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コンピュータが小説を書く日 ――AI作家に「賞」は取れるか
- 書店発売日
- 2016年11月18日
- 登録日
- 2016年11月4日
- 最終更新日
- 2016年11月25日
書評掲載情報
2017-01-22 |
読売新聞
朝刊 評者: 朝井リョウ(作家) |
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紹介
AI作家誕生か、と騒がれた“事件"の実相を、当事者が克明に綴る。
袋とじブック・イン・ブック――“AI作家"が一次選考を通過した第3回日経「星新一賞」への、人工知能を利用して作成したショートショート2編を一挙収録!
日本の文学賞で唯一、日本経済新聞社主催の「星新一賞」にしかない応募規定が「人間以外(人工知能等)の応募作品も受付けます」。第3回には遂に一次選考通過作も出たことが明らかにされた。選考過程は明らかにされていないが、2篇を応募した「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」所属メンバーらの報告会が2016年3月にあり、国内外のメディアが速報したのは記憶に新しい。これは単なる珍しい話題に過ぎないのか?
文藝春秋7月号の特集「2020年『日本の姿』」で「人工知能作家が芥川賞を狙う」と題してこの話題が取り上げられた。取材を受けたのは「きまぐれ~」を率いる松原仁・はこだて未来大学教授。松原教授はAIで小説を創作するための3つの要素を「物語生成」「文章生成」「作品評価」とし、今回は「文章生成」機能のみが使用できたことで「まだ人間が八割、AIが二割」と述べた。
本書で著者はこう述べる。「文章生成」がコンピュータにとってはもっともハードルの高い最初の難関だと。たとえば時間・空間・年齢・性別などの情報が明記されている定型文書などは、すでにコンピュータが作れる段階に来ていると言われている。小説がなぜハードルが高いのか、それは時間・空間・年齢・性別などの情報が明かされずに日本語が連関していき、法則性が見えないから。つまり、正解がないからだ。
日本語とAIの関係を通して、人とAIとの新たな関係まで見えてくる。その可能性の萌芽が兆したノンフィクションの好著!
目次
第1章 コンピュータは文章が書けない
第2章 テキストの切り貼りを試す
第3章 構造を導入する
第4章 文章生成器GhostWriter
第5章 『コンピュータが小説を書く日』の舞台裏
第6章 コンピュータは文章が読めない
第7章 応募作品は誰が書いたのか
第8章 応募報告会と反響
第9章 人工知能と創造性
第10章 文章を紡ぐということ
袋とじブック・イン・ブック
第3回日経「星新一賞」応募作品
『コンピュータが小説を書く日』『私の仕事は』
上記内容は本書刊行時のものです。