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宗教哲学論考 星川 啓慈(著) - 明石書店
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宗教哲学論考 (シュウキョウテツガクロンコウ) ウィトゲンシュタイン・脳科学・シュッツ (ウィトゲンシュタインノウカガクシュッツ)

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発行:明石書店
四六判
386ページ
上製
価格 3,200円+税
ISBN
978-4-7503-4490-4   COPY
ISBN 13
9784750344904   COPY
ISBN 10h
4-7503-4490-7   COPY
ISBN 10
4750344907   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0010  
0:一般 0:単行本 10:哲学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年3月
書店発売日
登録日
2017年3月22日
最終更新日
2018年2月28日
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紹介

宗教哲学者である著者が生涯ずっと関心を抱いてきた2人の哲学者、L・ウィトゲンシュタインとA・シュッツ。この2人の哲学を中心に生、神、神経科学(脳科学)、心、祈り、宗教といった問題に独自の視点から挑んだ著者の研究の集大成。

目次

 まえがき

第Ⅰ部 ウィトゲンシュタインの生と哲学

第1章 ノルウェーにあるウィトゲンシュタインの「小屋」の跡に立って
 はじめに
 第一節 ショルデンのウィトゲンシュタイン
 第二節 筆者たちのショルデン紀行の開始
 第三節 小屋跡に立つ
 第四節 小屋跡の様子
 第五節 ウィトゲンシュタインと統合失調症
 第六節 『論理哲学論考』における「自我」の精神分析
 第七節 小屋の再現プロジェクト
 第八節 ウィトゲンシュタイン・アーカイブズ
 第九節 ケンブリッジ大学とウィトゲンシュタインの墓
 おわりに 

第2章 独創的な「否定神学」の著作としての『論理哲学論考』――ボヘンスキーの批判も踏まえて――
 はじめに
 第一節 ブルシーロフ攻勢での激闘と『秘密の日記』『草稿一九一四―一九一六』
 第二節 「否定神学」の著作としての『論理哲学論考』
  [図]ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』の系統樹
 第三節 ボヘンスキーのウィトゲンシュタイン批判
 おわりに――独創的な「否定神学」の著作としての『論理哲学論考』

第3章 太陽とウィトゲンシュタインの宗教体験――一九三七年三月に書かれた『哲学宗教日記』の分析――
 はじめに 
 第一節 『哲学宗教日記』と『秘密の日記』
 第二節 一九三七年三月四日以降の『哲学宗教日記』にみる「太陽」
 第三節 「太陽の体験」と統合失調症
 おわりに――人間と太陽

第Ⅱ部 宗教と神経科学

第4章 決定論と自由意志論の狭間を生きたベンジャミン・リベット――ユダヤ教と実験神経生理学――
 はじめに
 第一節 リベットの研究上の立場
 第二節 リベットの生い立ちと改名
 第三節 リベットの実験
 第四節 リベットとユダヤ教
 おわりに
 付論――リベットの「自由意志の擁護」への疑義

第5章 宗教哲学と脳科学――エクルズ/ポパーの『自我と脳』と「神経宗教哲学」の構想――
 はじめに
 第一節 宗教と脳をめぐる二つの対立する立場
 第二節 宗教と脳科学がおかれている現状と本章の内容
 第三節 宗教体験と脳科学の対立
 第四節 ポパー/エクルズの『自我と脳』再考
 第五節 宗教体験と脳科学における「人称」の問題
 第六節 「三つの世界」をめぐる三つの立場
 第七節 言語と心と脳の関係
 第八節 唯物論/物理主義批判
 おわりに――言語重視の「神経宗教哲学」の構想
 付論――ニューバーグの「神経神学」における神経科学と神経との関わり

