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フードバンク
世界と日本の困窮者支援と食品ロス対策
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年5月
- 書店発売日
- 2018年5月30日
- 登録日
- 2018年5月18日
- 最終更新日
- 2018年5月31日
書評掲載情報
2018-07-21 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
日本でも急速に増えているフードバンクは、「食品ロス削減」の観点から、近年では食料困難経験者に対する食料支援を目的とする活動にシフトしてきている。アメリカ、フランス、韓国等海外の先行事例との実証的な国際比較をもとにした、本邦初の研究書。
目次
はじめに――本書の意義と各章の概要
1 本書の目的
2 各章の紹介
第1章 世界の食品ロス対策とフードバンクの多様性[小林富雄]
はじめに――食品ロスをめぐる世界の潮流
1 世界の食品ロスの定義
2 世界の食品ロスの排出状況
3 世界の食品ロス政策と対策
4 日本の食品リサイクル法とフードバンク
第2章 社会保障システムにおけるフードバンクの意義と役割[角崎洋平]
はじめに――システムとしての社会保障とフードバンク
1 食料への権利とフード・セキュリティ
2 食料への権利・フード・セキュリティの観点からのフードバンク批判
3 所得保障の機能不全とフードバンク
4 フード・セキュリティのためのフードバンクの活動
5 所得保障制度を補完する仕組みとしてのフードバンク
第3章 日本のフードバンクと生活困窮者支援[佐藤順子]
はじめに
1 フードバンクによる生活困窮者支援
2 施設・支援団体からみたフードバンク
3 施設・支援団体と利用者の関係性
むすびにかえて
コラム 熊本地震においてフードバンクはどのような役割を果たしたのか――フードバンクかごしまの事例をもとに[後藤至功]
第4章 フランスのフードバンク――手厚い政策的支援による発展[小関隆志]
はじめに
1 近年の欧米フードバンク研究
2 研究対象および方法
3 フランスにおけるフードバンクの沿革・現状・政策
4 フランスのフードバンク団体の活動事例
5 考察
おわりに
第5章 アメリカのフードバンク――最も長い実践と研究の歴史[小関隆志]
1 フード・インセキュリティと食料支援政策
2 フードバンクの概要
3 研究者によるフードバンクへの問題提起
4 フードバンクによる新たな挑戦
結論
第6章 韓国のフードバンク――政府主導下での急速な整備[小関隆志]
はじめに
1 福祉政策の特徴
2 政府系フードバンクの歴史と現状
3 民間フードバンクの歴史と現状
4 研究動向とフードバンクの実践例
おわりに
第7章 食料等の現物寄付の評価――アメリカのフードバンクとアカウンタビリティ[上原優子]
はじめに
1 日本のフードバンクの現状と現物寄付の評価
2 アメリカのNPOの制度とフードバンク
3 フィーディング・アメリカにおける食料等の評価
おわりに
索引
前書きなど
はじめに――本書の意義と各章の概要
1 本書の目的
フードバンクとは、農林水産省の定義によると、「食品企業の製造工程で発生する規格外品などを引き取り、福祉施設等へ無料で提供する『フードバンク』と呼ばれる団体・活動」であり、「まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品(いわゆる食品ロス)を削減するため、こうした取り組みを有効に活用していくことも必要」とされている。
(…中略…)
本書は、フードバンクが食品ロスの削減や環境負荷の縮減等と同時に、生活困窮者を含めた食料の困難経験者に対する支援をも目的としていることを踏まえて、日本におけるフードバンク研究の現在を提示するものである。
(…中略…)
フードバンク研究にはいくつもの論点が存在するが、本書で取り上げた主な論点として次の4点が挙げられる。①フードバンクの先進国では、どのような取り組みがなされているのか、また、取り組みの背景や経過はどのようなものか、②フードバンクによる食料支援は、社会保障制度においてどのような位置付けにあるか、または、あるべきか、③日本におけるフードバンクによる生活困窮者等に対する支援はどのように行われているか、また、どのようになされた場合に効果が期待できるか、④フードバンク活動の基盤となる食料寄付のアカウンタビリティの実際はどのようなものか、である。
本書では、主に上記4つの論点をもとに、国内外における調査と資料収集を踏まえて実証的研究を行った成果を取りまとめている。他にもフードバンクにかかわる論点は、アメリカ等のフードバンク先進国で研究されているように、たとえば、企業や個人による食料の寄贈行動という側面、フードバンクから提供される食料の栄養価の分析やフードバンク利用者に関する側面等、いくつも存在するだろう。それらについては、日本のフードバンク活動が今後、さらに展開されていくに伴って検討されるべき今後の課題としておきたい。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。