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教師と人権教育
公正、多様性、グローバルな連帯のために
原書: TEACHERS AND HUMAN RIGHTS EDUCATION
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年7月
- 書店発売日
- 2018年7月31日
- 登録日
- 2018年6月28日
- 最終更新日
- 2018年8月1日
紹介
人権は、アプリオリのルールや決まりではなく、また優しさや思いやりでもない。時に、人権を保障すべき国家に対峙し、ボーダーを超えて人と連帯するための規範・規準である。本書では、人権について学び、人権の目的や趣旨のために学び、人権が守られた環境の中で学ぶという人権教育のトータルな学びを理解するための概念と女性、子ども、貧困、多文化共生など個別テーマを詳解する。
目次
日本語版への序文
謝辞
序文
略語一覧
第Ⅰ部 人権:行動のためのアジェンダ
第1章 三人の語り
議論
本書の構成
第2章 人権の文脈化
本書の目的
私たちの取り組みはどこから始まったのか
第3章 人権についての枠組み
人権:歴史的視点
法的視点
社会学的視点
第4章 人権、正義、平和
コスモポリタンな世界観としての世界人権宣言
ユートピア世界観としての世界人権宣言
人権の概念
四つの自由
世界人権宣言と国家の抑圧
結論
第Ⅱ部 政治、文化、不平等
第5章 女性の人権
女性による行動と人権の発展
女性の人権のための諸原則
オルタナティブな構想の開発
政治的な権力
公私の分離
グローバルな連帯
教育と女性の人権
第6章 人権とグローバルな変化
世界の不平等
グローバルな挑戦:開発
国民国家のグローバルな責任
教育と開発
グローバルな挑戦:環境
グローバルな市民社会
第7章 価値、文化、人権
冷戦:政治的レトリックとしての人権
ナショナリズム・コスモポリタニズム(世界市民主義)・多文化国家
宗教・人権・文化相対主義
関係主義(relationalism)
普遍的な人権を文脈化する
人権とアジア的価値
グローバルな人権の言説が包含する意味
第Ⅲ部 学校における人権と民主主義
第8章 子どもの人権
子ども期の概念の変容
第12条と子どもの参画
多文化主義と学校教育
子どもの権利、発達と学校教育
第9章 シティズンシップ教育と人権
シティズンシップ教育と国民国家
民主的シティズンシップ教育と国家への帰属
民主主義、多様性、隠された歴史
民主主義と多様性
コスモポリタン・シティズンシップのための教育と人権
市民による行動、市民権、人権
人権教育に対する国際的・国家的な取り組み
人権教育の実施における挑戦と進展
民主的シティズンシップ教育と共有の価値、マイノリティのニーズ
人権教育の実践者が直面する課題
第10章 人権、政治、学校
学校とテスト
変革的教育(Transformative education)
人権教育のための教育原理
人権と歴史教育
人権教育:政策と原則を展開する
エピローグ
参照文献
索引
監訳者による解説
あとがきにかえて
著者・訳者紹介
前書きなど
第1章 三人の語り
(…前略…)
本書の構成
『教師と人権教育』では、私たちは、教育者が、国際的な文脈のもとで、学校において人権教育を推進するプログラムを導入したり、展開しようとする際に直面する多くの対立や疑問についてふれている。私たちは、以前にも人権教育について本を書き、この分野での私たちの新しい経験と研究を紹介したことがある(Osler and Starkey,1996)。
本書は三部に分かれている。この第Ⅰ部「人権:行動のためのアジェンダ」では、本章で紹介した三人の語りは、第2章(人権の文脈化)に引き継がれ、人権教育の展開の簡単な紹介と人権教育に関する私たちの取り組みからの省察が述べられている。第3章(人権についての枠組み)では、歴史的、社会学的、法的な視点から人権を検証している。第4章(人権、正義、平和)では、人権を世界における平和と正義の理想として考察し、人権教育のための事例を示している。
第Ⅱ部では「政治、文化、不平等」について考察している。第5章(女性の人権)は、「女性の人権」という言葉の意味について振り返り、人権の枠組みが世界の人口の半分の人々の要求を満たすことができないことがなぜ頻繁に起きるのかを検証し、固定的で変更不可能な法的な枠組みではなく進行中のプロジェクトとしての人権を提示している。(……)
第6章(人権とグローバルな変化)では、人権と開発の関係を考察し、グローバリゼーションの文脈の中でそれらを検証している。第7章(価値、文化、人権)は、価値、文化、人権の関係に焦点を当て、普遍的人権は文化的な特殊性を脅かすもので、多文化社会の中で合意された共通の規準など可能ではない、という批判について検証している。(……)
最後の第Ⅲ部では、「学校における人権と民主主義」の実践を探っている。第8章(子どもの人権)では、子どもの人権に焦点を当て、子ども期の概念の変容を検証している。(……)第9章(シティズンシップ教育と人権)では、シティズンシップ教育は、学校のカリキュラムの領域において人権を扱うものとして、政府によってしばしば位置づけられていることから、人権教育とシティズンシップ教育の関係に焦点を当てている。(……)
最後に、第10章(人権、政治、学校)で私たちは、人権教育のためのいくつかの教育原則を提案し、競争、不平等、権威主義的で暴力的な構造といった問題がいまだにある、完全ではない学校教育制度に人権教育を導入するための課題について議論している。本書はエピローグで終わっている。そこでは私たちは本章で紹介した三人の語りに立ち返っている。人権の教育者としての教師にとってこれらの語りの重要性を考察している。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。