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未来を創る人権教育 志水 宏吉(編著) - 明石書店
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未来を創る人権教育 (ミライヲツクルジンケンキョウイク) 大阪・松原発 学校と地域をつなぐ実践 (オオサカマツバラハツガッコウトチイキヲツナグジッセン)

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発行:明石書店
A5判
320ページ
並製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-7503-4892-6   COPY
ISBN 13
9784750348926   COPY
ISBN 10h
4-7503-4892-9   COPY
ISBN 10
4750348929   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0037  
0:一般 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年9月20日
書店発売日
登録日
2019年9月13日
最終更新日
2019年10月11日
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紹介

大阪・松原市では50年以上にわたり、被差別部落の解放を目的とした同和教育に源を有し、人権教育を中心に据えた包括的な教育実践が行われている。本書では、教育学研究者と松原市の教員・教育関係者が、その実践および導き出される教育理論について綴る。

目次

序章 松原3校の教育――人権文化の創造
 本書のねらい
 1. 松原とは
 2. 部落問題と同和教育
 3. 学校文化と対抗文化としての同和教育
 4. 同和教育から人権教育へ
 5. 松原3校の教育
 6. 現代という時代と学校教育の課題
 7. 本書の構成

第Ⅰ部 実践編

第1章 つながりを力に未来をひらく――布忍小学校の実践
 はじめに
 1. 集団づくり――「よさ」のみえにくい子どもの「よさ」に依拠する集団づくり
  1.1. 「遊び」を中心にした集団づくり
  1.2. 子どもの「よさ」をどうみるか
  1.3. ぬくもりのある「つながり」を
  1.4. 思いを「重ねる」ことで「つながる」
 2. 学力向上――課題とする子どもの学びにこだわり、一人ひとりの子どもたちの学力向上を図る
  2.1. 学習集団をいかした授業づくり
  2.2. 学校全体ですすめる補充学習、家庭学習のシステムづくり
  2.3. 組織的な授業づくりで教職員の授業力向上を
 3. 人権学習――感じ・考え・行動する力を育む「ぬのしょう、タウン・ワークス」
  3.1. 「ぬのしょう、タウン・ワークス」とは
  3.2. ねらいを明確にした「ぬのしょう、タウン・ワークス」の学習に
  3.3. 「重ね合う会(展開)」や「語る会」を、集団づくりの山場に
  3.4. 教職員も自分自身の生き方と向き合う「ぬのしょう、タウン・ワークス」
  3.5. 地域と協働でつくりあげる「ぬのしょう、タウン・ワークス」の学習
 4. 子どもが育つインターナショナルセーフスクール(ISS)
  4.1. インターナショナルセーフスクール(ISS)のねらい
  4.2. 三中校区ISS子ども会議を中心にして
  4.3. 子どもが主体となった取り組みに
  Column ヒロシマ修学旅行
 5. 教職員集団づくり――しんどい状況に置かれている子どもの立場に立ちきり、組織的に動く教職員集団に
  5.1. 子どもの実態、子どもの教育を柱にした、気持ちのそろった教職員集団づくり
  5.2. 協働的省察から戦略的な方針を立て、組織的に動く教職員集団
 【資料1】布小授業スタンダード
  布忍小学校 授業スタンダード
 【資料2】セーフ コミュニティとインターナショナルセーフスクール
  ◆セーフ コミュニティとは
  ◆ISS(インターナショナルセーフスクール)とは

第2章 つなぐこと、つながり続けることをめざして――松原第三中学校の実践
 1. はじめに――現在の松原第三中学校の状況
  1.1. つながり続ける学校づくりの伝統――変化を遂げてきたこと、変わることなく受け継がれていること
  1.2. インターナショナルセーフスクール(ISS)
 2. 松原第三中学校の人権教育
  2.1. 松原三中がめざす人権教育
  2.2. 松原三中の人権学習の変遷
  2.3. 社会参画力育成を加速したもの――インターナショナルセーフスクールの取り組み
 3. 松原第三中学校の学力向上の取り組み
  3.1. 育てたい力の「学力」的側面
  3.2. 「効果のある学校」として育んできたもの
  3.3. 「主体的で対話的な深い学び」を育成するために――子ども同士をつなぐこと
  3.4. 学力向上・学力保障の取り組みの成果と課題
  3.5. 今つけておきたい「学力」――2030年代を見据えて
 4. 三中における生徒指導・集団づくり
  4.1. 生活背景をつかむこと
  4.2. 一人ひとりの考えや思いを伝え合える場面を仕掛けること
  4.3. 本音でつながる集団づくり
  Column 三中への誇り――校長としての思い出
  4.4. 子どもとの出会いで変化する教員

