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日系アメリカ移民 二つの帝国のはざまで 東 栄一郎(著) - 明石書店
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日系アメリカ移民 二つの帝国のはざまで (ニッケイアメリカイミンフタツノテイコクノハザマデ) 忘れられた記憶 1868-1945 (ワスレラレタキオクイチハチロクハチカライチキュウヨンゴマデ)
原書: Between Two Empires: Race, History, And Transnationalism In Japanese America

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発行:明石書店
四六判
500ページ
上製
定価 4,800円+税
ISBN
978-4-7503-4028-9   COPY
ISBN 13
9784750340289   COPY
ISBN 10h
4-7503-4028-6   COPY
ISBN 10
4750340286   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年6月
書店発売日
登録日
2014年6月19日
最終更新日
2014年6月19日
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書評掲載情報

2018-01-07 東京新聞/中日新聞  朝刊
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紹介

アメリカへ渡った日本人移民・日系アメリカ人たちの新たな土地での歩みは、二つの国家のはざまで揺れ動いた複雑さに満ちたものだった。日米双方の膨大な資料からトランスナショナルな歴史分析を行い、従来語られてこなかった歴史にも光を当てた精緻な歴史分析。

目次

 日本語版刊行にあたって

序章 二つの帝国に挟まれた日本人移民のトランスナショナリズム


第一部 日系人社会の複合的起源

第一章 商業移民、植民者、そして労働者――初期日系アメリカ社会の不均質な起源


第二部 コミュニティの形成と分岐

第二章 移民集団の再形成――道徳的な市民性のトランスナショナルな構築
 日本人移民の指導者層とコミュニティの形成
 人種排斥運動のもとでの道徳改革

第三章 「在米同胞」――人種排斥とアメリカの「マイノリティ」の誕生
 排日運動と人種的従属
 一世の「ディアスポラ」――人種的従属からの逃避
 人種的分岐――アメリカのマイノリティと「アジアのリーダー」


第三部 先駆者と後継者

第四章 「民族発展の先駆者」――歴史の創造と人種的アイデンティティ
 一世パイオニア論と「民族発展」の思想
 歴史の策略と公的記憶の構築
 一世パイオニア論におけるトランスナショナルとローカル

第五章 世代をめぐる問題――将来に向けた二世の教育
 「第二世問題」への取り組み
 二世の心の薫陶

第六章 移民の国際主義の報い――祖先の国の二世
 一世の国際主義とヘリテージ学習
 争いの場――懸け橋概念の多様性
 祖先の国で暮らすよそ者たち


第四部 移民ナショナリズムの複雑さ

第七章 日本を助けることは自らを助けること――一世の愛国心の意味
 日本帝国への献金と物資的な援助
 「啓発運動」と「国民外交」
 日本へ向けた愛国主義からアメリカニズムへ

第八章 エスニック・ナショナリズムと人種をめぐる闘争――カリフォルニア州デルタ地域におけるエスニック集団間の関係
 エスニック集団間の軋轢の発生
 デルタ地域における人種と階級、ならびに日系人としてのアイデンティティ
 階級の無意識化としてのエスニック・ナショナリズム


