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共同研究 安重根と東洋平和
東アジアの歴史をめぐる越境的対話
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年3月
- 書店発売日
- 2017年3月24日
- 登録日
- 2017年3月24日
- 最終更新日
- 2017年3月24日
紹介
日本では伊藤博文の暗殺者、韓国では愛国殉国者とその歴史的評価が日韓で対立する安重根。彼の東洋平和論を掘り下げながら、東アジアで対立する歴史認識の根源を探り、歴史を克服した平和の構築を目指しす日韓豪の研究者たちの白熱した討議記録。
目次
はじめに[李洙任]
序章 安重根の遺墨と和解に向けての越境的対話[李洙任]
第Ⅰ部 安重根像
第1章 歴史の沈黙と歴史の記憶――安重根の遺墨と「東洋平和論」の意義[牧野英二]
第2章 東アジア歴史認識問題の焦点としての安重根――東北アジア情勢と「東洋平和論」[柳永烈]
第3章 安重根と梁啓超――近代東アジアの二つのともしび[李泰鎭]
第4章 安重根遺骸発掘の現況と課題――日本に問う、遺骸はどこにあるのか[金月培]
第5章 東洋平和とは何か――安重根が拓いた新地平[中村尚司]
第Ⅱ部 歴史認識
第6章 越境する戦争の記憶――歴史認識、草の根の和解そして安重根の遺産[テッサ・モーリス=スズキ]
補論1 首相談話から見えて来る、この国の歴史認識[谷野隆]
第7章 安重根の汎アジア主義と日本の朝鮮学校のトランスナショナルな類似点について[スーザン・メナデュー・チョン]
補論2 高校無償化からの朝鮮高校除外の問題に関する意見書[田中宏]
第8章 福沢諭吉の朝鮮観――勝海舟と対比して[仲尾宏]
第9章 転向者・小林杜人における「弁証法」的真宗理解について[平田厚志]
第Ⅲ部 過去責任
第10章 こじれた日韓関係 和解への道を探る!――強制連行・『慰安婦』問題についての韓国の判決を手掛かりに[戸塚悦朗]
第11章 韓国大法院判決とダーバン宣言から見る朝鮮人強制連行・強制労働――日本製鐵(現・新日鐵住金)の事例から[中田光信]
第12章 強制連行企業の戦後補償責任――現代日本企業の過去責任と責任倫理[重本直利]
第13章 戦時期国策会社の鉱山開発――『帝国鉱業開発株式会社社史』から[細川孝]
補論3 鉱山労働者の苦難を学び、未来に活かす[李順連]
第14章 地域史料の掘りおこしと歴史教育[田中仁]
終章 「東洋平和論」の現代的探求――越境的連帯へ[重本直利]
おわりに[重本直利]
索引
翻訳者紹介
執筆者紹介
前書きなど
はじめに
本書は、龍谷大学社会科学研究所共同研究プロジェクト「日韓未来平和交流事業の学際的研究─龍谷大学所蔵の安重根の『遺墨』『丹波マンガン記念館』に代表される歴史・文化資産の調査研究とその有効利用」(二〇一三年四月から二〇一六年三月)および同研究所付属安重根東洋平和研究センターの研究成果である。本研究は、本学所蔵の「安重根の遺墨」や強制連行の歴史を刻印する「丹波マンガン記念館(京都市右京区)」などに代表される日本に埋もれた日韓の貴重な歴史・文化遺産について歴史的、政治・経済的、文化的側面から学際的に解明していくことを目的にした。本研究に至った背景に、上記共同研究テーマにある龍谷大学図書館所蔵の安重根の遺墨の存在がある。この遺墨三幅は、一九〇九年一〇月二六日、中国東北部のハルビン駅で元老・伊藤博文(初代総理大臣・初代韓国統監)を射殺した韓国の独立運動家である安重根が、翌年三月二六日に旅順監獄で処刑される直前に監獄の中で書き残したものである。それがなぜ龍谷大学に存在するのであろうか? まずそのような素朴な疑問を胸に抱いた意志ある研究者が集結した。そして、それらの共通点は、悪化していた日韓関係を改善する糸口を探したいとする強い思いであった。結果として、研究分野の広がりの中、市民の参画も積極的に促す学際的・共同的な研究活動が始まり、研究成果を社会に有機的に関連づけさせるという方針を基本姿勢としてきた。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。