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ヒューマンライブラリー 坪井 健(編著) - 明石書店
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ヒューマンライブラリー (ヒューマンライブラリー) 多様性を育む「人を貸し出す図書館」の実践と研究 (タヨウセイヲハグクムヒトヲカシダストショカンノジッセントケンキュウ)

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発行:明石書店
A5判
360ページ
並製
価格 2,600円+税
ISBN
978-4-7503-4640-3   COPY
ISBN 13
9784750346403   COPY
ISBN 10h
4-7503-4640-3   COPY
ISBN 10
4750346403   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年2月
書店発売日
登録日
2018年2月13日
最終更新日
2018年2月21日
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紹介

2000年にデンマークのNGO(Stop the Violence)が、北欧最大級の音楽祭であるロスキレ・フェスティバルで始めた「人を貸し出す図書館」ヒューマンライブラリー。障害者、ホームレス、性的少数者など、社会のなかで偏見やスティグマを経験したことのある人々が「本」になり、一般「読者」と対話をするこの「図書館」は、世界中に広がり、現在では90カ国以上で開催されている。本書では、大学や団体をはじめとする国内外の多様な実践を紹介すると同時に、偏見の低減効果、ヒューマンライブラリーの運営がもたらす学習効果などに関する分析を行い、自己と他者の関係性の再構築、また、日常の生活空間と差異を再構築する場としてのヒューマンライブラリーの意義を論考する。

目次

 はじめに


第一部 ヒューマンライブラリーの実践

第一章 日本におけるヒューマンライブラリーの実践Ⅰ《大学編》
 第一節 日本でのヒューマンライブラリーのはじまり――東京大学先端研 中邑研究室、ヒューマンライブラリー導入の経緯と実践
 第二節 差異を認め合い活用する場――獨協大学ヒューマンライブラリー
 第三節 ありのままの生き方を受け入れる! 多文化共生論――お茶の水女子大学ヒューマンライブラリー
 第四節 教育手法としての有効性――麗澤大学山下ゼミのヒューマンライブラリー活動を通じて
 第五節 経験型図書館の可能性
 第六節 多様性に寛容なまちづくり――駒沢大学坪井ゼミのヒューマンライブラリー活動を通じて
 第七節 明治大学のヒューマンライブラリー――一対一のヒューマンライブラリーを核にしたダイバーシティ・フェスティバル

第二章 日本におけるヒューマンライブラリーの実践Ⅱ《団体編》
 第一節 誰でも参加しやすい生きている図書館を目指して――ブックオブ・りーふぐりーんの取り組み
 第二節 地域福祉を考えるきっかけとして――立川市社会福祉協議会流のヒューマンライブラリー
 第三節 市民活動、そして日本語教育の現場から――ヒューマンライブラリーNagasaki実践報告
 第四節 承認の場を生み出すヒューマンライブラリー――ヒューマンライブラリーin新潟の実践から
 第五節 人と人、人と本とをつなぐために――横浜市中央図書館の取り組み

第三章 海外におけるヒューマンライブラリーの実践
 第一節 ローンセストン市のヒューマンライブラリー――成功したプログラムを振り返って
 第二節 フィリピンと東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるヒューマンライブラリー


第二部 ヒューマンライブラリーの研究

第四章 ヒューマンライブラリーの偏見低減効果――アンケート調査による分析
 第一節 はじめに
 第二節 「読者」アンケート調査――回答者の属性
 第三節 ヒューマンライブラリーについてのイメージの変化
 第四節 「本」に対するイメージの変化
 第五節 「本」との対話を通して得たもの――社会心理学理論との照合
 第六節 大学で実施することの意味と可能性
 第七節 「本」を借りたか借りなかったか
 第八節 一〇か月後の再調査との比較
 第九節 対話人数によるHL効果の比較
 第一〇節 「生きた本」へのHL効果
 第一一節 おわりに

第五章 ヒューマンライブラリーで学生は何を学んだのか――「司書」として参加した大学生のレポートから
 第一節 はじめに
 第二節 ヒューマンライブラリーはどのように活かし得るか
 第三節 アクティブラーニングとヒューマンライブラリー
 第四節 HLを通して学生が学んだもの
 第五節 おわりに

第六章 ヒューマンライブラリーの多様化とアフォーダンス――「他者」との対話の効果はどこにあるのか
 第一節 はじめに
 第二節 ヒューマンライブラリーの多様化とアフォーダンス
 第三節 多様化するHLのアフォーダンス――「読者」効果の概念的枠組み
 第四節 おわりに

第七章 自己と他者の関係性の再構築――HLの対話の可能性をめぐって
 第一節 はじめに
 第二節 HLの対話世界
 第三節 「視界の相互性」と「間主観的世界」
 第四節 演劇的仮想空間
 第五節 HL対話空間とパーソナル・スペース
 第六節 現代人の魂の救済として
 第七節 おわりに

第八章 日常空間を再構築する場としてのヒューマンライブラリー
 第一節 はじめに
 第二節 HLを開催する意味――状況(会場の設定)の重要性
 第三節 空間と集団間関係の連結
 第四節 差異の再構築――日常の折り合いをする場としてのHL
 第五節 結論

