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移民の子どもと学校 OECD(編著) - 明石書店
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移民の子どもと学校 (イミンノコドモトガッコウ) 統合を支える教育政策 (トウゴウヲササエルキョウイクセイサク)
原書: Immigrant Students at School: EASING THE JOURNEY TOWARDS INTEGRATION

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発行:明石書店
B5判
176ページ
並製
価格 3,000円+税
ISBN
978-4-7503-4530-7   COPY
ISBN 13
9784750345307   COPY
ISBN 10h
4-7503-4530-X   COPY
ISBN 10
475034530X   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0037  
0:一般 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年6月
書店発売日
登録日
2017年5月25日
最終更新日
2017年6月15日
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紹介

移民の子どものコミュニティや学校への統合について、学校での成績や学力、帰属感、社会経済的背景、そして将来に対する希望や親の期待などのさまざまな側面から、PISA調査等の実証データをもとに考察する。近年の難民問題と教育にも焦点を当てる。

目次

 監訳者解説――移民へのまなざしと学校の役割を問う――
 序文
 刊行にあたって
 要約

第1章 移民をめぐる国際的動向と教育問題
 はじめに
 第1節 過去50年の移民史
 第2節 各国における移民の子どもの割合とその特徴

第2章 移民の子どもの学力と学校での帰属感
 はじめに
 第1節 受け入れ国の教育システムの役割
 第2節 社会経済的背景と移民の子どもの学力
 第3節 学校での帰属感

第3章 移民へのまなざし
 はじめに
 第1節 受け入れ国における移民へのまなざし
 第2節 移民へのまなざしにみられる傾向
  ・難民と教育への注目
  ・一次庇護国では、難民向けにどのような教育経験が提供されているか

第4章 移民の子どもの低学力の要因
 はじめに
 第1節 不利な条件の集中
 第2節 言語に関する不利な条件
  2.1 学齢後期での移動によって生じる困難
  2.2 言語支援の有無
  2.3 母語・継承語の能力を維持すること
 第3節 就学前教育プログラムへの参加状況
 第4節 学習・留年・トラッキングにかかわる要因

第5章 教育に対する移民の親の期待と子どもの学習意欲
 はじめに
 第1節 子どもに対する移民の親のアスピレーション
 第2節 移民の子どものアスピレーション

第6章 移民の統合を支える教育政策
 はじめに
 第1節 当面の政策対応
  1.1 継続的な言語支援を可能な限り早く、通常クラス内で実施する
  1.2 子どもに質の高い就学前教育を受けさせるよう、移民の親に促す
  1.3 すべての学校において、移民の子どもの受け入れ体制を整える
 第2節 効果の高い中期的対応
  2.1 不利な状況にある学校に、移民の子どもを集中させないようにする
  2.2 能力別編成や早期のトラッキング、留年を避ける
  2.3 移民の親に特別な支援・指導をおこなう
 第3節 統合強化に向けた取り組み
  3.1 イノベーションと実験的試みを支援し、結果を評価して、有効な事案に的を絞って財政支援をおこなう
  3.2 文化的多様性の価値を示す
  3.3 取り組みの進展状況をモニタリングする

 付録 移民の子どもに関するデータ・表(抜粋)
 訳者あとがき


コラム・図・表の一覧

――第1章 移民をめぐる国際的動向と教育問題
コラム1.1 PISA調査における移民の子どもの定義
図1.1 外国生まれ人口比(2000?01年、2011?12年)
図1.2 各国における移民1世と移民2世の子どもの割合の変化
図1.3 移民の子どもの割合と読解力の得点との関連性
図1.4 教育を受けた親をもつ移民1世の子ども
図1.5 学歴過剰の傾向:現居住国生まれの成人と外国生まれの成人との比較

――第2章 移民の子どもの学力と学校での帰属感
図2.1 移民の子どもの読解力・数学的リテラシー・問題解決能力の得点
図2.2 数学的リテラシーと読解力の得点が低い移民の子どもの割合の変化(2003年から2012年)
図2.3 出身国、移住先の国別にみた移民の子どもの数学的リテラシーの得点
図2.4 移民背景別にみた数学的リテラシーの得点差の変化(2003年から2012年)
図2.5 移民背景別にみた数学的リテラシーの得点変化(2003年から2012年)
図2.6 学歴の低い母親をもつ子どもの割合の傾向(2003年から2012年)
図2.7 移民背景別にみた学校での幸福度
図2.8 移民背景別にみた学校での帰属感
図2.9 子どもの学校での帰属感の変化(2003年から2012年)
図2.10 出身国、移住先の国別にみた移民の子どもの学校での帰属感

