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PTSDの医療人類学 新装版 アラン・ヤング(著/文) - みすず書房
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PTSDの医療人類学 新装版

発行:みすず書房
A5判
512ページ
定価 7,600円+税
ISBN
9784622086970
Cコード
C3047
専門 単行本 医学・歯学・薬学
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2018年3月17日
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紹介

「私たちの知らない太古から、人類は、悲哀と悔恨の感情、とりかえしのつかない喪失感、戦慄と恐怖の感覚などの記憶にさいなまれてきた。しかし、19世紀以後100年のうちに新しい型の苦痛な記憶が出現した。これがそれ以前の記憶と違うのは〈外傷性〉という、それまで同定されていなかった心理状態を発生源とし、これまたそれ以前には知られていなかった型の忘却である〈抑圧〉と〈解離〉とにリンクしていることである。この新しい記憶が今日もっともよく知られているのは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)という精神の病いと結びついている場合である。」
PTSDは1980年、アメリカ精神医学会がその公式疾病分類(DSM-III)に採用して以来、急速に注目されるようになった。それまで少数の精神科医だけが口にしていたこの言葉は、今日では結核やマラリアなみに一般公衆の知るところになり、映画や小説の題材になり、天災人災を扱うテレビや新聞記者の主要問題になった。だが、PTSDとは時代を越えた障害、また単一の障害実体なのだろうか。歴史の所産なのではないだろうか。気鋭の医療人類学者が、鉄道脊椎、ヒステリー、シェルショックなど外傷性記憶の起源から、DSM-IIIの検証、現在の「国立PTSD治療センター」の実体調査にいたるまでを詳細に描き、PTSDの可能性と問題点を明確に示す。

目次

謝辞
序説
日本版のための1999年の序説

第一部 「外傷性記憶」の起源
第1章 「外傷性記憶」の成立
外傷性恐怖/ジャン=マルタン・シャルコー/恐怖の構築/自己継続性を示す障害/外傷と記憶/病原性秘密/ピエール・ジャネ/ジークムント・フロイト/外傷性記憶、1914年
第2章 第一次世界大戦
暗示の持つ強い力/ジョン・ヒューリングズ・ジャクソンの亡霊/戦争神経症を診断する/機能的疾患とは/ヒステリーと詐病/将校と下士官・兵/原始感覚的なものの回帰/リヴァーズの化粧直し/記憶、除反応、暗示/オートグノシス(自己認識)/ジークムント・フロイトのその後の考え/リヴァーズの遺産/結論

第二部 外傷性記憶の変容
第3章 DSM‐III革命
疾病分類の標準化/信頼性と妥当性を算定する/PTSDはいかにしてDSM‐IIIに入ったか/戦争関連PTSD/診断基準/結論
第4章 外傷的時間の構造
ポリテティックな分類/症状の表象力/自然種とは/外傷性事件のさまざまの意味/集団的記憶/時間と因果律/1994年の外傷性記憶

第三部 外傷後ストレス障害の実際
第5章 診断のテクノロジー
診断容易症例/昂然海兵隊員症例/メタファー的事件症例/曖昧事件症例/PTSDを語る
第6章 精神科病棟における日常生活
センターとその使命/イデオロギーと抵抗/イデオロギーと語り/態度の問題/心理道徳性(psychomorality)
第7章 PTSDを語る
国立戦争関連PTSD治療センター、1986年/国立戦争関連PTSD治療センター、1987年
第8章 外傷性記憶の生物学
時には意味あり/精神医学を(再)生物学化する/外傷性記憶の神経生物学/PTSDの神経生物学/デュエムの命題/PTSD患者における尿中遊離コルチゾン/PTSDにおける戦闘関連刺激に対するナロキソン可逆性痛覚消失反応/無言語記憶/納め口上(エピローグ)

結論

訳者あとがき
引用文献
事項索引
人名索引

著者プロフィール

アラン・ヤング  (アランヤング)  (著/文

1938年アメリカ合衆国ペンシルヴァニア州フィラデルフィア生まれ。1959年ペンシルヴァニア大学人類学部卒業。1974年同大学人類学部博士(Ph.D)。ニューヨーク大学などをへて、現在 カナダ・ケベック州モントリオール(モンレアル)のマッギル大学医療社会研究学科主任教授、人類学科・精神医学科教授。著者は本書によって1998年度ウェルカム医療人類学賞を受賞した。

中井久夫  (ナカイヒサオ)  (翻訳

1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医。文化功労者(2013年度)。

大月康義  (オオツキヤスヨシ)  (翻訳

1952年北海道旭川市生まれ。北海道大学理学部数学科、札幌医科大学卒業。現在こぶし神経クリニック勤務。論文「憑依と精神科臨床――歴史と文化の視点から」(『臨床精神医学講座』23所収、中山書店、1998)。

下地明友  (シモジアキトモ)  (翻訳

1947年、沖縄宮古島生まれ。1973年熊本大学医学部卒業。同大学神経精神医学講座を経て、2005年より熊本学園大学大学院社会福祉学研究科福祉環境学専攻教授。専攻は、臨床精神医学、神経病理学、医療人類学、水俣学。著書に『多文化間精神医学』(共著,中山書店、1998)、『文化精神医学序説』(共著、金剛出版、2001)、『高齢社会──どう変わる、どう生きる』(共著、九州大学出版会、2003)ほか。訳書(共訳)に、グッド『医療・合理性・経験』(誠信書房、2001)、ヤング『PTSDの医療人類学』(みすず書房、2001)、クラインマン『精神医学を再考する』(みすず書房、2012)、ショーター『精神医学歴史事典』(みすず書房、2016)。

辰野剛  (タツノツヨシ)  (翻訳

1954年長野県生まれ。昭和大学医学部卒業。現在 精神医学研究所東京武蔵野病院勤務。

内藤あかね  (ナイトウアカネ)  (翻訳

1965年東京生まれ。南山大学文学部卒業(文化人類学専攻)。1993年ジョージ・ワシントン大学大学院アートセラピー学科修了。文学修士。現在 甲南大学文学部非常勤講師・同大学カウンセリング・センター所員。

上記内容は本書刊行時のものです。