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ワークで学ぶ 子ども家庭支援の包括的アセスメント
要保護・要支援・社会的養護児童の適切な支援のために
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年11月30日
- 書店発売日
- 2018年11月30日
- 登録日
- 2018年11月21日
- 最終更新日
- 2018年12月4日
紹介
大好評『社会的養護児童のアセスメント』のアップグレード版。法改正に伴い、市町村が担うことになった在宅支援に対応した。本書ではケースの全体像をつかみ、そのケースに適した支援方法を見い出していく「包括的アセスメント」を高めることを目的とする。
目次
はじめに:この本の特徴と使い方
step 0 包括的アセスメントについて
1.問題とされる行動や症状
2.問題とされる行動や症状の背景には必ず理由がある
work 1 行動や症状の背景を考える
3.包括的アセスメントの流れ
4.リスクアセスメントと包括的アセスメント
5.包括的アセスメントの展開
6.包括的アセスメントの意義
Ⅰ step A 総合的な情報の把握
1.必須となる情報
2.情報を把握するための手立て
3.記録について
step A1 子どもの状態像の把握
1.把握すべき3つの側面
2.3つの側面の解説
work A1-1 子どもの状態像を3つの側面で整理する
work A1-2 子どもの状態像の把握
step A2 家族の状況の把握
step A2-1 ジェノグラムの作成
work A2-1a ジェノグラムの作成
work A2-1b ジェノグラムの作成
step A2-2 保護者の状態像の把握
work A2-2 保護者の状態像の把握
step A2-3 家屋の状況や経済状況の把握
work A2-3 家屋の状況や経済状況の把握
step A2-4 24時間の生活の様子
work A2-4 24時間の生活の様子
step A2-5 家族関係と家族の価値観や文化
work A2-5 家族関係と家族の価値観や文化
step A2-6 家族と関係のある人や機関(エコマップ)
work A2-6 家族と関係のある人や機関(エコマップ)
step A3 子どもと保護者の現状認識と願い
work A3 子どもと保護者の現状認識と願い
step A4 生育歴・生活歴の把握
1.生育歴・生活歴を把握することの意義
2.成長・発達について
3.発達段階に即しての把握すべき情報
step A4-1 生育歴の基本情報の把握
work A4-1 生育歴の基本情報の把握
step A4-2 子どもと保護者の生活歴の把握
work A4-2 子どもと保護者の生活歴の把握
step A5 心理的所見と医学的所見
1.心理検査・評定
2.医学的所見
work A5 心理的所見と医学的所見の把握
Ⅱ step B 理解、解釈
1.ケースの「抱えた課題」の検討(step B1、B2)
2.「ケースの力」の検討(step B3、B4)
3.「抱えた課題」と「ケースの力」の関係
step B1 子どもの抱えた課題の検討
1.子どもの抱えた課題を検討する3つの視点
2.課題の内容
work B1 子どもの課題の整理
step B2 家族の抱えた課題の検討
work B2 家族の抱えた課題の整理
step B3 「当事者の力」の検討と整理
work B3 「当事者の力」の検討と整理
step B4 「既にある支援」の評価と整理
work B4 「既にある支援」の評価と整理
Ⅲ step C 支援方針と具体的な手立ての検討
1.3種の支援方針
2.すべてのケースに共通する方針α
3.ケースによって異なる方針βと方針γ
4.子どもと家族への具体的な手立て(メニュー)の検討
5.具体的な支援の役割分担
step C1 子どもの支援方針と具体的な手立て
1.方針α(すべてのケースに共通)
2.方針βとその手立て(子どもの課題への手立て)
3.方針γとその手立て(ケースの力の強化に向けた手立て)
work C1 子どもの支援方針と具体的な手立て
step C2 家族への支援方針と具体的な手立て
1.方針α(すべてのケースに共通)
2.方針βとその手立て(家族の課題への手立て)
3.方針γとその手立て(ケースの力の強化に向けた手立て)
work C2 家族への支援方針と具体的な手立て