第3章 社会とつながる「対話」を創る――大阪府立松原高校の実践
 1. 松原高校の学びがめざすもの
  1.1. 地元高校から総合学科高校へ
  1.2. 総合学科のカリキュラムデザイン
  1.3. 認め合う関係づくり――人権学習の土台
  1.4. ピアスタイルの人権学習――総合学科と人権学習の接続
  1.5. 松原高校総合学科の実践と学力論
  1.6. 主体的に学び、生きるとは
 2. ともに学び、ともに育つ、とは何か
  2.1. はじめに
  2.2. 体育祭の学年種目をどうするか
  2.3. 「送る会」から「仲間の会」へ
  2.4. おわりに
 3. 松高版「子ども食堂」の取り組み――「産社」の授業をきっかけに
  3.1. 「産社」で「ライツ」を新たに提案
  3.2. 「生活保護は恥」なのか――高校生の問い
  3.3. 現場のケースワーカーに会いに行く
  3.4. 本当に聞き手の意識を変えるには
  3.5. 「コンペティション」発表直前の葛藤
  3.6. 自分のことを伝える――発表当日
  3.7. 発表で終わらせたくない――「みんなの食卓」「松高きっちん」の立ち上げ
  3.8. 「支援される客体」から「社会を変える主体」へ
 4. 生徒とともに学び続ける学校――「課題研究」
  4.1. はじめに
  4.2. 課題研究――答えのない問いへの挑戦
  4.3. 知識の広がり――文献研究
  4.4. 出会いから学ぶ――フィールドワーク
  4.5. おわりに
  Column 知識蓄積型から生き方創造型の学びへ

第4章 つながりの中で人権感覚を育む連携活動
 はじめに
 1. 学校をつなぐ人権教育ネットワーク
  1.1. 連携を支える太い幹――校区人権教育研究会
  1.2. つながりを耕す――校区事務局会議
 2. 地域をつなぐ校区フェスティバル
  2.1. コミュニティの葉脈――地域教育協議会
  2.2. 地域連携の花――七つの校区フェスティバル
 3. 教育と福祉がつながる人権交流センター
  3.1. ここちよい木陰――人権交流センターの社会的機能
  3.2. ひらかれた居場所――つながりの種を未来へ
 おわりに
  Column バトンを繋いで

第5章 同和教育・人権教育実践を卒業生はどう受けとめたか――世代別インタビューから
 はじめに
 1. 同和教育世代
  1.1. 布小の教育をどう受けとめているか
  1.2. 三中の教育をどう受けとめているか
  1.3. 松高の教育をどう受けとめているか
 2. 人権教育世代
  2.1. 布小の教育をどう受けとめているか
  2.2. 三中の教育をどう受けとめているか
  2.3. 松高の教育をどう受けとめているか
  2.4. 卒業後、これまでの経験をどう捉えているか
 おわりに

第Ⅱ部 歴史編

第6章 人権・同和教育の歩みと特徴――草創期から発展期へ
 はじめに
 1. 松原の人権・同和教育――草創期から発展期への歩み
  1.1. 三中の歩み
  Column 布忍小学校の思い出
  1.2. 人権を基盤とする学校づくり――自分たちの手で学校を丸ごとつくる
  1.3. 三中校区が一体となった教育協働実践
 2. 松原3校の教育の特徴
  2.1. 教職員の組織と運営そして同僚性
  Column 三中校区の子どもたち、松原への広がり
  2.2. 教育内容の創造とその特徴
 3. 50年間積み上げた一貫性と新たなステージへ――持続可能性を支える背景

第7章 同和教育から人権教育へ――1990年代以降の動向
 はじめに
 1. 同和教育と人権教育
 2. 松原3校の人権教育
  2.1. 学力保障の土台としての集団づくり
  2.2. 人権学習の刷新
  2.3. 学校の枠を越えて
 3. 変わらぬもの・変わったもの
 おわりに

第Ⅲ部 理論編

第8章 「力のある学校」とはなにか――学校と学力を問い直す
 はじめに
 1. 学校で何を学ぶのか
 2. 「効果のある学校」の発見
 3. 「力のある学校」のスクールバスモデルへ
 4. 人権教育と学力
 5. 「協働的学校」という理念
 おわりに

