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「社会的なもの」の人類学 関 恒樹 - 明石書店
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「社会的なもの」の人類学 フィリピンのグローバル化と開発にみるつながりの諸相

発行:明石書店
A5判
336ページ
上製
価格 5,200円+税
ISBN
978-4-7503-4602-1
Cコード
C0036
一般 単行本 社会

出版社在庫情報
在庫あり
初版年月
2017年12月
書店発売日
登録日
2017年12月4日
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紹介

ネオリベラリズムによって全てが商品化され効率化される世界の中で、フィリピン社会のしぶとくたくましい人々のつながりから生まれつつある「社会的なもの」に、グローバル化時代の生の解放と規律化の両義的な可能性を見ようとする文化人類学的探究の書。

目次

序章
 第1節 「社会的なもの」とは?
 第2節 「社会的なもの」の変容――問題の所在と意義
 第3節 「社会的なもの」と統治性――分析の視点
 第4節 「社会的なもの」の人類学――先行研究の整理
 第5節 「社会的なもの」とフィリピン――事例の位置づけ
 第6節 本書の構成と各章の概要


第1部 都市における貧困とクライエンテリズム的なつながり

プロローグ

第1章 侵食されるアソシエーション――スラムの土地供給事業とクライエンテリズム的なつながり
 第1節 マリキナ市の都市統治とマランダイ地区
 第2節 CMPとアソシエーション
 第3節 マランダイ地区におけるCMPの展開
 第4節 考察

第2章 さまよえる「人的資本への投資」――条件付現金給付政策と希求されるクライエンテリズム的なつながり
 第1節 フィリピンにおける4Psの概要
 第2節 マランダイ地区における4Psの事例――その包摂のあり方
 第3節 「人的資本への投資」の行方――さらなる周縁化、予期せぬ帰結、対抗的語り
 第4節 考察


第2部 海域社会における資源管理とコミュニティ的つながり

プロローグ

第3章 規律化するコミュニティ――海域資源管理の制度化のプロセス
 第1節 海域資源管理レジームを支える諸制度
 第2節 調査地集落の概要
 第3節 制度化の諸事例
 第4節 考察

第4章 開かれるコミュニティ――海域資源管理制度の文脈化のプロセス
 第1節 ナラ町漁業条例と集落の資源利用形態への影響
 第2節 集落における資源利用形態の再編
 第3節 「クロン/リコム複合」――新たな漁業複合の形成
 第4節 考察

第5章 海域の生計を支えるコミュニティ的つながり――ある漁師のライフヒストリーから
 第1節 「魚を追い求める大いなる競争」の時代とムロアミ漁
 第2節 活気あふれる漁村での新たな生活
 第3節 ネオリベラルな資源管理制度の浸透と資源の利用に関する制限
 第4節 鉱山とエコ・ツーリズムへの転身
 第5節 考察


第3部 トランスナショナルな社会的場における移動と親密なつながり

プロローグ

第6章 「草の根のトランスナショナリズム」と親密なつながり――ある出稼ぎ労働者の妻のライフヒストリーを中心に
 第1節 都市貧困層地区での生活と夫の海外出稼ぎ
 第2節 長男マルコの語るもう1つのバージョン
 第3節 ある海外出稼ぎ女性の死と遺族への補償
 第4節 レバノン紛争に巻き込まれた労働者の救出
 第5節 考察

第7章 差異化としての海外移住――ミドルクラス・プロフェッショナルのアイデンティティに注目して
 第1節 フィリピンのミドルクラス・プロフェッショナルと海外移住
 第2節 ミドルクラス・プロフェッショナルのアイデンティティとその両義性
 第3節 考察

第8章 葛藤のなかの「家族」――アメリカ合衆国におけるフィリピン系1.5世代移民のアイデンティティ
 第1節 子どもの移動と「家族」の表象
 第2節 1.5世代の移動の経験と感情の変遷――悲しみ、怒り、受容
 第3節 フィリピン系1.5世代移民のアイデンティティ――「自立/自律」、「相互依存性」、「関係的自己」の諸相
 第4節 考察

第9章 ゆるやかな連帯の可能性――ミドルクラスの両義的アイデンティティと「95年法」改正運動
 第1節 国家貧困対策委員会(NAPC)と「95年法」改正運動
 第2節 国家貧困対策委員会(NAPC)海外出稼ぎ労働者セクターにつどう人びと
 第3節 考察

終章 結論

 あとがき
 参考文献
 事項索引
 人名索引

前書きなど

序章

 (…前略…)

第6節 本書の構成と各章の概要
 本書は序章と終章の他に、3部に分かれた9つの章で構成される。第1部「都市における貧困とクライエンテリズム的なつながり」では、スラム在住の都市貧困層が直面するリスク、特に土地、雇用、教育など基本的な生活の資源や機会へのアクセスがきわめて限られていることから生じるリスクに注目する。そして、人びとと地方政治家など資源を有する者との間のクライエンテリズム的なつながりが持つ意味について考察する。第2部「海域社会における資源管理とコミュニティ的つながり」では、地方の漁村社会を対象に、海域資源の枯渇による不確実性を経験する、零細漁民たちのリスクに注目する。そのようなリスクに対し、コミュニティに依拠しつつも外部に開かれたつながりが果たす役割を検討する。最後に、第3部「トランスナショナルな社会的場における移動と親密なつながり」では、フィリピンから海外への出稼ぎや移住に伴い拡大するトランスナショナルな社会的場(transnational social field)に内在するリスクに注目する。そこにおいて、コミュニティ、家族、そして同胞などの親密なつながりから生じる共同性について考察する。終章では、これらの諸事例が、今日の「社会的なもの」の再想像/創造において持つ意味を考察したい。

 (…後略…)

著者プロフィール

関 恒樹  (セキ コウキ

1968年生まれ。立教大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)、専門は文化人類学。現在、広島大学大学院国際協力研究科准教授。
主な著書・論文に以下がある。
・『海域世界の民族誌─フィリピン島嶼部における移動・生業・アイデンティティ』(世界思想社、2007年)
・Capitalizing on Desire: Reconfiguring ‘the Social’ and the Government of Poverty in the Philippines, Development and Change 46(6):1253-1276, 2015
・Crafting Livelihood in the Era of Neoliberal Environmentality, in Eder, James and Oscar Evangelista eds., Palawan and Its Global Connections, pp.161-194, Ateneo de Manila University Press, 2014
・Difference and Alliance in Transnational Social Fields: The Pendular Identity of the Filipino Middle Class,” Philippine Studies Vol.60(2): 187-222. 2012

上記内容は本書刊行時のものです。