..
【利用不可】
書店員向け情報 HELP
老いの荷風
発行:白水社
四六判
238ページ
定価
2,400円+税
- 書店発売日
- 2017年5月28日
- 登録日
- 2017年3月28日
- 最終更新日
- 2017年5月12日
書評掲載情報
2017-12-17 |
毎日新聞
朝刊 評者: 持田叙子(近代日本文学研究者) |
2017-06-25 |
毎日新聞
朝刊 評者: 持田叙子(日本近代文学研究者) |
MORE | |
LESS |
紹介
『濹東綺譚』以降の荷風を探る
『荷風と東京 「断腸亭日乗」私註』(読売文学賞)をはじめ、荷風評論に他の追随を許さぬ第一人者が、これまで注目されることの少なかった『濹東綺譚』以降の作品や生活を中心に、老いを生きる荷風の孤愁ともいうべき姿を、絶妙な視点と筆さばきで描く力作。
戦争中、60代後半に差しかかっていた荷風は、『踊子』『来訪者』『問はずがたり』など、発表のあてもなく、時勢の定まらぬなか、新しい小説を書きたいという強い意欲をもち、日々の研鑚を重ねていた。戦後発表されたこれらの作品には、老いゆく荷風の憂いが色濃くあらわれていると著者は指摘する。
本書ではほかにも、市川移住で生まれた戦後の諸短篇「羊羹」「或夜」「にぎり飯」などを取り上げながら、市川周辺をはじめ、亀戸や小岩といった隅田川の向こう側光景を、荷風が抱き続けた都市の周縁への関心と併せて論じている。
〈人の世を、早いころから「老い」の目で見る。現実社会と深く関わらない「老い」の目で、時代を見る。そこに荷風文学の真骨頂があるように思えてならない〉という著者の指摘が、深い説得力をもって読者に迫ってくる。
上記内容は本書刊行時のものです。