第9章 人権教育の担い手を持続的に育てる教員文化
 1. はじめに――なぜ人権教育の担い手を持続的に育てることができたのか
  1.1. 問題意識
  1.2. 人権教育の担い手に対するアンケート
 2. 教員を成長させる力
  2.1. 学び続ける存在
  2.2. 子ども理解
  2.3. 人権課題の理解
  2.4. 「当事者との出会い」の意義
 3. 教員が育つ学校の要素
  3.1. 若手教員と先輩教員の関係性
  3.2. 教員の成長を支える関係性
  Column 松原高校と私
  3.3. 同僚性にもとづく協働的省察
 おわりに――人権教育の今日的意義と人権教育を推進する学校文化

第10章 教育コミュニティづくりの展開
 はじめに
 1. 地域社会と学校
  1.1. 学校教育の拡大が教育にもたらしたもの
  1.2. 地域社会の変貌と地域教育の衰退
  1.3. 理想としての「コミュニティ」
 2. 地域に根ざした同和教育
  2.1. 「地域からの教育改革」論
  2.2. 地域教育システムの構築
 3. 「教育コミュニティ」の理論・政策・実践
  3.1. 教育コミュニティづくりの提言
  3.2. 地域教育協議会の組織と活動
  3.3. 地域における人権文化
  Column 地域に根づくエルデ
  3.4. 今日的課題としての「開かれた学校づくり」と「地域との協働」
 おわりに

第11章 学校教育を通じて社会を変える――人権文化を広げる市民性教育
 はじめに
 1. 公教育の役割と市民性教育
 2. 人権教育から市民性教育へ
 3. 人権教育を通じた市民性教育の特徴
  3.1. 自己、他者、ものごとへの基本的な信頼
  3.2. 仲間の「しんどさ」を知る
  3.3. 仲間や地域の大人たちから学ぶ
  3.4. 行動を起こす
  3.5. 社会の多様性の尊重――小さな声に耳を傾け、応答する
 4. インターナショナルセーフスクールへの挑戦
  4.1. 中央小学校の人権教育
  4.2. 子どもたちの活動
  4.3. 人権教育に即したプログラムの理解
  4.4. 子どもの主体的活動の深化
 5. 学びと生活の「主体」へ――松原高校の取り組み
  Column ヒロシマの高校生
 6. 日本の教育現場への示唆
  6.1. 社会に開かれた教育課程・アクティブラーニング
  6.2. 意見表明権
  6.3. 市民性の格差
 おわりに

 【巻末資料】《年表》松原の人権教育
 【執筆者一覧】

前書きなど

 (…前略…)

7. 本書の構成
 本書は、3つのパートからなっている。
 第Ⅰ部〈実践編〉では、今日における松原3校の教育実践の内容をくわしく紹介する。1章は布忍小学校、2章は松原第三中学校、3章は松原高校からの報告である。各校の人権教育の実際とその成果をたっぷり堪能していただきたい。実践編には、さらに以下の2つの章が加わっている。松原の教育の大きな特徴となっている「連携」活動を体系的に紹介した4章、さらには松原3校の教育を自ら経験した卒業生たちに対するインタビューの結果をまとめた5章である。それらをあわせ読むことで、3校の教育の時間的・空間的拡がりを読者は体感することができるであろう。
 第Ⅱ部〈歴史編〉では、およそ半世紀にわたる松原3校の教育の歴史を振り返ってみたい。6章では、1970年代の草創期から80年代の展開期にかけての歴史を、当事者(元教員)の視点からたどる。続く7章では、1990年代以降の歴史を「同和教育から人権教育への転換」という切り口で研究者の視点から整理する。
 第Ⅲ部〈理論編〉では、松原3校の教育の現代的意義を理論的に位置づけることを試みる。「『力のある学校』とはなにか」と題された8章では、学力論・学校論の観点から松原3校の教育の意義を評価する。「人権教育の担い手を持続的に育てる教員文化」というタイトルをもつ9章では、教師論・教員文化論の視点から同様の作業を行う。10章「教育コミュニティづくりの展開」では、連携活動をふくむ3校の実践を、地域にねざした学校づくりの観点から積極的に位置づける。そして、最後の11章「学校教育を通じて社会を変える」では、世界で新しく提唱されている市民性教育の考え方にもとづいて、松原3校の教育の再評価を試みる。

著者プロフィール

志水 宏吉  (シミズ コウキチ)  (編著

大阪大学大学院人間科学研究科 教授

島 善信  (シマ ヨシノブ)  (編著

大阪教育大学教職教育研究センター 元教授/現在、子どものキャリア支援研究会 会長

上記内容は本書刊行時のものです。