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現代スペインの諸相 坂東 省次(監修) - 明石書店
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現代スペインの諸相 (ゲンダイスペインノショソウ) 多民族国家への射程と相克 (タミンゾクコッカヘノシャテイトソウコク)

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発行:明石書店
A5判
252ページ
上製
価格 3,800円+税
ISBN
978-4-7503-4453-9   COPY
ISBN 13
9784750344539   COPY
ISBN 10h
4-7503-4453-2   COPY
ISBN 10
4750344532   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2016年12月
書店発売日
登録日
2016年12月27日
最終更新日
2016年12月27日
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紹介

フランコ死去から40年、民主化と経済の自由化が進んだスペインはそこからどんな教訓を得、今後どこへ向かって行こうとしているのか。経済格差、自治州の独立騒動など様々な課題を抱える現在の情勢に、11名の研究者が各自の視点から迫る総合的スペイン論。

目次

 はしがき[牛島万]

第1章 スペイン政治社会の変遷[川成洋]
 はじめに
 1.フアン・カルロス1世の即位からスアレス内閣の総辞職
 2.「23-F」クーデター
 3.社会労働党(PSOE)政権から、その後の多党制政権
 おわりに

第2章 スペイン移民社会の変遷[中川功]
 1.フランコ体制下の移民送り出し
 2.スペイン人移民の帰還とスペインへの外国人の本格的受け入れ
  (1)スペイン人移民の母国帰還
  (2)送り出しつつ受け入れが始まった
 3.経済危機と外国人受け入れの継続
  (1)在留モロッコ人とイスラーム人口の増加
  (2)在留エクアドル人と母国への帰還
  (3)「外国人労働者」としてのルーマニア人
  (4)ライフスタイル移住者としてのイギリス人
 4.スペインにおける「移民」の出入国新現象
  (1)スペイン人の国外移住
  (2)スペインにおける難民の受け入れと不法侵入
 5.今後の課題.むすびにかえて

第3章 アンダルシアの社会経済の変遷[塩見千加子]
 はじめに
 1.アンダルシア自治州の成立とフェリぺ・ゴンサレス政権
 2.高い失業率
 3.古くからの土地の問題と新しい農業
 4.工業および他の産業の現状と問題点
 5.伝統的な移民流出地域としてのアンダルシア
 6.多文化社会の到来と課題
 7.再び移民流出地域へ
 8.文化と価値観の変容

第4章 直接投資とスペイン経済の変遷[成田真樹子]
 はじめに
 1.スペインの直接投資の動向
  (1)EU(EC)加盟前(1975年から1985年)
  (2)EU(EC)加盟後:対内直接投資拡大期(1986年から1992年)
  (3)低迷期(1993年から1997年)
  (4)対外直接投資拡大期(1998年から2007年)
  (5)危機期(2008年から2013年)
 2.スペイン直接投資の要因分析
  (1)対内直接投資拡大期(1986年から1992年)
  (2)低迷期(1993年から1997年)
  (3)対外直接投資拡大期(1998年から2007年)
 3.スペインの直接投資と経済の発展段階
 4.2度の危機とスペイン直接投資
 むすびにかえて

第5章 スペイン外交問題の変遷[細田晴子]
 はじめに
 1.地中海諸国・中東諸国とスペイン:西欧との懸け橋
 2.南北アメリカとスペイン:2国間から多国間へ
 3.欧州のスペイン:欧州が解決、からスペインが解決策へ?
 4.スペインのパブリック・ディプロマシー:情報発信の多様化
 おわりに
  (1)民主主義国家スペイン
  (2)国際社会への復帰、立ち位置
  (3)理念の変化

第6章 カタルーニャ分離独立をめぐる相克とその行方[牛島万]
 はじめに
 1.2006年自治憲章の違憲判決
 2.スペイン自治州制度上の問題
 3.カタルーニャ自治州の言語政策
 4.カタルーニャの分離独立の明暗を決める法的根拠
 むすびにかえて――独立国カタルーニャを想定する

第7章 民主化によるバスクの変遷[梶田純子]
 1.フランコ死後の民主化の中でのバスク
 2.ナショナリズムとETA
 3.“Gure esku dago”「私たちの手にある」
 4.バスク語復権運動
 5.スポーツとナショナリズム
  (1)自転車
  (2)サッカー
  (3)闘牛
 6.バスク高速鉄道網“Y vasca”
 7.バスクの企業
  (1)ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行
  (2)イベルドローラ社
  (3)ペトロノール社
  (4)モンドラゴン協同組合企業体
 8.2015年12月の総選挙
 9.終わりに

