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ユニコード戦記 小林龍生(著) - 東京電機大学出版局
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ユニコード戦記 (ユニコードセンキ) 文字符号の国際標準化バトル (モジフゴウノコクサイヒョウジュンカバトル)
原書: 0

コンピュータ
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四六判
290ページ
上製
定価 2,700円+税
ISBN
978-4-501-54970-1   COPY
ISBN 13
9784501549701   COPY
ISBN 10h
4-501-54970-X   COPY
ISBN 10
450154970X   COPY
出版者記号
501   COPY
Cコード
C3004  
3:専門 0:単行本 04:情報科学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年6月
書店発売日
登録日
2011年6月10日
最終更新日
2011年10月14日
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書評掲載情報

2011-08-21 朝日新聞
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紹介

文字符号、とくにユニコードがどのようにしてつくられてきたのかを、当事者自身が、当時の資料や議事録などをもとに振り返りながら、世界的なバトルの様子に焦点をあてて時間軸に沿って書きつづった読み物。世界の文字符号であるユニコードと日本やアジアの文字符号との整合性をとっていく過程などを赤裸々に告白。日本人にとって苦手な英語を著者はどうやって習得していったか、その過程を詳しく述べることによって、英語を学ぼうとしている人たちに方向性を示唆。国際標準化バトルの世界で本当に必要なこととは何かを教えてくれる一冊。

目次

第1幕 序章
 第1章 参戦
  1 召集令状
  2 緒戦
  3 初戦果
  4 パックス・アメリカーナ
  5 出張の嵐
  6 ルビタグ縁起
  7 情報帝国主義
 第2章 戦友
  1 去りゆく古参兵
  2 バディ参戦
  3 最初の提案
  4 ルビ戦争勃発
  5 先任軍曹
  6 共同議長
 第3章 一九九五年ごろの文字コード
  1 コンピューターの発展と文字コード規格の変貌
  2 日本語情報処理の発展と国際符号化文字集合への蠕動
  3 そして、ぼくの前史
第2幕 国内戦線
 第4章 JIS X 0213と国際整合性
  1 重大ニュース
  2 やっかいな問題
  3 数々のすれちがい
  4 グローバル化への高い代償
 第5章 表外漢字字体表
  1 ユニコード批判の嵐
  2 白熱する議論
  3 深まる議論
  4 答申が残した課題
 第6章 JIS X 0213:2004
  1 表外漢字字体表とJIS漢字規格の整合
  2 残された課題
 第7章 カンバセーション
  1 ピックポケット
  2 ヒデキの激怒
  3 ヨーロッパ縦断一七時間の旅
  4 英会話は女子大で
  5 絶頂期のトレーニング
第3幕 国内戦線
 第8章 CICC活動
  1 ミャンマー文字 ―希有な成功例―
  2 クメール問題 ―外人部隊の跋扈―
  3 クメール問題 ―前言撤回―
  4 CICCによる実証実験
 第9章 SC2議長
  1 SC2議長就任
  2 議長の息抜き
  3 ISO/IEC 14651 ―英語とフランス語版の整合性―
  4 ミスターインビジブル
  5 SEIとマイノリティスクリプト
  5 SC2議長にできること
 第10章 ヒデキとぼくは何と戦ってきたか
  1 文字コードと自然言語との関係
  2 ユニコード批判の中心に位置するもの
  3 人名漢字のアポリア
第4幕 終章
 第11章 最後の戦い
  1 封印されたヴァリエーションセレクター
  2 ヴァリエーションセレクター、漢字適用への道
  3 汎用電子情報交換環境整備プログラムとIVS
  4 戦いの行方
あとがき
付録

前書きなど

 本書は、現代の情報通信技術の地球規模での共通基盤である符号化文字集合標準(いわゆる文字コード)となっているユニコードとISO/IEC10646の普及と変容の過程を描いている。記述は原則的に筆者自身の実体験に基づいている。
 符号化文字集合のみならず、情報標準は、一般のユーザーにとっては、通常は意識に上ることすらない所与のものであろう。しかし、すべての情報標準は、その開発にかかわった人々の営為の結果であり、開発の過程には悲喜こもごもさまざまなドラマがある。符号化文字集合規格もその例に漏れない。さらに、符号化文字集合規格は、それが文字というすぐれて言語・文化にかかわるものであるがゆえに、さまざまなレベルで、開発の過程においては多様な利害が激しく対立する場となり、成果を世に問うにあたっては時に感情的なものをも含む厳しい批判の対象となってきた。
 本書では、これらの対立や批判と、それを解決しようとする関係者の営為についても隠すことなく記述するよう努めた。記述にあたっては、情報通信技術を専門としない読者にも通読が容易となるよう努めた。そのため、本文の記述には一部不正確な個所や詳細な議論を省略した個所があるが、これらについては別途、用語解説を設け、可能なかぎり平易な説明を試みた。適宜ご参照いただきたい。
 ご一読いただければ瞭然だが、本書の記述は、筆者の一人称による述懐の形をとった。あえてその理由を述べると、以下の通りである。一つ。情報標準の開発も、他のさまざまな営為と同様、喜びや怒り、悲しみが織りなす、すぐれて人間的な営為であることを、みずからの経験を通して表現したかったこと。二つ。筆者自身が、尊敬すべき先達や優れた友人(現象面で敵対してきた人々も含めて)に恵まれ、遅蒔きながらも成長してきた過程を表現したかったこと。
 本年(2011年)、筆者は世にいう還暦を迎える。世界規模での情報通信化の流れが今後後退するとは考えがたい。本書が、この流れを根底で支えてくれる次の世代の人たちの背中を少しでも押す力となることができれば、望外の喜びである。

上記内容は本書刊行時のものです。