終章 戦時の人種主義、国家主義、そして移民トランスナショナリズムの崩壊


 注
 おもな参照文献および史資料
 監訳者あとがき
 索引

前書きなど

 監訳者あとがき

 日本人移民・日系人に関する研究は、日本国内においても海外(とくに北米および南米)においても、最近、大きな進展をみせている。その進展の顕著な特徴は、研究量の増加と、研究の多様化である。研究量の増加は、「移民」や「移住」という現象や日系人に関心を持つ研究者の数が増加したことだけではなく、一般の人びとの間でも移民や日系人への関心が深まっていることを示してもいる。日本においては、一九八〇年以降、外国人労働者として入国した南米出身の日系人の存在が、この分野の研究増加に寄与していると思われる。また海外、ことにアメリカ合衆国では、一九六五年移民法成立以降に見られるアジアやメキシコからの移民の急増や不法移民問題などが政府および社会の注目を浴びており、この分野の研究が増加したと説明できよう。
 研究の多様化は、日本国内・国外いずれにおいても、日本人移民および日系人が、歴史、社会学、人類学、経済学、地理学、文学、教育学、言語学、女性学、医学などにとどまらず、美術や音楽、そして表象研究といった分野でも扱われるようになったことに、明確に示されている。加えて、一つの分野ではなく複数の分野にまたがった学際的研究が増加している。研究分野の広がりと学際的研究の増加の基盤には、当然のことながら、新しい研究分野が生まれ確立してきたという事実がある。このように、移民研究の進展と裾野の広がりには目を見張るものがあり、膨大な量の研究が新たに出現しているのである。
 しかし、この大きな変化に比して、日本における日本人移民・日系人研究が二分化されている傾向は一九七〇年代と大きく変わってはいない。つまり、この分野での研究が、日本史における人口移動の観点からの「出移民研究」と、移民の渡航先での社会適応を扱う「地域研究」の二つの領域でなされる傾向である。この問題に対応するには、日本史と地域研究両分野の研究者による共同研究などといった研究交流―日本国内だけでなく国境を越えて―が有効であろうと、少数の研究者が交流を始めたのが一九七〇年代であるが、その努力がいまも続く一方で、新たなパラダイムの必要性も認識されてきた。
 こうしたなかで、本書は、まさに「新たなパラダイム」を提示し、輝いている。私たちは、本書の「輝き」に惹かれ、これを日本語に訳して日本で出版するという提案に賛同したのである。本書のアメリカ歴史学界における位置づけと、その意味合いについては、著者の東氏が「日本語版刊行にあたって」に書いておられるので、ここで繰り返すことはしないが、日米両国のアーカイブで収集した日本語と英語の膨大な資料を用い、実証性に富んだ「越境史」分析の枠組みを導入した著者の力に感動したことが、私たちを翻訳に取り組ませることになったのだ。アメリカの日系人コミュニティにおける力関係やアイデンティティの認識、そして日本政府に対する姿勢など、きわめて複雑な性質を持つテーマを、著者は丁寧に分析している。本書において描かれる日本人移民・日系人史は、ディアスポラ的な日本民族史や、既存のアメリカ多民族国家史には収まりきらず、同時に「日本人」や「アメリカ人」といったカテゴリーの絶対性も否定する、真に「トランスナショナル」な歴史研究だと、私たち一同、納得した。著者が私たちの長年の研究仲間であることもあり、日本人移民・日系人研究者として学ぶ点の多い本書を日本語に訳して日本で出版することの意味を共有したのである。

 (…後略…)

著者プロフィール

東 栄一郎  (アズマ エイイチロウ)  (

ペンシルベニア大学歴史学部准教授。同大学アジア系アメリカ人研究プログラム所長。国際基督教大学卒業後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で修士号(アジア系アメリカ人研究)と博士号(歴史学)を取得。全米日系人博物館学芸員および調査員を経て2001年より現職。2005年に刊行された本書英語版は、日本のアメリカ学会清水博賞を受賞。また、米国においてもアメリカ歴史家協会(OAH)をはじめ数々の学会・協会から表彰を受けた。多くの学術論文に加え、スタンフォード大学歴史学教授ゴードン・チャンとの共編、Yuji Ichioka, Before Internment: Essays in Prewar Japanese American History, Stanford University Press, 2006.(ユウジ・イチオカ『抑留まで――戦間期の在米日系人』関元訳、彩流社、2013年)を発表している。

飯野 正子  (イイノ マサコ)  (監訳

津田塾大学名誉教授。津田塾大学前学長。津田塾大学教授、マギル大学客員助教授、アカディア大学客員教授、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、ブリンマー大学招聘教授などを歴任。主な編著書に『日系カナダ人の歴史』(東京大学出版会、1997年、カナダ首相出版賞受賞)、『もう一つの日米関係史――紛争と協調のなかの日系アメリカ人』(有斐閣、2000年)、『日本の移民研究 動向と文献目録』(IおよびII)(共編著、明石書店、2007年)『エスニック・アメリカ――多文化社会における共生の模索[第3版]』(共著、有斐閣、2011年)、『旅するカナダ』(共編著、明石書店、2012年)、など。

長谷川 寿美  (ハセガワ ヒサミ)  (

東海大学外国語教育センター非常勤講師。フェリス女学院大学大学院文学研究科博士前期課程修了。津田塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得満期退学。

小澤 智子  (オザワ トモコ)  (著/文

武蔵野美術大学言語文化研究室准教授。津田塾大学大学院文学研究科修士課程修了。同大学院文学研究科後期博士課程修了。文学博士。

飯野 朋美  (イイノ トモミ)  (

津田塾大学ライティングセンター特任助教。津田塾大学大学院文学研究科修士課程修了。同大学院後期博士課程単位取得満期退学。

北脇 実千代  (キタワキ ミチヨ)  (

日本大学生物資源科学部准教授。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士前期課程修了。ニューヨーク州立大学バッファロー校大学院アメリカ研究科修士課程修了。津田塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得満期退学。

上記内容は本書刊行時のものです。