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職人の近代――道具鍛冶千代鶴是秀の変容

芸術 ラノベ

土田昇 (著/文)
発行:みすず書房

四六判   328頁 
定価 3,700円+税

ISBN 978-4-622-08593-5   C0072

書店発売日 2017年2月11日
登録日 2017年1月23日

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書評掲載情報

2017-03-19 朝日新聞  朝刊
評者:中村和恵(明治大学教授)

紹介

刀工名家に生まれ、廃刀令後の明治に大工道具鍛冶として修行し、道具を実際に使う大工たちの絶賛によってゆるぎない地位を得た千代鶴是秀(1874-1957)。
修業時代に師から使用者重視という製作思想の根幹を心に刻みつけられた是秀の、機能美の極致のような作品の中で、唯一ほかと異なるたたずまいをもつのが一群のデザイン切出小刀である。自由で流麗な意匠をまとったこれら切出群は、実用面からいえば使いにくく、道具が道具でなくなるギリギリの地点に位置する。抜群の切味を隠し持ちながら、使用されることを想定しない非実用の美。道具鍛冶として名声を得ながら、是秀はなぜ実用を犠牲にした美しいデザイン切出を作ったのか。
著者は祖父、父と三代にわたる大工道具店を営む中で、長年、千代鶴是秀の作品に向き合ってきた。是秀からじかに教えをうけた父、土田一郎から伝えられた貴重な話や資料を手がかりに、朝倉文夫らとの交わりをはじめ、是秀の周囲の芸術家や文化人、職人たちの跡をたんねんにたどり、その作風変化の謎を時代という大きな背景の中でひとつひとつときほぐしてゆく。鑿や鉋、切出と深く対話するように。鍛冶文化の豊かさを伝えながら。

目次



第1章 大工道具鍛冶、千代鶴是秀の修業時代
道具鍛冶への弟子入り/栗原信秀の彫刻刀/玉鋼から洋鋼へ――師の遺言/二人の刃物鍛冶――栗原信秀と是秀/大工道具鍛冶としての自覚/是秀の切出小刀――道具たらざるものの美/『高村光雲懐古談』――職人的立場のわきまえ/高村光雲と石堂寿永、それぞれの職人の道徳観/独立、石堂家との共同の仕事/西郷家出入棟梁、恩田栄吉との出会い/恩田栄吉の一寸八分叩鑿――千代鶴是秀の出世作/石膏型取師、宮嶋一/職人と芸術家/是秀の受注姿勢/穴大工との対峙/麻布の穴大工、穴七の注文品――大玄能/平櫛田中への彫刻刀持ち込み/作品変質の始まり

第2章 逸脱の始まり
旦那衆、栗原波月との出会い/栗原自作のケサン/ケサンのゆくえ/三代目千代鶴延国、落合宇一/職人達のもとめるもの、是秀の目指すもの/新しい注文主と「注文受帳」/宮嶋一の注文品――八分鉋“白嶺”や大入組鑿/鍛冶技術の高低/是秀の魚形切出小刀/デザイン切出小刀の製作工程/是秀の製作の再現――玄能鍛冶 長谷川幸三郎/良質な刃物を作る――鍛冶技術の本質/朝倉文夫――是秀の作風変化にかかわった彫刻家/「竿忠の像」/「注文受帳」の朝倉文夫の記録/実用についての是秀の考え/朝倉の彫刻道具に見る是秀の製作思想/朝倉の手に渡った仕上砥石/仕上砥石の由来――大工、早川金兵衛の名品/道具が道具でなくなる地点――異形の魚型切出小刀“大”/槍鉋をモチーフとした切出小刀“自尊”/もう一丁の切出小刀“自尊”

第3章 試練の時
実用道具の運命――磨滅・減退・消滅/アイヌのペーパーナイフ/非実用の美の自覚的生産/生産体制の近代化拒否/秀一と是秀、弟子育成の失敗/「千代鶴」銘からの離脱/時代と職人/開国日本の「引きこもり者」達/明治の大変革と職人/刀工家一族の先行性/勤勉さをささえる道徳の質/最上質の道具の存在理由/職人の道徳、誇りの変質/利益優先の要請による分業化/相上行近――新しい時代の天才職人/行近の別格品が含みもつ逆説/道具使用者の要求の変質と是秀の対応/外皮、パッケージ――是秀の逆説/職人として世を渡る才覚/光学機器と鍛冶職/時代の影響を受けて生まれる名工、名人

第4章 職人の不器用、職人の道徳
大正から昭和はじめまでの身辺/名人大工、江戸熊の大入組鑿/息子、千代鶴太郎/「運寿」銘――太郎の作品/鍛冶と芸術――是秀と太郎の場合/大正から昭和はじめにかけての仕事/秩父宮への献上品の折畳みナイフ/職人の経済観念/研師、寺田鉄心斎の思い出/折畳みナイフの消息/愛玩される道具・実用され消耗される道具/太郎の死/近代化の矛盾の中で――職人の不器用/「八紘之基柱」定礎式の儀式具の鏝/朝倉文夫と柳宗悦/朝倉文夫の注文品――大入鑿の組鑿/鍛冶技術の核心――近代のシステムの外で/太平洋戦争下の是秀/価格等統制令/「名品書出帳」の記録/「木屋納品帳」の記録/戦時下のデザイン切出小刀/朝倉文夫らの援助の申し出/大工道具鍛冶としての誇り/無銘刻印の「実用小刀」/二本の切出小刀――笹部新太郎と太田黒養二へ/戦争中の仕事/折畳みナイフの製作/「サイン帳」と「木屋納品帳」/戦後の千代鶴是秀/「刀工、千代鶴是秀を囲む名士の余技展」/藤原写真場/戦争画家達/職人の道徳、職人の逞しさ/切出小刀“月”


参考文献
あとがき

著者プロフィール

土田昇 (ツチダ ノボル)

1962年、東京生まれ。土田刃物店三代目店主。父・土田一郎より引き継いだ千代鶴是秀作品の研究家であるとともに、木工手道具全般の目立て、研ぎ、すげ込み等を行う技術者でもある。竹中大工道具館(神戸)の展示・研究協力。ものつくり大学技能工芸学部、非常勤講師。著書『千代鶴是秀――日本の手道具文化を体現する鍛冶の作品と生涯』『千代鶴是秀写真集 1・2』(以上、ワールドフォトプレス、2006、2007、2008)、『時間と刃物――職人と手道具との対話』(芸術新聞社、2015)、『職人の近代――道具鍛冶千代鶴是秀の変容』(みすず書房、2017)、共著に『大工道具・砥石と研ぎの技法』『鉋大全』『鋸・墨壺大全』『鑿大全』『鉋の技と銘品大全』『大工道具鍛冶大全』(以上、誠文堂新光社、2012、2009、2011、2012、2013、2016)、『「室内」の52年――山本夏彦が残したもの』(INAX BOOKLET、2006)。

上記内容は本書刊行時のものです。