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言語を仕分けるのは誰か 貞包 和寛(著) - 明石書店
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言語を仕分けるのは誰か (ゲンゴヲシワケルノハダレカ) ポーランドの言語政策とマイノリティ (ポーランドノゲンゴセイサクトマイノリティ)

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発行:明石書店
A5判
232ページ
上製
価格 4,500円+税
ISBN
978-4-7503-5102-5   COPY
ISBN 13
9784750351025   COPY
ISBN 10h
4-7503-5102-4   COPY
ISBN 10
4750351024   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0080  
0:一般 0:単行本 80:語学総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年11月15日
書店発売日
登録日
2020年10月23日
最終更新日
2021年4月13日
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紹介

本書ではポーランドの言語状況を、ポーランドにおけるカシューブ語、シロンスク語、レムコ語といったマイノリティ言語を対象として、マジョリティ言語であるポーランド語話者により形成される意見・意図を含めて社会言語学的に分析し相対的に記述する。

目次

 はじめに

第1章 序論―言語の不可算性と言語分類―
 1.1 問題提起
 1.2 方法論
  1.2.1 分類を体現する装置としての名称
  1.2.2 言語分類の基準としての言語学、方言学:言語学的分類
  1.2.3 言語分類の基準としての言語政策:政策的分類
  1.2.4 言語学的分類と政策的分類の対照
 1.3 序論の総括:本書の目的と本章のまとめ
  1.3.1 言語学と言語政策の対照研究とその必要性
  1.3.2 目的(1):政策的分類が言語学的分類に与えた影響を明らかにすること
  1.3.3 目的(2):政策的分類の意図を明らかにすること
  1.3.4 本書におけるマイノリティ集団の位置付け

第2章 研究対象の選出
 2.1 本書における「言語」というタームの使用方法
 2.2 研究対象の3言語:カシューブ語、シロンスク語、レムコ語
 2.3 研究対象3言語の基本情報
  2.3.1 カシューブ語
  2.3.2 シロンスク語
  2.3.3 レムコ語
 2.4 研究対象3言語の基本情報のまとめ

第3章 言語学的分類
 3.1 タームの間のヒエラルキー
  3.1.1 「言語」と「方言」
  3.1.2 「エトノレクト」
  3.1.3 言語記述とターム選択の非関連性
 3.2 カシューブ語について
  3.2.1 カシューブ語の研究史
  3.2.2 カシューブ語の言語学的分類
 3.3 シロンスク語について
  3.3.1 シロンスク語の研究史
  3.3.2 シロンスク語の言語学的分類
 3.4 レムコ語について
  3.4.1 レムコ語の研究史
  3.4.2 レムコ語の言語学的分類
 3.5 第3章の総括
  3.5.1 コーパスの記述と言語学的分類の非関連性
  3.5.2 言語ごとに見る言語学的分類の揺れ:多様性と背景

第4章 政策的分類
 4.1 ポーランド共和国のステータス計画と国勢調査の結果
  4.1.1 憲法とポーランド語法
  4.1.2 マイノリティ法
  4.1.3 国勢調査の結果(2002年、2011年)
 4.2 マイノリティ法の背景:欧州評議会の憲章と枠組条約
  4.2.1 憲章と枠組条約の概要
  4.2.2 憲章と枠組条約における「言語」と「マイノリティ」
 4.3 マイノリティ法の分析
  4.3.1 ステータス計画分析の方法論:法令内的問題と法令外的問題
  4.3.2 法令内的問題(1):「マイノリティ」と「マイノリティ言語」
  4.3.3 法令内的問題(2):地域言語/マイノリティ言語の不自然な区分
  4.3.4 法令外的問題(1):使用されていない言語
  4.3.5 法令外的問題(2):カシューブ問題
  4.3.6 法令外的問題(3):シロンスク問題
  4.3.7 マイノリティ法におけるレムコ人(語)の位置付け
 4.4 第4章の総括
  4.4.1 マイノリティ法による分類の意図
  4.4.2 多言語主義を標榜する政策の選択性・疎外性

第5章 結論
 5.1 これまでの議論の振り返り
  5.1.1 結論(1):マイノリティ法が言語学的分類に与えた影響
  5.1.2 結論(2):言語学的知見から見るマイノリティ法の背景と意図
 5.2 本書全体の総括および今後の研究課題

第6章 [補章]マイノリティ法全文訳

 参考資料一覧
 おわりに

前書きなど

はじめに

 (…前略…)

 我々はこうした言語分類を個人レベルでも日常的に行っているが、同時に、社会で共有されている言語分類を受動的に利用してもいる。言語分類は集団的に受容されなければ成立し得ないからだ。すなわち、「どの言語がどのように分類されているか」という観点を導入すれば、特定の社会全体で共有される言語観を(すべてとは言わないまでも)明らかにすることが可能である。
 本書はこの問題意識をもとにポーランド共和国の言語状況を記述した。ポーランドも日本に似て、「単一言語国家」と見なされることが多いが、実際にはマイノリティ(民族的少数者あるいは少数民族)を軸とする言語問題が存在する。それらは言語分類の揺れに起因する部分が大きい。つまり、マイノリティの言語を「独立の言語」とするか、他の言語の一部、すなわち「方言」と見なすか、議論が分かれる場合が多々見られるのである。
 以上の問題意識のもと、本書では、ポーランド国内のカシューブ語、シロンスク語、レムコ語を研究対象とした。これらの言語の分類は、言語内的(構造的)特徴によって決定されるのではなく、隣接するマジョリティ言語(ポーランド語、ウクライナ語)との関係性によって決定される。筆者は本書において、そのような言語間の関係性を研究史と言語政策から明らかにしていく。

 (…後略…)

著者プロフィール

貞包 和寛  (サダカネ カズヒロ)  (

1988年佐賀県生まれ。東京外国語大学外国語学部ポーランド語専攻卒業。ポーランド政府奨学金奨学生、日本学術振興会特別研究員(DC2)を経て、東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。
【近著】
『ウクライナを知るための65章』(明石書店、2018年)第18章「ウクライナ、ルシン、レムコの多層的な関係――国家の隙間に生きる人々と言葉」
【論文】
「ポーランドのマイノリティ法の批判的分析――シロンスク地方の言語問題を例として」『言語政策』15号、1-30頁、2019年。
“The International Distinction Between a Regional Language and a Minority Language in Poland’s Minority Act” Contributions to the 22nd Annual Scientific Conference of the Association of Slavists, vol. 22, pp.218-225, 2019.

上記内容は本書刊行時のものです。