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ポチョムキン都市 アドルフ・ロース(著/文) - みすず書房
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ポチョムキン都市 (ポチョムキントシ)

芸術
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発行:みすず書房
A5判
336ページ
定価 5,800円+税
ISBN
978-4-622-08567-6   COPY
ISBN 13
9784622085676   COPY
ISBN 10h
4-622-08567-4   COPY
ISBN 10
4622085674   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C1052  
1:教養 0:単行本 52:建築
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2017年8月29日
最終更新日
2017年9月12日
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紹介

「ポチョムキン村を知らない者がいるだろうか? 抜け目なく立ちまわる女帝エカチェリーナの寵臣ポチョムキンがウクライナにつくった村のことである。布と厚紙でできたこの村は、女帝陛下の目を楽しませるために荒野をみごとな風景に変えるという使命を負っていた。だが、ほんとうに村々を全部まるごと変える必要があったのだろうか?
これから語ろうしている〈ポチョムキン都市〉とは、じつはわが愛すべきウィーンのことである。リングシュトラーセをぶらつくと、いつもこんな感情にとらわれる。現代のポチョムキンがこの町を歩く人々に〈じつに洗練された町に来たものだ〉と思いこませようとしているのではないかと」

「私は平面図も立面図も断面図もつくらない。空間をつくるのです」。世紀末に出現した書割都市ウィーンを痛烈に批判した表題作をはじめ、近代建築史上最大の躓きの石にしてラウムプランの提唱者がロースハウス、ミュラー邸、シカゴ・トリビューン本社ビル競技案、グランドホテル・バビロン計画案ほか自作について、オットー・ワーグナー、ヨーゼフ・ホフマンほか同時代の建築家について、さらには家具・工芸品、絵画・映画、モード・立ち居ふるまいにいたるまでジャンルをこえ縦横無尽に語った全45篇(本邦初訳38篇)。日本独自編集によるロース「第三の書」。解題・鈴木了二。図版多数収録。

目次

I 装飾に抗して
ウィーン市のコンペ
ミルバッハ展
皇帝即位記念博覧会のポスタ
スカラの事件(オーストリア博物館と手工業連盟)
展示都市――新しい様式
ワーグナー・シューレ展によせて
ポチョムキン都市
建築における新旧ふたつの動向――ウィーンの芸術動向を特別考慮した両者の比較)
女性と家

II オーストリアに西洋文明を
カッラーラ
婦人クラブの安楽椅子
住居探訪
ミヒャエル広場にある私の建物のファサードに物言いがついた件
ミヒャエル広場の私の建築
立つ、歩く、座る、寝る、食べる、飲むことについて
オットー・ワーグナー
アドルフ・ロース、ウィーンの建築物について語る
ウィンタースポーツホテル
ホテル・フリードリヒシュトラーセ
建築とカフェハウス
ベヴェーグング――新しい芸術グループ

III 戦後ウィーンとの共闘
都会と田舎――連続講演「二十世紀の外国文化」より
芸術局のためのガイドライン
イギリスの制服
アドルフ・ロースの回答(読者からの質問への回答)
一枚壁の家
住居タイプ(ラインツ公団住宅)
造成計画(ラインツ公団住宅)
シカゴ・トリビューン円柱建築
グランドホテル・バビロン

IV 離れてなおウィーンを語る
裸体
『人でなしの女』――メルヘン
節約について
黄金の馬車ではなく
ウィーン工芸襲撃――アドルフ・ロースの説明
サスペンダーとゲートルとヨーロッパ精神について
私――よりよきオーストリア人として
ウィーンの癌

V 回想するモダニスト
アドルフ・ロース、芸術家と子供へのみずからの態度を語る
偉大な神ロース――有名建築家へのインタビュー
オスカー・ココシュカ
ヨーゼフ・ホフマンのこと
アドルフ・ロース、ヨーゼフ・ホフマンについて語る
ロース氏、われわれに語る
松林の救済プロジェクト

訳注  早稲田大学建築学科中谷礼仁研究室
解題「ロース再起動――または物質がロースの口を借りて語ったこと」  鈴木了二
訳者あとがき

著者プロフィール

アドルフ・ロース  (アドルフ ロース)  (著/文

オーストリアの建築家。1870年、モラヴィア地方ブルノ市(現チェコ共和国)に生まれる。ドレスデン工科大学で学び、1893年より3年間アメリカに滞在。帰国後ウィーンで建築家としてキャリアを積むかたわら種々の新聞・雑誌に多くの批評を寄稿。1922-28年、パリに拠点を移すも晩年はふたたびウィーンに戻って活動を続けた。1933年没。作品「カフェ・ムゼウム」(ウィーン1899)「アメリカン・バー」(別称「ケルントナー・バー」、同1908)「シュタイナー邸」(同1910)「ミヒャエル広場に建つ建築」(通称「ロースハウス」、同1911)「ショイ邸」(同1912)「ホーナー邸」(同1912)「ルーファー邸」(同1922)「トリスタン・ツァラ邸」(パリ1926)「モラー邸」(ウィーン1928)「ミュラー邸」(プラハ1930)ほか。

加藤淳  (カトウジュン)  (翻訳

1972年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、ベルリン工科大学ドイツ文学科に学ぶ。ベルリン在住10年を経て帰国後は翻訳、通訳、フリーライターとして活動。訳書 アドルフ・ロース『虚空へ向けて』(アセテート2012)『にもかかわらず』(みすず書房2015)『ポチョムキン都市』(同2017)ほか。

鈴木了二  (スズキリョウジ)  (監修

1944年生まれ。建築家、早稲田大学栄誉フェロー。68年、早稲田大学理工学部建築学科卒業後、竹中工務店設計部勤務。槇総合計画事務所出向を経て73年退社。70年、fromnow建築計画事務所設立。77年、早稲田大学大学院修士課程修了。82年、fromnow建築計画事務所を鈴木了二建築計画事務所に改称。

中谷礼仁  (ナカタニノリヒト)  (監修

1965年生まれ。早稲田大学大学院前期博士課程修了。早稲田大学理工学術院建築学科教授。歴史工学・建築史。著書『国学・明治・建築家――近代「日本国」建築の系譜をめぐって』(波乗社1993)『セヴェラルネス+(プラス)――事物連鎖と都市・建築・人間』(鹿島出版会2011)、共著『近世建築論集』(アセテート2004)『シリーズ都市・建築・歴史8 近代化の波及』(東京大学出版会2006)『セヴェラルネス+(プラス)――事物連鎖と都市・建築・人間』(鹿島出版会2011)『今和次郎「日本の民家」再訪』(平凡社2012)『動く大地、住まいのかたち』(岩波書店2017)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。