テウ)  (

1980年、京都市伏見区生まれ。京都市立伏見工業高校、花園大学社会福祉学部卒業。現在、京都市立向島秀蓮小中学校教員。
ライフワークは講演活動、趣味はJ-POP名曲採集。
好きな言葉は、「常に風を背に受け 顔には太陽の光を 運命の風に乗って 星と踊れるように」。

上記内容は本書刊行時のものです。