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近代日本語の思想〈新装版〉
翻訳文体成立事情
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2017年2月
- 書店発売日
- 2017年3月2日
- 登録日
- 2016年12月16日
- 最終更新日
- 2023年8月9日
紹介
日本語の文体は近代以後,翻訳によってつくられた――大日本帝国憲法に象徴される翻訳悪文の系譜を分析して日本語文の欠陥を摘発し,日本の思想の問題点を抉る。
目次
第一章 「主語」は翻訳でつくられた
序 憲法の問題
1 悪文、大日本帝国憲法
2 それは、翻訳のせいだった
3 明治憲法以前の主語の翻訳
4 教育の場での翻訳
5 「~ハ」構文の文法――三上章説を中心に
6 「~は」と「~が」
第二章 「主語」はこうしてつくられた
1 論文における「主語」
2 「主語」の文法、その論理
3 近代日本における「主語」の論理
4 漱石の「~は」への風刺
第三章 小説における主語
1 小説における人称の「主語」
2 西洋市民社会の主人公
3 「彼」の文法、その論理
4 特別な人物を指す「三人称代名詞」
5 「彼は」、「彼女は」への批判
6 「彼」「彼女」への抵抗
7 やはり、「彼は」、「彼女は」は使われている
第四章 「文」は近代につくられた
1 日本文には、切れ目はなかった
2 句点「。」を打つ苦心
3 結局、「文」がよく分からなかった
4 「文」概念は入っていたが……
第五章 文末語もつくられた
1 「文」がつくられた
2 「た。」は過去形か
3 過去形「た。」の出現
4 近代以前の「口語文」
5 少数の作家だけが歓迎した「た。」
6 現在形もつくられた
7 「ル形」は、まともな文型ではなかった
8 「デアル。」文がつくられた
第六章 日本語はつくられていく
1 志賀直哉の翻訳調文体
2 「彼」の到達した個人主義
3 「彼は……た。」の論理
4 漱石の「現在形」
第七章 「~は……である。」文の新しい意味
1 歴史における翻訳
2 「~は」の役割が変わった
3 書き言葉における「である。」
4 「~は……である。」文の論理
5 日本国憲法前文の「~は」
第八章 日本語の論理
1 西田哲学の「主語」論理批判
2 「述語論理」の説――中村雄二郎、木村敏
3 翻訳論の立場から
4 西田哲学と時枝文法論
5 さらに翻訳論の立場から
第九章 A+B→Cの文化論
1 「未知」なままでの理解方法
2 現代の流行現象から
3 異文化「フランス」
4 キリシタンはキリスト教徒だったのか?
5 キリシタンの「転び」
6 「転び」と両立する信仰
第十章 漢字の造語力と、意味の空しさ
1 「~は」構文と漢字
2 訓読みの時代
3 音訓併用の時代
4 日本独自の勉強法「素読」
5 文字が時代をつくる
6 日本近代をつくった漢字
7 漢字の特有の機能について
8 漢字の「形」の造語力
9 漢字の「意味」の造語力
10 漢字造語力への思い込み
11 「外来語」の造語力
第十一章 言葉の限界
1 言葉に閉じこめられて
2 言葉の裂け目――パラドックス
3 堅固な言葉、文字
4 差別も文字がつくり出した
5 文字以前の言葉の世界
おもな参考文献
あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。