――第3章 移民へのまなざし
コラム3.1 PISA調査におけるグローバル・コンピテンスの測定
図3.1 学校での帰属感と読解力の関連
図3.2  ヨーロッパ諸国における移民へのまなざし
図3.3 ヨーロッパ以外の貧困国出身の移民へのまなざしにみられる傾向(2000年から2012年)
図3.4 人種・エスニシティの類似性に照らした移民に対するまなざしと変化(2000年から2012年)
図3.5 経済状況に対する認識別にみた移民へのまなざし
図3.6 教育システムの状況に関する認識別にみた移民へのまなざし
図3.7 移民がほかの市民と同じ権利を有するべきだと考える移民背景をもたない子どもの割合
図3.8 出身文化ないし受け入れ国の祝祭への参加と学校での幸福度
図3.a 主な難民受け入れ国と出身国

――第4章 移民の子どもの低学力の要因
図4.1 特定の学校に集中する移民の子ども
図4.2 不利な条件の集中と子どもの成績
図4.3 子どもの社会経済的背景を考慮したうえでの数学的リテラシーの得点差の縮小
図4.4 家庭でPISA調査言語を使用しない移民の子どもの割合
図4.5 読解力の得点差と家庭で使用される言語
図4.6 デジタル読解力調査の得点と家庭で使用する言語との関係
図4.7 移民1世と移民2世の子どものデジタル読解力の得点
図4.8 移動時の年齢別にみた読解力の得点
図4.9 移動時の年齢によって生じる言語上の困難
図4.10 学校での言語支援
図4.11 移民の子どもが家庭で使用する言語と読解力の得点
図4.12 母語・継承語の使用
図4.13 母語・継承語で授業を受けている移民の子どもの割合
図4.14 就学前教育プログラムへの参加状況と移民背景
図4.15 就学前教育プログラムへの参加状況別にみた移民の子どもの読解力の得点
図4.16 移民背景別にみた数学的概念に対する親和性
図4.17 移民背景別にみた、移動により2か月分に相当する学習時間を喪失している子ども
図4.18 多文化的状況での教授に関する教師の専門性開発のニーズ
図4.19 学校におけるエスニシティの多様性に対するまなざし
図4.20 留年と移民背景
図4.21 職業教育トラックと移民の社会経済的背景

――第5章 教育に対する移民の親の期待と子どもの学習意欲
図5.1 子どもの教育に対する親の期待:移民背景別に
図5.2 専門職や管理職として働きたいという子どもの期待:移民背景別に
図5.3 問題解決に対する態度:移民背景別に
図5.4 移民の子どもがもつ逆境に負けないレジリエンス

――第6章 移民の統合を支える教育政策
図6.1 移民の子どもに関する教育政策の類型

――付録 移民の子どもに関するデータ・表(抜粋)
表1.1 移民人口の変化
表2.1 移民の子どもの数学的リテラシー・読解力・問題解決能力の得点
表2.2 数学的リテラシーの得点と移民背景の相関にみられる変化(2003年から2012年)
表2.3 受け入れ国・地域、出身国・地域、数学的リテラシーの得点
表2.4 移民背景別にみた学校での帰属感と幸福度
表3.1 ヨーロッパにおける移民へのまなざし
表4.1 学校における移民の子どもの集中
表4.2 家庭で調査言語を使用しない移民の子どもの割合
表4.3 子どもの特徴を考慮に入れた後での得点差の縮小
表4.4 就学前教育への参加と移民背景
表5.1 移民背景別にみた専門職や管理職として働く希望
表5.2 移民背景別にみた問題解決に対する関心
表5.3 移民の子どもがもつ逆境に負けないレジリエンス
表5.4 民背景別にみた子どもの教育に対する親の期待

前書きなど

 学校をはじめ教育システムが移民にどのように開かれているのか――この問いは、移民背景をもつかもたないかにかかわらず、このシステムが対象とするすべての人びとの経済的・社会的な幸福度に大きな影響を与える。本書は、移民の子どもが新しいコミュニティや学校に参入するときに直面する困難のみならず、これらの場所で移民の子どもがなしうる貢献のいくつかを明らかにしている。
 OECD生徒の学習到達度調査(PISA)により、移民の子どもは移民背景をもたない子どもよりも、学校での成績が振るわない傾向にあることがわかっている。この違いの背景にはいくつかの要因がある。たとえば、移民の子どもが通う学校に不利が集中しているという状況、言語的障壁、留年やトラッキングといった学校に関する特定の政策といったものが考えられる。これらによって、移民の子どもが学校を通じて成長しようにも疎外されてしまう可能性がある。
 しかし、統合の成否は、学校での成績や学力だけで判断されるわけではない。移民の子どもの幸福度や将来に対する希望もまさに統合のありようを判断する材料となる。本書では、移民の子どものアスピレーションや学校での帰属感のみならず、ヨーロッパ各国にやってくる移民を歓迎するかどうかというまなざしにみられる近年の動向も検討している。こういったまなざしこそ、移民の子どもが新しいコミュニティに適切に統合されるかに直結する背景文脈をなすのである。本書では、難民と教育に関する特別セクションも設け、移民を対象とする教育政策上の対応に関して幅広く論じている。

