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女性の視点でつくるジェンダー平等教育
社会科を中心とした授業実践
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年3月25日
- 書店発売日
- 2023年3月16日
- 登録日
- 2023年2月1日
- 最終更新日
- 2023年4月3日
紹介
社会の姿を反映する社会科教育に女性の姿が見えない。この現状を変えるには何が必要か。社会科とジェンダーに関わる道徳、性教育について中・高・大学で行なった授業実践の成果と課題、教材を示し、その有効性を検証し、ジェンダーに関する授業普及を目指す。
目次
はしがき
第1部 女性教員が見る社会と教育の現状と課題
第1章 なぜ日本はジェンダーギャップが大きいのか――ジェンダーギャップ指数から見る世界の政治と経済[金玹辰]
1.はじめに
2.GGIの教材化――女性が見えない政治と経済
3.ジェンダーギャップに気づく授業実践
4.おわりに――女性が活躍できる世界を目指して
第2章 小学校社会科でジェンダーレス思考を育むにはどうすればいいか[梅田比奈子]
1.はじめに
2.アンコンシャスバイアスが示すこと
3.仕事に関する子どもたちの捉え
4.小学校社会科の授業で
5.おわりに
第3章 教員を目指している大学生はどの程度、性について知っているのか[片岡千恵・泉彩夏]
1.現代の日本における性に関する課題と女性
2.学校教育全体を通じて教科等横断的に進める性に関する指導
3.学校における性に関する指導の一層の充実に向けて――教員養成の視点から
第4章 検定道徳教科書においてジェンダーバイアスは解消されたのか[田中マリア・細戸一佳・宮本慧・馮楠]
1.はじめに
2.「生命の尊さ」(D-19)に関する資料の特徴
3.「よりよく生きる喜び」(D-22)に関する資料の特徴
4.おわりに
第5章 なぜ社会科免許が取得できる学部に女子学生が少ないのか[國分麻里]
1.はじめに
2.女子高生の学部選択
3.女性社会科教員の現状
4.授業概要
5.大学生の認識分析
6.おわりに
コラム① 変わりゆく学校制服
コラム② ポケモンの主人公はだれ?[小林亜唯]
第2部 中・高の女性教員がつくる新しい社会科授業
第6章 男子生徒は「アテネの家族」から何を学んだのか――ジェンダーの視点から見る世界史授業[荒井雅子]
1.はじめに
2.教材
3.実践報告
4.生徒の認識
5.おわりに
第7章 若い女性に期待された戦争での役割とは何か――「慰問文」を教材に[熊本秀子]
1.はじめに
2.授業の概要
3.授業の結果
4.考察と今後の課題
第8章 なぜ指導的地位の女性は増えないのか――女性の選択肢とジェンダー規範について考える授業[石本由布子]
1.はじめに
2.指導的地位の女性をめぐる現状
3.勤務校の現状―中等教育学校における男女比―
4.授業実践内容
5.生徒の変容
6.おわりに
第9章 なぜ根強いジェンダー格差があるのか――認知バイアスの視点で考える[塙枝里子]
1.はじめに
2.背景および先行研究
3.授業の対象と概要
4.単元指導案
5.学習指導案
6.授業の詳細と分析
7.前提条件を疑う視点を持とう
8.今後の課題
第10章 中学生は子どもの貧困をどのように考えるか――ジェンダーとケア責任の視点を加えて[升野伸子]
1.はじめに
2.中学校公民的分野 社会権での授業
3.授業構成の視点
4.おわりに
あとがき
前書きなど
はしがき
社会科教育に女性の姿が見えないという理由から研究会を始め、2018年に共著で『女性の視点でつくる社会科授業』(学文社)を出版した。それまでも女性やジェンダーに関する授業実践を紹介した文献はたくさんあったが、小・中・高の社会系の授業実践をこうして一冊にまとめたものは初めてであった。社会科の女性教員が自らのフィールドで授業実践を行いながらその有効性を検証し、社会科で「女性の見える授業」を提案した。
この刊行から5年が過ぎ、この間も研究会を継続してきた。それまでのメンバーに加えて、社会科と関係の深い性教育や道徳の教員も参加し幅が広がった。メンバーの授業構想発表だけでなく、コロナ禍での女性や子どもの状況、学校でのLGBTQに関する専門の方をお呼びして話を聞くなど、時代に合わせた話題を皆で共有してきた。この5年の間、学会レベルでも目に見える変化があった。日本社会科教育学会では社会科とジェンダーに関する課題研究が全国研究大会で行われ、全国社会科教育学会ではジェンダーバランスに配慮した役員構成に言及する会長挨拶を聴けるようになった。
しかし、授業実践はどうであろうか。意識の高い教員が以前からジェンダーに関する授業実践を行っているものの、この5年でその数が目に見えて増加したという実感はない。授業実践は難しいのであろうか。そうであるならば、まだまだ不完全ではあっても学校現場の様々な場所から多様な授業実践を積み重ね、それらを発信し続けその可能性を示していくことに価値があるのではないか。こうした問題意識から本書を刊行することにした。本書の特色は、次の2点である。1点目は、多くの者が自分の所属する中・高・大のフィールドで授業実践を行い、その成果と課題、教材を示しながらその有効性を示していることである。これは第1部での大学での授業実践、第2部の中・高での授業実践が該当する。2点目は、社会科と関連のある性教育や道徳の内容を織り込んでいることである。これは第1部に当てはまる。
2018年に刊行した前書を、まずはのろしを上げた本だと多くの人に説明してきた。本書はその続編である。本書を引き金として、その他の場所からもこうしたのろしが数多く上がるのを期待している。
上記内容は本書刊行時のものです。