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中国雲南省少数民族から見える多元的世界 荻野 昌弘(編著) - 明石書店
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中国雲南省少数民族から見える多元的世界 (チュウゴクウンナンショウショウスウミンゾクカラミエルタゲンテキセカイ) 国家のはざまを生きる民 (コッカノハザマヲイキルタミ)

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発行:明石書店
A5判
192ページ
上製
価格 3,800円+税
ISBN
978-4-7503-4508-6   COPY
ISBN 13
9784750345086   COPY
ISBN 10h
4-7503-4508-3   COPY
ISBN 10
4750345083   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0336  
0:一般 3:全集・双書 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年4月
書店発売日
登録日
2017年4月20日
最終更新日
2017年4月20日
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紹介

「排除」と「包摂」の二元論的思考を超え、「排除型社会」とは異なる社会のあり方を構想する本叢書の第一巻は、西欧的知の埒外にある中国雲南省の少数民族に焦点をあて、現地調査により新たな社会理論の構築を提示し、社会学のパラダイム転換をはかる。

目次

 叢書『「排除と包摂」を超える社会理論』序文
 はじめに

第1章 国境のなかで生きるひとびと、国境を知らざるひとびと[荻野昌弘]
 1 オランダ共和国の誕生
 2 他者の創出
 3 アジアにおける支配と空間
 4 社会概念再考──国家を知らない世界をいかに捉えるのか

第2章 小盆地と山上──雲南省新平県における民族と地理、およびその社会的変遷[李永祥/翻訳:村島健司]
 1 はじめに──雲南の小盆地概念
 2 新平県の小盆地と山上
 3 小盆地と山上の社会文化的変遷
 4 小盆地および山上の社会適応と未来における都市化の趨勢

第3章 ある山上の少数民族村落の変貌──竹園村1996~2015[荻野昌弘/村島健司]
 1 龍神祭
 2 食と供犠
 3 学校教育と消費文化
 4 竹園村2015
 コラム1 雲南と少数民族を見る視線──笑顔と投げ槍[佐藤哲彦]

第4章 小盆地の都市再開発──新平県県城・戛洒と「文化」の創出[荻野昌弘/村島健司/林梅]
 1 戛洒とタイ族の民族文化表象
 2 県城の都市開発と民族文化
 3 ダム建設に伴う移住──あるハニ族村落の事例から
 4 文化の誕生と全体性の終焉
 コラム2 新平県城老街[西村正男]

第5章 中国の民族、エスニック・グループと民族識別[李永祥/翻訳:宮脇千絵]
 1 エスニック・グループ、民族とエスニシティ
 2 中国の民族識別
 3 第二代民族政策およびその批評
 4 小結
 コラム3 雲南における〈葛藤を生じない多文化関係〉[金明秀]

第6章 錯綜する民族境界──中国雲南省のタイ族の観光化を事例として[林梅]
 1 はじめに
 2 調査対象と調査方法
 3 中国特有の民族の構造──支系を中心に
 4 民族村──民族の大団結
 5 新平花腰タイの観光開発
 6 P村の二つの実践
 7 錯綜する民族境界

第7章 永遠の聶耳──そのメディアとの関わり[西村正男]
 1 聶耳の短い人生とメディア
 2 メディアにおける死後の聶耳
 3 各地での顕彰活動
 4 まとめ

終章 他者を見よ──グローバリゼーションを超えて[荻野昌弘]
 1 移動の意味
 2 同一性の連鎖
 3 他者を見よ──排除と包摂の論理を超えて
 4 エピローグ

 索引

前書きなど

叢書『「排除と包摂」を超える社会理論』序文

 叢書『「排除と包摂」を超える社会理論』全三巻は、関西学院大学先端社会研究所共同研究「「排除」と「包摂」の二元論を超える社会調査」(2012-2015年度)の研究成果である。その出発点は、次のような問題意識にある。
 1970年代以降、欧米社会では、「包摂型社会」から「排除型社会」へと移行しているという認識が生まれた。この傾向は、1990年代以降、グローバリゼーションとネオリベラリズムの大波の中、急速に進行していることは明らかであろう。そして、欧米社会のみならず、日本社会においても、同様の動きが、顕在化している。
 こうした動きに対して、社会のあり方を再創造する新たな社会思想の登場が期待されており、日本においても、たとえば、西欧思想史を援用しつつ、社会を多様性と複数性、流動性と包摂性からなる、「多にして一」の世界として再構想する思索などが登場している。
 もっとも、社会の再創造は、西欧思想史を導きの糸としてその作業を行う立場とともに、西欧とは異なる地域における生の経験に学びつつ、これを行うという道筋もありえるであろう。
 本研究は、欧米における社会思想形成の動向に配慮しつつも、後者の立場に立った社会構想研究を実施するものである。具体的には、「排除」と「包摂」の二元論的思考を超え出て、アジアにおける「排除」と「包摂」をめぐる経験の多様性の中から、「排除型社会」とは異なる社会のあり方を構想する知的資源、あるいは「排除型社会」を生き延びるための社会理論を取り出そうとするのが、本研究がめざすところである。

 以上のような問題意識に基づいた、四年間にわたる、さまざまな地域における調査と共同討議が、本叢書全三巻に結実した。本叢書を契機として、「排除」と「包摂」を「超え出る」ような議論が新たに高まれば幸いである。

   叢書『「排除と包摂」を超える社会理論』編著者一同

著者プロフィール

荻野 昌弘  (オギノ マサヒロ)  (編著

関西学院大学社会学部教授
1957年生まれ。著・編著に『資本主義と他者』(関西学院大学出版会 1998年)、Fissures (Ed. de la Villette, 1998)、『文化遺産の社会学』(編:新曜社 2007年)、『零度の社会──詐欺と贈与の社会学』(世界思想社 2005年)、Scams and Sweeteners(Trans Pacific Press, 2007)、『開発空間の暴力』(新曜社 2012年)、Un Japonais en Haute-Marne (Ed.Chatelet-Voltaire, 2015)など。

李 永祥  (リ ヨンシアン)  (編著

中国雲南省社会科学院民族文学研究所主任研究員
1964年生まれ。イ族出身 ワシントン大学 ph.D. 専攻は、人類学。主な著作に、『国家権力与民族地区可持続発展──雲南哀牢山区環境、発展与政策的人類学考察』(中国書籍出版社 2008年)、『舞踏人類学視野中的彝族煙盒舞』(雲南民族出版社 2009年)、『泥石流災害的人類学研究』(知識産権出版社 2012年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。