第8章 ガリシアにおける新しいナショナリズム[大木雅志]
 はじめに
 1.ガリシア・アイデンティティの特殊性
 2.「新しいナショナリズム」の誕生
 3.ナショナリズム政党の結集と総選挙の実施
 4.ガリシア自治憲章及び自治政府の成立
 5.ガリシア自治州議会選挙の実施
 6.保守長期政権「パックス・フラギアーナ」
 7.ヌンカ・マイス運動と環境意識の高まり
 8.現代におけるナショナリズムとBNGの分裂
 結論

第9章 現代スペイン社会における「宗教性」のゆくえ[渡邊千秋]
 1.前史―「国教とはカトリック」だった時代―
 2.宗教関連事項の法的枠組み―民政移行期以降―
 3.スペインに居住する人々の宗教性、その変化
 4.数値から見る宗教的マイノリティの存在
 5.宗教教育をめぐる攻防
 6.「宗教」へのコミットメント―宗教的多元主義から戦闘的な宗教的中立まで―
 7.おわりに―スペイン社会における世俗化のゆくえ―

第10章 現代スペインにおける女性問題の変遷[磯山久美子]
 1.良妻賢母から、働く女性の登場へ
 2.さまざまな分野での女性の可視化――第二共和政時代から内戦まで
 3.妻、母への回帰――フランコ独裁
 4.個としての女性へ
  (1)高学歴化とキャリア形成
  (2)女性労働の問題
  (3)女性はどこへ向かうのか


コラム[影浦亮平]
 コラム① マラーノとフランス現代思想
 コラム② オルテガ・イ・ガセーの大衆社会論の特徴とハイデガー
 コラム③ スペインの多文化性とマイモニデス


 索引
 監修者・編著者・執筆者紹介

前書きなど

はしがき

 かつての独裁者フランコが亡くなって40年が経つ。今日までの歩みはいわゆる民主化スペインの歩みと言える。ここで、私はあえて「民主化」であることを強調しておきたい。それは、民主主義が根づく過程の40年であって、決してそこに到達し終焉したわけではないと考えるからである。かつてフアン・リンスが祖国であるスペインを、民主主義体制が崩壊する移行過程の事例として取り上げ研究したように、この国の民主化にはそれが定着しない要因がいくつか見られた。例えば、サルバドル・マダリアガは、「イギリス人は歩きながら考える。フランス人は考えた後で走り出す。スペイン人は走った後で考える」と述べたように、スペイン人は「情熱的」な国民性であるがゆえに、触発されると一瞬にして大きな変化(改革)を起こそうとするのであるが、その明確な到達目標も定かでなければ、その改革に対する渾身の努力を重ねることもない。さらに、そのプロセスにおけるチェック機能や軌道修正に対する思慮深さや実行力の乏しさが現代スペイン社会においても問題視されていると言えよう。オルテガ・イ・ガセーが論述したように、スペイン大衆の動きは複雑であり、一筋縄ではいかないという側面も有する。少なくともフランコ死後11年間、民主化の途上にあったスペインはポルトガルと並んで当時のECに加盟が認められる「民主主義国家」ではなかった。その後はどうか。本書はこれに一定の見解を提示するものである。

 (…後略…)

著者プロフィール

坂東 省次  (バンドウ ショウジ)  (監修

京都外国語大学名誉教授
専攻:スペイン語学、日西交流史研究
主な著書:『スペイン王権史』(共著、中央公論新社、2013年)、『スペインを訪れた作家たち』(単著、沖積舎、2011年)、『スペイン文化事典』(共編、丸善出版、2011年)、『日本とスペイン 文化交流の歴史』(共著、原書房、2015年)、『現代スペインを知るための60章』(編著、明石書店、2013年)、『ドン・キホーテの世界――ルネサンスから現代まで』(共編、論創社、2015年)ほか

牛島 万  (ウシジマ タカシ)  (編著

城西国際大学専任講師、慶應義塾大学非常勤講師、現在、京都外国語大学 国際言語平和研究所嘱託研究員。博士(言語文化学)。
専攻:米墨関係史、スペイン・ラテンアメリカ研究、米国ヒスパニック研究、国際関係史等。
主な著書・論文:『アメリカのヒスパニック=ラティーノ社会を知るための55章』(共編著、明石書店、2005年)、『現代スペインを知るための60章』(共著、明石書店、2013年)、「アラモ砦事件再考」(『国際言語文化』創刊号、2015年3月)、「人民/民族の自治権と国家形成をめぐる国際法上の相克と限界――スペイン・カタルーニャ分離独立の行方を分析する一視座として」(『COSMICA』第XLIV号、2015年)、「テキサスの象徴としての『カウボーイ』と『ロングホーン』の形成過程」(『アメリカスのまなざし――再魔術化される観光』天理大学出版会、2014年)ほか

上記内容は本書刊行時のものです。