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激動のアフリカ農民 鍋島 孝子(著) - 明石書店
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激動のアフリカ農民 (ゲキドウノアフリカノウミン) 農村の変容から見える国際政治 (ノウソンノヘンヨウカラミエルコクサイセイジ)

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発行:明石書店
A5判
264ページ
上製
価格 4,600円+税
ISBN
978-4-7503-4605-2   COPY
ISBN 13
9784750346052   COPY
ISBN 10h
4-7503-4605-5   COPY
ISBN 10
4750346055   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年1月
書店発売日
登録日
2017年12月28日
最終更新日
2017年12月28日
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紹介

アフリカの人口の大多数を占める農民。彼らはグローバリゼーションに翻弄され、やがて民主化運動の暴動に動員され、民族紛争で暴力に走っていく。本書では国際政治社会学という新たな手法を用いて、アフリカにおける暴力の構造を解明する。

目次

まえがき

序論
 問題の所在
 方法論
 構成
 注・参考文献

第1章 農村をめぐる理論
 第1節 人類学・社会学的側面
  1 農民の文化
  2 農村の経済活動
  3 「外」と関わる社会組織:ヨーロッパ封建制との比較
 第2節 政治理論から
  1 権力構造と市民社会
  2 産業革命から社会主義まで
  3 政治社会学
 第3節 国際秩序の中の農村共同体
  1 最周辺からの反逆
  2 内政と国際政治の狭間から生まれるナショナリズム
  3 アクターから見る方法論:占領軍と宣教師の方法を超えて
 第4節 変容理論と地域研究
  1 近代化と国家体制
  2 大国の外圧:勢力均衡から冷戦、グローバリゼーションまで
  3 文化変容
 注・参考文献

第2章 マダガスカル
 第1節 変容以前
  1 地理・概観・人種
  2 王制
  3 伝統的農村共同体
 第2節 植民地
  1 社会の変動
  2 伝統的農村共同体の変容
  3 ナショナリズムの形成
 第3節 社会主義政権
  1 暫定政権の改革
  2 ラチラカ政権
  (1)国家体制と三権
  (2)一党独裁
  (3)軍エリート間抗争
  (4)農業を利用した開発独裁
  (5)反植民地とナショナリズム
  (6)すべての政策はフクヌルナに集結
  3 アナーキーとなった農村
 第4節 グローバリゼーション
  1 民主化
  2 構造調整期
  3 「民族」の形成と国民の意思
 注・参考文献

第3章 アフリカ政治社会学
 第1節 大国への反発から生まれた戦略
  1 ヨーロッパの植民地政策:「侮蔑」
  (1)暗黒大陸の探検
  (2)ヨーロッパ列強の利害
  (3)直接統治と間接統治
  2 独立運動とアフリカの復権:作られる「伝統」と「民族」
  (1)宗教による抵抗
  (2)戦間期
  (3)建国の父による政党結成
  (4)引き裂かれるアフリカ性
  (5)アフリカン・エリートと宗主国との関係
  (6)パン・アフリカニズムとアフリカ的社会主義
  3 冷戦の「最周辺国」アフリカへの介入:分離独立と「民族」
  (1)コンゴ動乱
  (2)シャバ紛争
  (3)アンゴラ紛争
  (4)南アのアパルトヘイト政策とフロントライン諸国
  (5)ソマリア紛争
 第2節 国家との乖離から生まれたアクター
  1 国家エリート
  (1)ネオ・コロニアリスト
  (2)クーデターと軍事政権
  (3)社会主義
  (4)農村政策と開発独裁
  (5)ネオ・パトリモニアリズムと国家ブルジョワジー
  (6)アフリカ権威主義体制総括
  2 大衆農民と伝統的首長
  (1)タンザニア:ウジャマー村
  (2)ギニア
  (3)セネガル
  3 アフリカにとっての民主化
 第3節 暴力の構造
  1 国家による犯罪
  2 安全保障の問題
  (1)国境
  (2)難民
  (3)子供兵と教育
  (4)エイズ
  3 リベラリズムと国際社会の介入
 第4節 民族中心主義
  1 比較研究:ルワンダ
  2 作られる民族意識:国民国家の下の煽動
  (1)セネガル:カザマンス紛争
  (2)コートジボワール内戦
  (3)ケニア危機
  (4)コンゴ民主共和国:ベンバとマイマイ
  (5)スーダン:ダルフール紛争
  3 農民の「第三のアイデンティティー」
 注・参考文献

結論
 農村政治学と国際政治社会学の確立
 アフリカ農村共同体の変容
 虚構の民族の政治化とアフリカへの寛容さ
 今後の課題



あとがき
索引

前書きなど

序論

 (…前略…)

構成
 以上のような研究目的と研究方法に適合するように、本書の構成を次のように示す。
 まず第1章では、農村を取り巻く理論について検証する。農村という社会をどう捉えればよいのか、政治学・経済学・人類学・社会学などのアプローチから論じていく。その間に国際政治社会学という学問領域が確立していくことになる。そうすることで、アフリカの農村、あるいはアクターとしての農民は、国際的にも国内的にも周縁化していることが理論上、示されるだろう。
 第2章では、マダガスカルの現地調査を紹介する。マダガスカルの歴史を検証することで、農民というアクターが近代化と国民国家建設、グローバリゼーションに飲み込まれ、もがき、反発する様子が見えよう。その際、注目すべきは、今日の民族紛争の根源となる概念が歴史的に形成され、政治的抗争の焦点となる危険に晒されていることである。
 第3章では、第2章の事例検証を受けて、帰納法的にアフリカ地域研究としての確立を試みる。国際秩序と国内政治から周縁化し、歴史的に変容した農村と、暴力の拡大と浸透化、そして民族紛争への発展という現象との因果関係を、アフリカ各国の事例を示しながら、地域の全体像として検証する。最終的には、農村の内部に民族中心主義が形成される条件と環境について、一定の結論を導く。このような議論と検証がアフリカの暴力の構造をえぐり出し、偏見を取り除くことに少しでも貢献できればと思う。

 (…後略…)

著者プロフィール

鍋島 孝子  (ナベシマ タカコ)  (

北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院、国際食資源学院、准教授。
在マダガスカル日本国大使館専門調査員を経て、現職。
パリ第一大学第三課程政治学博士課程修了。博士(政治学)。同アフリカ研究DEA(Diplme d’tudes approfondies)修了。DEA(アフリカ研究)。東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。修士(法学)。
専攻は国際政治学およびアフリカ地域研究。
論文に「ルワンダ虐殺にみる紛争予防の失敗:国際政治にとっての民族紛争のリスク概念」(『メディア・コミュニケーション研究』第61号、pp.35-55)、”Political Participation by African Peasants as Development Actors of Integrated Water Resource Management(総合的水資源管理におけるアフリカ農民の開発アクターとしての政治参加)”, Sanitation Value Chain, Vol.1, pp.51-62, 2017. 等。

上記内容は本書刊行時のものです。