 おわりに

 編著者紹介
 分担執筆者紹介


 コラム1 ゼミのない大学でのヒューマンライブラリーの作り方
 コラム2 国際交流団体所属の学生向け研修として
 コラム3 朝鮮学校におけるヒューマンライブラリー
 コラム4 世界は「本」でできている
 コラム5 「東京にしがわ大学」の生涯学習講座として
 コラム6 個人でも開催できるヒューマンライブラリー
 コラム7 多様性を認め合う社会に
 コラム8 障害者の地域生活を考える交流会

前書きなど

はじめに

 ヒューマンライブラリー(以下、HL)は、二〇〇〇年にデンマークのNGO(Stop the Violence)が、北欧最大級の音楽祭であるロスキレ・フェスティバルで始めた「人を貸し出す図書館」である。障害者、ホームレス、性的少数者など、社会のなかで偏見やスティグマ(烙印)を経験したことのある人々が「本」になり、一般「読者」と対話をするこの「図書館」は、欧州評議会(Council of Europe)を巻き込みながら発展し、瞬く間に世界中に広がった。HL創始者のロニー・アバゲール氏によると、現在では九〇カ国以上で開催されているという。
 日本では、二〇〇八年一二月に京都で開催されたATACカンファレンスの中で、東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍研究室が開催したのが最初である。その後、HLは全国各地の大学、学校、企業、市民団体などに広がり、HLの開催者による緩やかなネットワークが形成されるようになった。そして、二〇一五年には、本書の編者が日本学術振興会から科学研究費(以下、科研費)を頂き、三年間の共同研究「偏見の低減のための教育――ヒューマンライブラリーの効果研究」を開始した。また、翌年の一〇月には三〇余名の関係者が集う「ヒューマンライブラリー研究大会」が開催され、実践と研究の観点から活発な議論が交わされた。さらに、二〇一七年の一〇月には、HLの更なる普及と発展を目指して、日本ヒューマンライブラリー学会(Human Library Society of Japan)が発足した。
 HLが日本に上陸して今年で一〇年になる。この節目を迎えるにあたり、これまでのHLの展開と現状について広くまとめたのが本書である。その目的は、国内外の実践と研究の成果を振り返り、HLの発展に資する知見を示すことである。HLを扱った日本語書籍には、HLの開催案内書である『ヒューマンライブラリー事始め』(駒澤大学坪井ゼミ編著、人間の科学社、二〇一二年三月)と、偏見の低減に焦点を当てた『多文化社会の偏見・差別』(加賀美・横田・坪井・工藤編著、明石書店、二〇一二年四月)の二冊がある。その他、研究論文や実践報告、さらには異文化間教育学会を中心に研究発表やシンポジウムでもHLが度々取り上げられてきた。本書は、それらの成果と編者の科研費による研究成果を背景に、国内外から計二五名の実践者を著者として揃えた日本で最初のHLについての包括的な書物である。

 (…後略…)

著者プロフィール

坪井 健  (ツボイ ツヨシ)  (編著

岡山県生まれ。駒澤大学教授。日本ヒューマンライブラリー学会理事長、異文化間教育学会理事、東京ヒューマンライブラリー協会代表理事。専門は社会学・社会心理学、留学交流、学生文化比較、ヒューマンライブラリー研究。[主な著書・論文]『ココロのバリアーを溶かす――ヒューマンライブラリー事始め』(編著、人間の科学社、2012年)、『多文化社会の偏見・差別――形成のメカニズムと低減のための教育』(共編著、明石書店、2012年)、「ヒューマンライブラリーの可能性を探る――「読者」「本」「司書」効果を中心に」『社会・人口・介護から見た世界と日本』(時潮社、2014年)、「ヒューマンライブラリーから見た異文化間能力――コンピテンシーを育てる実践の立場から」『異文化間教育』45号(異文化間教育学会、2017年)

横田 雅弘  (ヨコタ マサヒロ)  (編著

東京都生まれ。明治大学教授。日本ヒューマンライブラリー学会副理事長、異文化間教育学会常任理事、留学生教育学会理事。専門は異文化間教育。[主な著書・論文]『留学生アドバイジング――学習・生活・心理をいかに支援するか』(白土悟と共著、ナカニシヤ出版、2004年)、『多文化社会の偏見・差別――形成のメカニズムと低減のための教育』(共編著、明石書店、2012年)、「新たな異文化間教育学の展開」『異文化間教育のフロンティア』異文化間教育学大系第4巻(共編著、明石書店、2016年)、「ヒューマンライブラリーという図書館――新しい図書館のかたち」『情報の科学と技術』Vol.68, No.1(一般社団法人 情報科学技術協会、2018年)

工藤 和宏  (クドウ カズヒロ)  (編著

東京都生まれ。獨協大学専任講師。日本ヒューマンライブラリー学会理事、異文化間教育学会常任理事。専門は異文化間教育、国際高等教育。[主な著書・論文]『多文化社会の偏見・差別――形成のメカニズムと低減のための教育』(共編著、明石書店、2012年)、“ Social representation of intercultural exchange in an international university,” Discourse: Studies in the Cultural Politics of Education, Vol. 37(Routledge、2016年)、“Intercultural relationship development at university: A systematic literature review from an ecological and person-in-context perspective,” Educational Research Review , Vol. 20(Elsevier、2017年)

上記内容は本書刊行時のものです。