step C3 子どもと家族への支援の役割分担
work C3 子どもと家族への支援の役割分担
Ⅳ step D ケースの振り返りと評価
1.基本的な考え方
2.ケースの振り返りと評価に必要な視点
step D1 支援の経過をまとめる
work D1 支援の経過をまとめる
step D2 ケース・カンファレンスの実施
1.ケース・カンファレンスで行うこと
2.ケース・カンファレンスの資料作成
work D2 ケース・カンファレンスの資料作成
3.ケース・カンファレンスの種類と目的
step D3 子どもと家族の抱えた課題の振り返り
work D3 子どもと家族の抱えた課題の振り返り
step D4 子どもと家族への支援方針の手立ての見直し
work D4 子どもと家族への支援方針の手立ての見直し
step D5 役割分担の見直し
work D5 役割分担の見直し
step D6 子どものこれまでの人生を理解する――子どもの年表づくり
1.人生の連続性が分断されがちな社会的養護の子どもたち
2.過去を振り返ることが困難な社会的養護の子どもたち
3.子どもの年表づくり(代替養育を必要とした子ども)
work D6 子どもの年表づくり
おわりに
参考・引用文献
前書きなど
はじめに:この本の特徴と使い方
(…前略…)
3.本書の特徴
本書の構成は、step 0とstep Aからstep Dまでの5つのstepで構成されています。step 0では、包括的アセスメントとは何かについての、基盤となる構造と展開について学びます。包括的アセスメントは、総合的な情報の把握、理解・解釈(課題の分析・整理)、支援方針と具体的な手立ての検討、ケースの振り返りと評価の4つの段階に分かれます。それらを順にstep A、step B、step C、step Dとしました。
各stepは、さらに下位のstepに分かれます。例えばstep A1(子どもの状態像の把握)、step A2(家族の状況把握)、step A3……といった表示で分かれています。内容によってはこれらのstepにさらに下位項目を設けて、step A2-1(ジェノグラムの作成)、step A2-2(保護者の状態像の把握)、step A2-3(家屋の状況や経済状況の把握)……などの表示で分け、学びを深められるようにしました。
それぞれのstepは解説とworkで構成され、計27のworkが用意されています。workは自分がかかわるケースについて票に記載していくという形式で取り組むものです。どのワークでも参考事例を提示しています。参考事例は児童福祉施設に入所しているA男のケースと市で在宅支援を行っているB子のケースです。本書を通して、A男とB子は繰り返し登場し、各stepが提示する視点から見つめ、検討されています。
本書の目的は、包括的アセスメントを展開するための必要な視点を学ぶことです。計27のworkを通して、情報把握、解釈、手立てを検討するための多角的な視点を身につけていきます。実際の支援の現場では、ひとつのケースに対してここで示した全ての視点を網羅してアセスメントを行うことは不可能ですし、そうする必要もありません。ケースによって重きをおくべき視点は異なります。しかし、何に重きをおくべきかを判断するには、包括的アセスメントに必要な多角的な視点を備えていることが前提となります。それを身につけることが本書の目的なのです。多角的な視点を事前に学んでおくことで、実際のケースを前にしたときに、狭い視点だけの検討に終始せずに、必要な視点を幅広く引きだせるようになるはずです。
本書の活用の仕方は、まずstep 0の包括的アセスメントの全体的な構造を理解することから始めます。それを踏まえていれば、その後は、どのstepからはじめても構いません。すべてのstepをざっとながめた上で、自分になかった視点、苦手だと思うところ、気になるところなどからはじめると良いでしょう。
包括的アセスメントは常に仮説であり、常に見直されながら、より適切な理解と支援へと歩を進めていくものです。その展開をより適切で効果的に進めていける力を目指します。その力はすぐに身につくものではありません。いくつもの事例に接し、その都度包括的アセスメントをくり返していくことで、磨かれていくものです。この本はそうした歩みを志す支援者のために作成しました。この本がこれを手にした方々の包括的アセスメントの向上に役に立つものとなれば、これほど嬉しいことはありません。
上記内容は本書刊行時のものです。