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面心の代数幾何学

自然科学 ラノベ

硲 文夫(著)
発行:東京電機大学出版局

A5判   224頁  並製
価格 3,200円+税

ISBN 978-4-501-63060-7   C3041
在庫あり(出版社情報)

奥付の初版発行年月 2017年7月
書店発売日 2017年7月10日
登録日 2017年5月23日

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紹介

面心を題材として代数幾何学を学ぶ入門書。面心とは全ての面積が等しくなる点のこと。「面心を有する多角形とはどのような図形なのか」という謎解きを通じて、理工学を学ぶ上で欠かすことのできない線形代数や微積分の本質的な働きが理解できる構成。代数幾何学の本質を理解したい方必読!

目次

第1章 多角形の面心
 1.1 三角形の場合の面心
 1.2 符号付き面積とは
 1.3 面心n角形の条件
    練習問題
第2章 面心と連分数
 2.1 連分数とチェビシェフ多項式
 2.2 面心多角形とチェビシェフ多項式
 2.3 面心多様体の定義
 2.4 第二種チェビシェフ多項式とu[1,n]の関係
    練習問題
第3章 代数幾何学からの準備
 3.1 代数多様体・特異点
 3.2 有理曲線
 3.3 第一種チェビシェフ曲線
 3.4 第二種チェビシェフ曲線
    練習問題
第4章 チェビシェフ曲線の特異点
 4.1 第一種チェビシェフ曲線の特異点
 4.2 第二種チェビシェフ曲線の特異点
    練習問題
第5章 チェビシェフ多様体の特異点
 5.1 チェビシェフ多様体
 5.2 チェビシェフ多様体の特異点
    練習問題
第6章 イデアル
 6.1 イデアルの定義
 6.2 イデアルを法とする合同式
 6.3 線形代数との関連
 6.4 なぜイデアルが必要か
    練習問題
第7章 面心多様体の定義イデアルと有理性
 7.1 代数多様体の定義イデアル
 7.2 ACnの定義イデアル
 7.3 ACnの有理性
    練習問題
第8章 面心多様体の特異点
 8.1 ヤコビ行列・次元・特異点
 8.2 ACnの特異点
 8.3 AC4の具体的な形
    練習問題
第9章 カッコの数学
 9.1 平衡カッコ列
 9.2 平衡カッコ列の個数
 9.3 平衡カッコ列の順序関係
 9.4 平衡カッコ列の中身
    練習問題
第10章 チェビシェフ多様体の部分多様体
 10.1 平衡カッコ列に付随する代数多様体
 10.2 部分多様体の構成I
 10.3 山カッコ列に付随する代数多様体
 10.4 部分多様体の構成II
    練習問題
第11章 面心多様体の部分多様体I
 11.1 ブラケット列に付随する代数多様体
 11.2 結合変換
 11.3 ブラケット変換
 11.4 ACnの部分多様体:n≡0(mod4)の場合
    練習問題
第12章 面心多様体の部分多様体II
 12.1 三重ブラケット列に付随する代数多様体
 12.2 ブラケット列の結合変換
 12.3 ACnの部分多様体:nが奇数の場合
    練習問題
第13章 面心多様体の部分多様体III
 13.1 四重ブラケット列に付随する代数多様体
 13.2 ACnの部分多様体:n≡2(mod4)の場合
 13.3 ACnの部分多様体:まとめ
    練習問題
第14章 面心多角形の具体例
 14.1 面心五角形
 14.2 面心六角形
 14.3 面心七角形
 14.4 正多角形
    練習問題
付録 定義・命題・定理・系・補題
練習問題解答
参考文献
索引

前書きなど

はじめに
 これは紀元前5世紀頃にギリシャのアイギナ(Aegina)で鋳造された貨幣の両面である.右側の図形を見ると正方形が線分で5つの部分に分けられているが,実はその5つの面積がすべて等しく,しかもこれらの線分が定規とコンパスのみで作図可能だという点で非常に興味深い.
 古来貨幣には時の権力者や,人々が崇拝した神や動物が描かれるのが通例だが,このような図形を用いたということは,当時のギリシャの人々がこの発見をいかに貴重なものとみなしたかを象徴している.
 筆者が初めてこの図形に出会った数年前「ではn角形を,内部にある点から引いた線分でm等分できるだろうか.」という問題に思い至り,三角形の5等分が意外にも均整のとれた図になることに感激して,自らコインを作ってみたものが次ページの写真である.
 本書はアイギナの図形に端を発して,「n角形の内部の1点から各頂点を結んでできるn個の三角形の面積をすべて等しくすることは可能か」という問題を巡って筆者が見ることができた数学的な風景の紹介をテーマとしている.n角形がいつもそのような1点を持つわけではない.そのような点が存在した場合,この点を「面心」,面心を持つ多角形を「面心多角形」と呼ぶことにした.
 面心の探求の過程で,「連分数」,「チェビシェフ多項式」といった数学的対象とその一般化に出会い,そこで必要となる代数幾何学のいくつかの概念に慣れ親しみながら,「カッコの数学」という統一的な手法によって,均整のとれた面心多角形が構成できるようになる.
 各章の流れは次のようになっている.第1章で面心多角形が導入され,多角形が面心を持つための条件を定式化する.第2章ではその条件と連分数との関係に注目し,自然に「多変数のチェビシェフ多項式」に導かれる.第3章では本書を通して必要となる代数幾何学のいくつかの概念を導入し,「チェビシェフ曲線」の性質を解明していく.第4章はその曲線の「特異点」の分析,およびパラメータ表示との関連を「終結式」を通して考察する.第5章は多変数のチェビシェフ多項式で定義される代数多様体「チェビシェフ多様体」を導入し,その特異点を決定する.第6章では代数幾何学で重要な役割を演ずる「イデアル」の概念を導入し,なぜそれが大事なのかを線形代数と関連付けながら理解していく.第7章で面心n角形全体のなす集合「面心多様体ACn」がチェビシェフ多項式に基づいて定義され,その扱いやすい「定義イデアル」を構成してパラメータ表示を見出す.第8章は面心多様体の特異点を決定し,特に面心4角形全体のなすAC4の特異点が,対応する面心4角形の対称性と深く関連していることを見る.第9章以降「カッコの数学」を導入し,面心多様体の部分多様体を構成する強力な手段となることを見ていく.「カッコ列」(第9章),「山カッコ列」(第10章),「ブラケット列」(第11章),「三重ブラケット列」(第12章),「四重ブラケット列」(第13章)と,それらの間のさまざまな変換を通して面心多様体の部分多様体が構成されていき,そのことによって均整のとれた面心多角形が手に入れられるようになることを示す.第14章はそのような面心多角形の実例を与えた.また各章末には練習問題を配して,その章で導入された定義や手法を習得できるようにした.
 予備知識としては,大学1年次の線形代数と微積分のみで十分である.むしろ本書を読み進むうちに,「行列の基本変形」,「行列式」や「ヤコビ行列」といった線形代数や微積分の基本概念が本質的な働きをする場面に何度も出会うことになり,その有用性を確認することができるであろう.また,抽象的な議論が必要な場面でも,具体例を通して理解できるように記述していくことを心がけた.アイギナの貨幣に触発されて生み出された数学の1つの小世界の魅力を少しでもお伝えできれば幸いである.
平成29年4月
硲 文夫

上記内容は本書刊行時のものです。