著者プロフィール

布川 あゆみ  (フカワ アユミ)  (監訳

2016年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。現在、東京外国語大学世界言語社会教育センター特任助教。専門は、比較教育学、教育社会学。主な論文・訳書に、「ドイツにおける移民の子どもの『学校適応』――学力と進学先に着目して――」(山本須美子編著『ヨーロッパにおける移民第二世代の学校適応:スーパー・ダイバーシティへの教育人類学的アプローチ』明石書店、2017年)、「移民の高い教育期待とドイツ社会の『閉鎖性』」(園山大祐編著『岐路に立つ移民教育:社会的包摂への挑戦』ナカニシヤ出版、2016年)、『21世紀型学習のリーダーシップ:イノベーティブな学習環境をつくる』(共監訳、OECD教育研究革新センター編著、2016年、明石書店)など。

木下 江美  (キノシタ エミ)  (監訳

2010年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。現在、ライプツィヒ大学教育科学部学術協力者、東洋大学アジア文化研究所客員研究員、放送大学非常勤講師。専門は、教育思想史、比較教育学、バイオグラフィ研究。主な論文・訳書に、「移民背景をもつ教師の自伝を読む:アフガニスタン出身ムスリム女性にとってのドイツにおける多様性の問題」(東洋大学アジア文化研究所編『アジア文化研究所研究年報』第51号、2016年)、「移民の子どもの教育からみるドイツの統合と多文化社会(園山大祐編著『岐路に立つ移民教育:社会的包摂への挑戦』ナカニシヤ出版、2016年)、『21世紀型学習のリーダーシップ:イノベーティブな学習環境をつくる』(共監訳、OECD教育研究革新センター編著、2016 年、明石書店)など。

斎藤 里美  (サイトウ サトミ)  (監訳

1990年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程満期退学。現在、東洋大学文学部教授。専門は教育社会学、教育目標・評価論。主な著訳書に、『多様性を拓く教師教育:多文化時代の各国の取り組み』(監訳、OECD教育研究革新センター編著、明石書店、2014年)、『OECD 教員白書:効果的な教育実践と学習環境をつくる〈第1回OECD国際教員指導環境調査(TALIS)報告書〉』(監訳、OECD編著、明石書店、2012年)、『移民の子どもと格差:学力を支える教育政策と実践』(監訳、OECD編著、明石書店、2011年)、『移民の子どもと学力:社会的背景が学習にどんな影響を与えるのか〈OECD-PISA2003年調査 移民生徒の国際比較報告書〉』(監訳、OECD編著、明石書店、2007年)、『シンガポールの教育と教科書:多民族国家の学力政策』(編著・監訳、明石書店、2002年)など。

三浦 綾希子  (ミウラ アキコ)  (

2013年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。現在、中京大学国際教養学部准教授。専門は、教育社会学、異文化間教育学。主な著書・論文に、『ニューカマーの子どもと移民コミュニティ:第二世代のエスニック・アイデンティティ』(勁草書房、2015年)、「日本人でもなく外国人でもなく――日本で暮らすニューカマーの子どもたち」(青木利夫・柿内真紀・関啓子編著『生活世界に織り込まれた発達文化』東信堂、2015年)、「フィリピン系エスニック教会の教育的役割――世代によるニーズの差異に注目して」(日本教育社会学会編『教育社会学研究』90号、2012年)など。

大西 公恵  (オオニシ キミエ)  (

2013年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、和光大学現代人間学部准教授。専門は、教育史、教育方法論。主な著書に、『日本の学校受容:教育制度の社会史』(共著、木村元編著、勁草書房、2012年)など。主な論文に、「1950年代初期における職業・家庭科のカリキュラム編成――長野県飯田市立飯田東中学校の事例を通して」(『〈教育と社会〉研究』第26号、2016年)、「1930年代初期における国語科の教育目的の問い直し――第34回全国小学校訓導協議会の議論を通して」(『和光大学現代人間学部紀要』第9号、2016年)、「山路兵一「遊びの善導」論再考――学習雑誌『伸びて行く』との関連に注目して」(『教育目標・評価学会紀要』第16号、2006年)など。訳書に、『21世紀型学習のリーダーシップ:イノベーティブな学習環境をつくる』(共訳、OECD教育研究革新センター編著、2016年、明石書店)など。

藤浪 海  (フジナミ カイ)  (

2014年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在学中。専門は、国際社会学、国際移民研究。主な論文に、「ブラジル系移民コミュニティと第二世代男性の進路選択――横浜市鶴見区の学習教室の事例から」(移民政策学会編『移民政策研究』第9号、2017年)、「沖縄を旅するブラジル系移民の子どもたち――集落単位での帰還訪問がもたらす精神的エンパワメント」(日本移民学会編『移民研究年報』第23号、2017年)、「移民ネットワークとしてのオキナワン・ディアスポラ――横浜市鶴見区のブラジル系・ボリビア系・アルゼンチン系移民の事例から」(関東社会学会編『年報社会学論集』第28号、2015年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。