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貧困研究 Vol.19 『貧困研究』編集委員会(編集) - 明石書店
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貧困研究 Vol.19 (ヒンコンケンキュウボリュームジュウキュウ)

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発行:明石書店
B5判
122ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-7503-4610-6   COPY
ISBN 13
9784750346106   COPY
ISBN 10h
4-7503-4610-1   COPY
ISBN 10
4750346101   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0336  
0:一般 3:全集・双書 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年12月
書店発売日
登録日
2017年12月7日
最終更新日
2017年12月7日
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紹介

日本における貧困研究の深化・発展、国内外の研究者の交流をはかり、貧困問題をさまざまな人々に伝えていく、日本初の貧困研究専門誌の第19号。特集は「生活困窮者支援事業の現在」として、家計・居住・若者・地域など幅広い観点から考察する。

目次

 巻頭のことば[岩田正美]

特集 生活困窮者支援事業の現在
 生活困窮者自立支援の特徴と課題――アクティベーションと言えるか?[五石敬路]
 自立相談支援事業のあり方に関する一考察――家計相談支援との一体的展開のすすめ[有田朗]
 生活困窮者、被生活保護世帯等の安定的な居住のための必要条件[園田眞理子]
 揺らぐ公共空間と孤立する若者たち[青砥恭]
 支援の開発能力=社会課題への対応能力が高い地域の条件――宮城・仙台における生活困窮者自立支援のパフォーマンスを支える構造[菅野拓]
 PSモデル事業から見た生活困窮者自立支援事業の現在[湯浅誠]

合同書評会報告 大阪・釜ヶ崎に関する3冊の新刊書をめぐって
 はじめに――企画の趣旨[ありむら潜]
 1 著者からの発表
   ○原口剛『叫びの都市――寄せ場、釜ヶ崎、流動的下層労働者』
   ○白波瀬達也『貧困と地域――あいりん地区から見る高齢化と孤立死』
   ○渡辺拓也『飯場へ――暮らしと仕事を記録する』
 2 リレー書評[海老一郎・寺川政司・水野阿修羅]
 3 意見交換・討論
 4 合同書評会のまとめ[福原宏幸・織田隆之]

シリーズ:生活困窮者支援の現場から5
 誰一人置き去りにしないまちづくり――京丹後市の生活困窮者支援現場から[藤村貴俊]

投稿論文
 生活保護世帯の大学生の現状と課題――堺市生活保護世帯の大学生等実態調査から[桜井啓太・鷲見佳宏・堀毛忠弘]

書評
 小玉徹著『居住の貧困と「賃貸世代」――国際比較でみる住宅政策』[稲葉剛]

国内貧困研究情報
 貧困研究会第27回定例研究会報告 「〈自立支援〉の社会保障を問う」[桜井啓太・村上英吾]
 貧困に関する政策および運動情報 2017年1月~2017年6月[畑本裕介/五石敬路/小西祐馬/村上英吾/北川由紀彦]


 貧困研究会規約
 原稿募集及び投稿規定
 編集後記

前書きなど

巻頭のことば 貧困研究と世間――「貧困リテラシー」を高めるために[岩田正美(日本女子大学名誉教授)]

 貧困研究会が創設されたのは2007年12月だから、もう10年になる。研究会の会員数はおよそ150名で、毎年1回開催される研究大会の他、定例研究会が2ヶ月に一度開かれており、また機関誌『貧困研究』は毎年2回刊行されている。研究会とは言うものの、立派な学会であり、日本学術会議の協力学術研究団体として指定されている。創設に関わった一人として感慨深いものがある。それも事務局、運営委員会、編集委員会、そして明石書店のご尽力によるものである。
 創設当初は、貧困研究などが成り立つのか、という質問も受けた。貧困は、貧困の実態であり、反貧困運動、貧困軽減政策であっても、研究というと、何か違和感があるのかもしれない。学会にもいろいろあるのだから、いいではないか、と言ってきたが、もちろん貧困研究は日本でも世界でも、それなりの蓄積があり、また今日でも様々な議論がある。そうした研究は、多様な学問分野に渡っており、したがって、貧困研究は学際的である。日本で違和感があったのは、貧困研究に長い「空白期間」があったからではないだろうか。

 (…中略…)

 世間の「貧困リテラシー」を上げるために、貧困研究会は何をなすべきだろうか。少なくとも、絶対/相対の区別を豊かにした上で、その区別も乗り越えられつつあるということを、どう理解してもらったらいいだろう。生活保護制度も含めて、貧困の除去軽減策の効果を証拠つきで議論できるようにするには、どうしたらいいだろうか。
 頭をよぎるのは、タウンゼントが亡くなった時、『ガーディアン』に、この相対的貧困論の父への長い追悼文が掲載されたことである。そもそも相対的剥奪研究や福祉国家の再分配効果について、英国ではテレビなどの媒体と研究者との共同研究がいくつかある。英国へ行った時、タクシー運転手が相対的剥奪という言葉で、私が向かおうとしている地域のことを説明してくれたことがあった。彼の地での貧困研究の浸透に舌を巻いた。地理協会も剥奪指標による地域マップを載せていた。こうしたことは、一定の貧困リテラシーが社会に根付いているということではないか。私たちは、まずジャーナリスト、団体活動家と研究成果の共有をもっと進め、彼らが世間の言葉でそれを伝えてくれることに期待すべきかもしれない。

上記内容は本書刊行時のものです。