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西田幾多郎の実在論
AI、アンドロイドはなぜ人間を超えられないのか
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年7月
- 書店発売日
- 2018年7月31日
- 登録日
- 2018年6月28日
- 最終更新日
- 2018年10月17日
紹介
世界は存在するのか、しないのか。生命とは、人間とは何か。西田幾多郎の哲学は世界のあり方を問う実在論であった。生命論を手がかりに西田哲学と一体化する池田哲学の真骨頂が展開する。ピュシスの発する声に耳を傾ける『福岡伸一、西田哲学を読む』の続編。
目次
まえがき
第一章 西田幾多郎の根本的思想――実在、時間、宇宙意識
Ⅰ 実在とは何か――「人間」における人と人との「間」の問題
Ⅱ 西田幾多郎は実在をどう考えたか――ピュシス、根源的な絶対矛盾の論理
Ⅲ 実在=「有」があるが故に「無」と自覚できるもの――「有」と「無」のあいだ
Ⅳ 西田幾多郎の「宇宙意識」
第二章 西田幾多郎の実在論――アンドロイドはなぜ人間を超えられないのか
はじめに
Ⅰ 絶対矛盾的自己同一
Ⅱ 叡智としての行為的直観
Ⅲ 生命の自覚(身体的に自覚する)
Ⅳ 哲学と科学における知の統合
Ⅴ 世界の自己表現作用
Ⅵ 「絶対現在」の自己限定
Ⅶ 「存在」と「実在」の違いについて~石黒浩教授のアンドロイド考
おわりに~脱近代をめざして
第三章 生命と場所――福岡伸一と西田幾多郎
はじめに
緒論 考えるということ
Ⅰ 生命であること
Ⅱ 時間と空間
Ⅲ 有と無
Ⅳ 絶対現在
Ⅴ 個多即全一、全一即個多
Ⅵ 時間即空間、空間即時間
おわりに
第四章 カントにおける近代科学の論理をどう乗り越えるか
第五章 愛と時――他者問題をめぐる西田幾多郎の思想について
はじめに
Ⅰ 「愛」とは一体何であるのか
Ⅱ 「包みつつ包まれる」という場所
Ⅲ 自然(ピュシス)の愛
Ⅳ 他者問題(der Andere)
注釈
あとがき
西田幾多郎について
前書きなど
まえがき
(…前略…)
本書は、二〇一七年七月に刊行した『福岡伸一、西田哲学を読む』(福岡伸一氏との共著、明石書店)の仕事の合間、またその前後に、主に西田の実在論に関して書きとめた未発表の論考を一冊にまとめたものである。
関連性があるとはいえ、それぞれ独立した論考であり、読者はどの章から読み始めてくださっても構わない。全体は『福岡伸一、西田哲学を読む』の続編として位置付けていただいて差し支えないと思うが、以下、簡単に各章の成立経緯について触れておきたい。
第一章は、『福岡伸一、西田哲学を読む』刊行後に、その本の編集を担当された柴村登治さんから西田の実在論をテーマとした本の出版を勧められ、その序文のつもりで書いたもの。(……)
第二章は『福岡伸一、西田哲学を読む』刊行後に、読者の方のためにもう一度、西田の生命論から始めて西田幾多郎の哲学、主に実在論を説明してみたいと感じ、一気に書き下ろしたものである。後半では、本書の副題にも掲げた、AI(人工知能)やアンドロイドがなぜ「実在」たりえないかを論じてある。(……)
第三章は、『福岡伸一、西田哲学を読む』の制作に入る前に、言わばその準備資料としてほぼ完成していたもの。福岡伸一氏が『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)で発表した生命の定義をめぐる思考が、西田の思想とあまりにも似ていることに衝撃を受け、両者がどんなふうに似ているのかを自分なりに確かめる作業として論文にした。(……)
第四章は、『福岡伸一、西田哲学を読む』のまさに制作中に対談の補足資料として書いておいたもの。わたしはその存在をすっかり忘れていたのだが、柴村さんが「実在論を語るなら」と引っ張りだしてきてくれた(……)
第五章は、『福岡伸一、西田哲学を読む』刊行後に、福岡伸一教授が勤務される青山学院大学で特別講義をさせていただくことになり、その草稿として書いたものをもとにしている(実際の講義では別の原稿を使用した)。わたしは若い学生の方々と愛の問題を考えてみたかったのである。西洋哲学におけるアポリアの一つ、「他者問題」についても触れているが、結局のところ、他者問題も他者(について)の実在の問題ととらえることができる。(……)
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。