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戦争文化と愛国心 海老坂 武(著/文) - みすず書房
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戦争文化と愛国心 (センソウブンカトアイコクシン) 非戦を考える (ヒセンヲカンガエル)

社会科学
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発行:みすず書房
四六判
352ページ
定価 3,800円+税
ISBN
978-4-622-08518-8   COPY
ISBN 13
9784622085188   COPY
ISBN 10h
4-622-08518-6   COPY
ISBN 10
4622085186   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2018年2月15日
最終更新日
2018年3月10日
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書評掲載情報

2018-05-26 朝日新聞  朝刊
評者: 西崎文子(東京大学教授・アメリカ政治外交史)
2018-04-01 毎日新聞  朝刊
評者: 川本三郎(評論家)
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紹介

「大東亜戦争」の始まりを国民学校一年生で迎え、「皇国の少国民」であることが最初のアイデンティティだった……
教科書に歴史物語、軍歌。家庭では新聞や雑誌、ラジオを通じて、戦争の言葉を、時代の狂気を擦り込まれた少年時代。その鮮やかな記憶に語らせながら、著者は戦争を誘発し、戦争への道を用意する〈戦争文化〉が、何によって、誰によって形作られ、どのように生活に忍び込み、日本を覆っていったかを検証してゆく。
〈私〉の経験を出発点に、さらにその外へ――1930年代の戦争文化を最大限に呼吸し、そのために生き、死んでいったわだつみ世代の若者たち。敗戦後の混沌と虚脱の中、価値の180度の転換を迫られた大人たち。戦争文化をさっさと脱ぎ捨てたかに見えた日本人一般の心の転回。
戦争文化は本当に解体されたのか。その核心にあった、あの〈愛国心〉はどうなったのか。
明治の時代の〈愛国心〉論議と〈愛国心〉批判、フランスに目を転じて、アラン、ジャン・ジオノの非戦論、さらに日露戦争時に始まる兵役拒否と不服従の思想。丸山眞男、加藤周一、鶴見俊輔ら「戦中世代」の残したものを受け止めなおしつつ、「戦後世代」の言説もみわたし、戦争文化と愛国心の歴史、そして、それに立ち向かう非戦の思想の系譜をたどる。政党でもなく、団体でもない私たち一人一人が、出来合いの処方箋のないところで、それでも何かを考え、何かを作り出してゆくために。

目次

第一章 国民学校一年生――言葉を擦り込まれた少年
1 「コクミンガッコウ イチネンセイ」
  背景
  教師たちの養成
2 「アカイ アカイ アサヒ アサヒ」
  戦争文化は細部に宿る
3 日の丸教育
4 教室風景
5 愛国節をうなる
  新聞
6 そこのけそこのけ軍歌がとおる
  軍歌のパトロン
7 英雄と悪人の歴史物語

第二章 戦争文化とは何か
1 騙されたではすまない
2 戦争のない世界は恐ろしい
3 反面教師として
4 フランス歴史学から
5 若者たちの戦争文化――『きけ わだつみのこえ』
6 学者たち

第三章 古い上着よ さようなら
1 八月十五日
2 闇市洗礼
3 野球と歌と
4 新制中学一年生――新憲法の申し子
5 見える人たち
6 傷を残した人々
7 混沌と虚脱の状態の中から――手のひらを返した日本人
8 思い違いとナイーヴさ
9 言葉の引っ越し
10 チボー家世代

第四章 愛国心の行方
1 戦後の「愛国心」論議
2 清水幾太郎『愛国心』
  構成
  清水の位置――愛国心の脱構築
3 丸山眞男のナショナリズム論
4 二つの不思議
5 三つの愛国心論
  姜尚中『愛国の作法』 
  佐伯啓思『日本の愛国心――序説的考察』
  テッサ・モーリス=スズキ『愛国心を考える』
6 パトリオティズムとナショナリズム
  どう区別するか
  パトリオティズムは愛、ナショナリズムは憎悪

第五章 非戦思想の源流
1 内村鑑三
  「義」のための戦争
  非戦主義者の誕生
  戦時の姿勢
  愛国心について
2 幸徳秋水
  非戦論―反戦争文化論
  愛国心論
  軍国主義論
  帝国主義論
  非戦―反戦闘争の継続
  兵役は?

第六章 兵役拒否と不服従の思想の源流
1 徴兵忌避
2 矢部喜好の肖像
3 村本一生と明石真人
4 フランスの非戦論 1――アラン
5 フランスの非戦論 2――ジャン・ジオノ
6 百二十一人宣言――アルジェリア戦争の中から

第七章 非戦の原理から不服従の思想へ
1 憲法平和主義について
2 『きけわだつみのこえ』と原水爆禁止運動
3 「戦争の犠牲者」「戦争の被害者」――-三つの目隠し
4 久野収と鶴見俊輔
5 大熊信行
6 鶴見良行
7 脱走兵支援運動
8 小田実
9 市民的不服従と良心的拒否

終章 少数の力のために
1 私たちはどこにいるのか
2 少数の力のために


参照文献
あとがき

著者プロフィール

海老坂 武  (エビサカ タケシ)  (著/文

1934年東京に生まれる。東京大学文学部仏文科卒業。同大学院(仏語・仏文学)博士課程修了。著書『フランツ・ファノン』(講談社1981、みすず書房2006)『戦後思想の模索』(みすず書房1981)『雑種文化のアイデンティティ』(みすず書房1986)『シングル・ライフ』(中央公論社1986)『記憶よ、語れ』(筑摩書房1995)『〈戦後〉が若かった頃』(岩波書店2002)『かくも激しき希望の歳月』(岩波書店2004)『サルトル』(岩波新書2005)『戦後文学は生きている』(講談社現代新書2012)『加藤周一 二十世紀を問う』(岩波新書2013)『戦争文化と愛国心』(みすず書房2018)、訳書 ニザン『番犬たち』(晶文社1967)ペレック『眠る男』(晶文社1970、水声社2016)ファノン『黒い皮膚、白い仮面』(共訳、みすず書房1969、1998)ボーヴォワール『別れの儀式』(共訳、人文書院1989)サルトル『植民地の問題』(共訳、人文書院2000)『自由への道』(共訳、岩波文庫2000)『家の馬鹿息子』1-4(共訳、人文書院1982、1989、2006、2015)ほか多数。

上記内容は本書刊行時のものです。