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出版者情報
中井久夫集1――働く患者 1964-1983
- 書店発売日
- 2017年1月17日
- 登録日
- 2016年12月14日
- 最終更新日
- 2016年12月28日
書評掲載情報
2017-03-19 |
毎日新聞
朝刊 評者: 斎藤環(精神科医、筑波大学教授) |
2017-01-22 | 東京新聞/中日新聞 朝刊 |
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紹介
むろん精神科医の本領は著作や論文にあるのではない。そういう意味で結局、精神科医としての彼女をもっとも深く知る人は彼女とかかわった患者あるいはその縁者たちであると思う。しかし病いが軽快し癒えるとともに、精神科医は忘れ去られてあたりまえである。患者が自力で立ち直ったと思う時にはじめて精神科医の仕事が完了する。その意味でも精神科医であることは彼女の願ったとおりの仕事であり、彼女の願ったとおりに、地上でもっとも大きな仕事はついに誰の目にもみえないままで留まるであろう。著作集は彼女がこの世に残した爪跡のうち目に見える僅かな部分である。(「精神科医としての神谷美恵子さんについて」1983)
日本の精神医学に新たな道を切り拓き、透徹した理性と柔軟な感性、研ぎ澄まされたアンテナ感覚で人と時代を捉えてきた精神科医・中井久夫。1964年にペンネームで発表した論考から東日本大震災以後まで、半世紀にわたり世に届けつづけた作品の数々をここに年代順に編み、著者の歩みの一端を共有したいと考える。全11巻。
目次
現代社会に生きること
現代における生きがい
サラリーマン労働
ポーの庭園
数学嫌いだった天才数学者――ラッセルとウィーナーの病跡学
統合失調症者における「焦慮」と「余裕」
ウィトゲンシュタインの“治療”
『思春期の精神病理と治療』への序文
思春期患者とその治療者
翻訳の内と外――翻訳家でない翻訳者の覚え書き
ある教育の帰結
アメリカにおけるサリヴァン追認――サリヴァン・コロキウム(1977年)の紹介を中心として
世に棲む患者
インドネシアの精神神経学会とボゴール精神病院訪問など
「思春期を考える」ことについて
井村恒郎先生
働く患者――リハビリテーション問題の周辺
病跡学の可能性
保安処分をめぐる感想
精神科医としての神谷美恵子さんについて――「病人の呼び声」から「一人称病跡学」まで
解説1 最相葉月
掲載文書誌一覧
上記内容は本書刊行時のものです。