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水子供養 商品としての儀式 ヘレン・ハーデカー(著) - 明石書店
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水子供養 商品としての儀式 (ミズコクヨウショウヒントシテノギシキ) 近代日本のジェンダー/セクシュアリティと宗教 (キンダイニホンノジェンダーセクシュアリティトシュウキョウ)
原書: Marketing the menacing fetus in Japan

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発行:明石書店
四六判
448ページ
上製
価格 4,000円+税
ISBN
978-4-7503-4599-4   COPY
ISBN 13
9784750345994   COPY
ISBN 10h
4-7503-4599-7   COPY
ISBN 10
4750345997   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年12月
書店発売日
登録日
2017年12月19日
最終更新日
2017年12月19日
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紹介

1970年代に始まり一時期ブームとなった水子供養を、米国の宗教学者が「商業主義」「ジェンダー」の側面に着目し分析。水子供養は宗派を超えた儀式であり、仏教だけでなく、新宗教や神道、霊能者などがその担い手であること、過去の仏教の中絶への理解と現代の水子供養とは大きな断絶があること、週刊誌等を使っての派手な宣伝活動により、女性の恐怖心や罪の意識をあおり、供養が商品化されたこと、その背景には胎児中心主義的レトリック、母性イデオロギー、ジェンダー間の対立があることなどが明らかにされる。

目次

 謝辞
 はしがき

序章
 水子供養の歴史
 現代の枠組み

第一章 水子供養以前における生殖の儀式化
 江戸期における妊娠および出産の儀式化
 出産の儀式化における仏教の守護者の役割
 江戸期における宗教と子堕ろしと性文化
 産婆としてのみき
 国家による妊娠と出産の脱儀式化
 戦後における妊娠と出産の脱儀式化の完了
 まとめ

第二章 水子供養の実践と中絶の本質の変容
 優生保護法の施行
 戦後の中絶の三期区分
 戦後初期(一九四五‐五五年)
 高度経済成長期(一九五六‐七五年)
 一九七六年から現在まで――一〇代と中絶
 生長の家による中絶反対運動
 マスコミにおける「水子」
 水子供養の実践
 まとめ

第三章 現代の性文化における中絶
 はじめに
 事例と代表性との見極め
 第一節
 第二節
 まとめ

第四章 水子供養の担い手
 第一節 霊能者の水子供養実践
  慈恩寺――独立した仏教霊能者と水子供養
  水子とは誰か、そして彼らは何を望んでいるのか
  大規模な水子供養――圓満院
  水子供養大法要
  圓満院の信者の体験談
  新宗教・辯天宗の水子供養
 第二節 仏教僧侶と水子供養
 まとめ

第五章 四つの地域における水子供養
 現地調査の概要・目的・方法
 調査地の選定
 地域的なレベルでの解釈とマクロなレベルでの解釈
 水子供養における地域性
 男性の関与
 神社における水子供養
 修験道の寺および場所における水子供養
 まとめ

結論

 補遺1 日本仏教各宗派における水子供養の様式
 補遺2 岩手県遠野市について

 本書の意義
 監訳者あとがき
 文献一覧

前書きなど

監訳者あとがき

 ヘレン・ハーデカー教授(以下、敬称略)の著書Marketing the Menacing Fetus in Japan(直訳すると『日本における祟る胎児の商業化』)は、一九九七年にUniversity of California Press から刊行されたものです。すでに初版から二〇年もの時を経ており、この間、ジェンダーの視点から水子供養を検討する論文は国内外でいくつも発表されてきました。しかし、本書のようにジェンダーの視点から学際的かつ徹底的に水子供養を論じた研究書は他に見当たらず、水子供養がいかに現代の私たちに影響を与えているかを知るためにも、本書の内容は今もなおたいへん興味深いものです。共訳者と一緒に遅ればせながらも翻訳刊行することを企画したのも、私たち自身がこの本から多くのことを学べたからに他なりません。また、一九九〇年代に著者が行った現地調査やインタビューの数々、集積された数多くのマスコミ報道は、当時の水子供養の実態の一部を生き生きと描き出しており、今になっては入手しにくい研究資料の宝庫としても、本書は貴重な一冊になるはずです。

 (…後略…)

著者プロフィール

ヘレン・ハーデカー  (ヘレン ハーデカー)  (

ハーヴァード大学ライシャワー日本研究所、日本宗教社会学教授。ヴァンダービルト大学の学部生時代から日本の宗教について研究を開始し、1980年にシカゴ大学でジョセフ・キタガワ教授の下で博士号取得。1980‐1989年プリンストン大学宗教学部、1990年から2年間、オーストラリアのグリフィス大学現代アジア研究所で教鞭をとり、1992年から現職。その宗教研究は伝統的な教義や儀式が現代人の生活にいかに変容され採用されていくかに焦点を合わせている。現代日本宗教史を中心に、現代の神道、仏教教団、在日韓国人の宗教生活に研究の幅を広げ、国家神道と現代的な中絶の儀式化の研究も手掛ける。現在は憲法改正とその宗教団体への影響について主に研究を進めている。2003年、J・S・グッゲンハイム・フェローシップを取得、2014年には全米芸術科学アカデミーに選出された。本書の原著でアリサワ・ヒロミツ賞受賞。

塚原 久美  (ツカハラ クミ)  (監訳

1980年代半ばよりフリーランスの翻訳家・ライターとして活躍。金沢大学大学院にてジェンダーの観点から日本の中絶問題を研究し、博士号取得。
主著 『中絶技術とリプロダクティヴ・ライツ――フェミニスト倫理の視点から』(勁草書房、2014年)
訳書 ティアナ・ノーグレン『中絶と避妊の政治学――戦後日本のリプロダクション政策』(共訳、青木書店、2008年)、ドゥルシラ・コーネル『イマジナリーな領域――中絶、ポルノグラフィ、セクシュアル・ハラスメント』(共訳、御茶ノ水書房、2006年)、ウィリアム・R・ラフルーア『水子――〈中絶〉をめぐる日本文化の底流』(共訳、青木書店、2006年)など。

清水 邦彦  (シミズ クニヒコ)  (監修

金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系国際学類教授。
筑波大学助手等を経て、1999年金沢大学文学部人間学科比較文化学講座助教授。2017年より現職。博士(歴史民俗資料学、神奈川大学)。
主著 『中世曹洞宗における地蔵信仰の受容』(岩田書院、2016年)
訳書 ウィリアム・R・ラフルーア『水子――〈中絶〉をめぐる日本文化の底流』(共訳、青木書店、2006年)

猪瀬 優理  (イノセ ユリ)  (

龍谷大学社会学部准教授。宗教社会学。
日本学術振興会特別研究員を経て、北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。北海道大学大学院文学研究科助教を経て現職。博士(行動科学)。
主著 『信仰はどのように継承されるか――創価学会にみる次世代育成』(北海道大学出版会、2011年)、櫻井義秀・川又俊則編『人口減少社会と寺院――ソーシャルキャピタルの視座から』(共著、法藏館、2016年)。

前川 健一  (マエガワ ケンイチ)  (

創価大学大学院文学研究科准教授。仏教学・生命倫理学。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学、東京大学)。
著書 『明恵の思想史的研究』(法藏館、2012年)、『明恵上人夢記訳注』(共編、勉誠出版、2015年)。

上記内容は本書刊行時のものです。