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香港
返還20年の相克
発行:日本経済新聞出版社
四六判
264ページ
定価
1,800円+税
- 書店発売日
- 2017年6月23日
- 登録日
- 2017年6月13日
- 最終更新日
- 2017年6月16日
書評掲載情報
2017-09-09 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
英国から中国への返還が実現して20年。東洋の真珠とも呼ばれる世界的なフリーポートは、返還後も中国本土へのゲートウェイとして優位性を誇示してきた。
しかし、経済は中国本土に圧倒され、返還時に約束された「一国二制度」は「一国一制度」へと収斂しつつある。習近平政権は香港の自由を実力で奪い、各方面で対立が表面化。一部の若者からは「独立」の声もあがる。
上海、北京、広州など中国本土が急成長するなか、香港の相対的な地位低下が続いている。中国の国内総生産に占める香港の割合は3パーセントを割った。製造業は、コスト競争力はもとより、研究開発でも本土の後塵を拝す。国際金融センターとしての相対的地位は健在だが、行政の介入がマイナスに作用。傘下の本社登記地をケイマン諸島に移した李嘉誠など、大富豪たちの動静にもこれまでとは違う変化の兆しが見られる。英国流の教育制度は排除され、英語を話せる香港人も減少の一途をたどるなど、香港の優位性を支える基盤にも軋みが見られる。数多くの興味深いエピソード、背後にある文化や制度の変容から、混沌とも雑然とも形容される香港の実像を浮き彫りにする。
香港返還から今日に至る政治、経済、社会の深層に迫り、あらためて返還の意義を考えるとともに、今後の中国に対する視座を与える一冊。
目次
序 章 愛される都市
第1章 香港返還前史
第2章 共存共栄関係の終焉
第3章 形骸化する一国二制度
第4章 累積した経済政策の誤り
第5章 迷走する民主化と軽量化する行政長官
第6章 劣化する国際経済都市
終 章 竜宮城のリニューアル
上記内容は本書刊行時のものです。