第Ⅲ部 「祈り」の分析

第6章 シュッツ現象学による「祈り」の分析――言語哲学の観点とともに――
 はじめに
 第一節 「祈り」を分析するための現象学と分析哲学との融合
 第二節 現代における宗教と、宗教の中核/本質としての祈り
 第三節 祈りとシュッツ現象学
 第四節 祈りと言語哲学
 第五節 結論的見解
 おわりに
 用語解説

 あとがき

 初出一覧
 引用・参照文献
 英文要旨

前書きなど

まえがき

 (…前略…)

Ⅱ 本書の構成と各章の内容
 第Ⅰ部はウィトゲンシュタインをめぐる三つの論考であり、これまでの正統的な文献学的研究には見られない観点をふんだんに取り入れた。
 第1章では、ノルウェーのショルデンにあるウィトゲンシュタインが建てた「小屋」(の跡)の周辺を、現地で撮影した写真をまじえながら散策する――本章は本書の導入部分である。(……)
 第2章では、ウィトゲンシュタインの度重なる戦闘体験と、『論理哲学論考』『秘密の日記』『草稿一九一四―一九一六』とを結び付けながら考察を展開する。そして、「『論考』の基本的枠組みが成立したのは一九一六年の七月六日・七日である」という仮説を提出する。(……)
 第3章では、その『哲学宗教日記』とウィトゲンシュタインの小屋が置かれた自然環境との結びつきについて思索をめぐらす。筆者は、二〇一四年の「早春」に、運よく天候に恵まれ、実際にこの小屋の跡に立つことができた。そして、七七年前の一九三七年の冬に書かれた彼の日記を現場で読むことで、大いにインスピレーションを授かった。ウィトゲンシュタインは、一人の人間として、寒くて暗い冬のノルウェーの山中に建てた小屋で、太陽が現われるのを待ち焦がれおり、三月に現われた太陽の暖かい陽射しが彼を或る「宗教体験/宗教的境地」に導いた、というのが結論である。(……)
 第Ⅱ部は、最近めざましい進歩をとげつつある、神経科学(脳科学)と心や宗教をめぐる二つの論考である。神経科学にいかなるスタンスをとるかを決めることは、宗教にかかわる人々の喫緊の課題であろう。
 第4章は、数十年にわたって議論されている、「実験神経生理学者」B・リベットの重要な研究(意識活動に先立って脳活動が生起する、ないし、脳活動を後追いして意識が生じる)についての考察である。(……)
 第5章は、ノーベル生理学医学賞を受賞したJ・エクルズと哲学者K・ポパーの大部の共著『自我と脳』を手がかりに、或る種の「神経宗教哲学」を構想するものである。(……)
 第Ⅲ部には、現象学者であるA・シュッツの理論を中心としながらも、多方面に目配りをした、「祈り」についての論考を収める。特殊な現象学の用語を使用するので、シュッツや現象学にそれほど馴染みのない読者の便宜を考えて、章末に「用語解説」を付した。
 第6章では、シュッツ現象学と分析哲学の諸知見とを統合して、宗教現象の「核心」と目される「祈り」にアプローチする。(……)

 (…後略…)

著者プロフィール

星川 啓慈  (ホシカワ ケイジ)  (

大正大学文学部教授、同大学大学院比較文化専攻長
1956年、愛媛県川之江市(現・四国中央市)生まれ。1984年、筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専攻は宗教学・宗教哲学。
単著に『ウィトゲンシュタインと宗教哲学――言語・宗教・コミットメント』ヨルダン社 1989、『宗教者ウィトゲンシュタイン』法蔵館 1990、『悟りの現象学』法蔵館 1992、『言語ゲームとしての宗教』勁草書房 1997、『宗教と〈他〉なるもの――言語とリアリティをめぐる考察』春秋社 2011など。共編著に『統合失調症と宗教――医療心理学とウィトゲンシュタイン』創元社 2010、『ウィトゲンシュタイン「秘密の日記」――第一次世界大戦と「論理哲学論考」』春秋社 2016など。

上記内容は本書刊行時のものです。