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燃料電池の技術 西川尚男(著) - 東京電機大学出版局
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燃料電池の技術 (ネンリョウデンチノギジュツ) 固体高分子形の課題と対策 (コタイコウブンシケイノカダイトタイサク)
原書: 0

工業・工学
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A5判
232ページ
上製
定価 3,600円+税
ISBN
978-4-501-11520-3   COPY
ISBN 13
9784501115203   COPY
ISBN 10h
4-501-11520-3   COPY
ISBN 10
4501115203   COPY
出版者記号
501   COPY
Cコード
C3054  
3:専門 0:単行本 54:電気
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2010年6月
書店発売日
登録日
2010年6月10日
最終更新日
2022年7月7日
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紹介

燃料電池は電気自動車のエネルギー源や家庭での電気発電設備に使われ、次世代エネルギーとして期待されている。また開発競争もますます激しくなり、専門技術書の需要も高まってきている。本書は多くの開発課題とその対策を、最新の研究をもとにまとめたもの。各種課題に対して、具体的な原因の究明や有効的な解決策を示している。

目次

第1章 資源の枯渇と地球温暖化問題
 1.1 エネルギーの流れ
 1.2 発電構成
 1.3 資源枯渇と地球環境問題
 1.4 CO2削減への取り組み
 1.5 燃料電池の貢献
第2章 燃料電池の基本
 2.1 燃料電池の原理と種類
 2.2 燃料電池の理論効率と理論起電力
第3章 固体高分子形燃料電池(PEFC)のセル・スタック構成と水管理
 3.1 PEFCのセル・スタック構成
 3.2 水管理
第4章 セル性能
 4.1 セル性能の向上
 4.2 セル電圧特性
第5章 セル劣化
 5.1 触媒劣化
 5.2 電解質膜劣化メカニズム
 5.3 カーボン劣化
第6章 セル診断技術
 6.1 サイクリックボルタンメトリー測定法(CV法)
 6.2 分極分離手法
 6.3 交流インピーダンス測定法
 6.4 ガスリーク測定法
 6.5 湿度測定法
 6.6 セル内水分分布測定法
 6.7 参照電力によるカソード・アノード電位測定法
 6.8 可視光・赤外線によるセル内酸素濃度測定法
 6.9 MRIによる膜内水分測定法
 6.10 サーモグラフィーによるセル内温度分布の測定法
 6.11 膜内抵抗分布測定による水分分布の推定
 6.12 ガス流路可視化と電流分布測定法
 6.13 セル内の水蒸気,酸素および水素分圧測定法
第7章 加速試験方法
 7.1 要素レベルの加速試験
 7.2 ショートスタックを用いた加速試験
 7.3 実セルレベルの加速寿命試験
第8章 PEFCの適用(自動車用と家庭用燃料電池)
 8.1 自動車への適用
 8.2 家庭用燃料電池
付録
索引

前書きなど

 世界経済の発展とともに,化石燃料の消費が増えており,その結果として地球のCO2濃度が着実に増加し,いたるところで気候変動が発生し,また生態系に異変が生じている。今後先進国はもとより,ブリックス(BRICs:ブラジル,ロシア,インド,中国の総称)といわれる国々がこれまでの経済成長を続けていけばこの傾向はますます加速される。先進8ヶ国のサミットでもCO2削減問題が大きく取り上げられたが,各国の足並みは必ずしも一致していない。将来を担う子供たちのためにもCO2濃度増加の流れを一刻も早く変えていかなければならない。
 燃料電池の世界を振り返ると大きな進展が見られる。その1つが現在注目を集めている家庭用燃料電池である。究極のコージェネレーション(co-generation)といわれ,家庭で発電することにより電気と熱を同時に利用できる燃料電池発電システムである。このシステムが普及すれば1軒あたりのCO2の年間排出量は約0.8トン削減でき,これがもし1000万世帯に普及すれば800万トンのCO2の削減となり,これは日本全体の年間のCO2発生量13.04億トン(2007年度の値)の約0.61%に相当する。
 また,自動車の世界でも燃料電池自動車が着実に運転実績を上げており,実証試験データによると,年間1万km走った場合ガソリン車と比べ約1トンのCO2削減が可能である。さらに,燃料電池に利用する水素の製造を化石燃料から原子力あるいは再生可能エネルギーに移行した暁にはさらなるCO2削減効果がある。これらからわかるように,家庭用および自動車用として開発されてきた固体高分子形燃料電池(PEFC)はCO2の削減に大きく寄与するものと今後ますます期待される。
 最近脚光を浴びているPEFCは国の支援を得て,家庭用の「大規模実証実験」と自動車用の「水素・燃料電池実証プロジェクト」が行なわれ,学問分野では産官学共同の研究開発が進み,その結果触媒,高分子膜,炭素基盤にかかわるセル劣化メカニズムの解明ならびに実用化に向けた研究開発が大きく進展した。今後この分野に携わる研究者,開発者の層が拡大すれば,信頼性の高い,実用的で低コストの家庭用燃料電池および自動車用燃料電池の開発が進み,燃料電池ビジネスは大きく飛躍し発展するものと期待される。
 今回,若い人がPEFCの研究開発を行なう際になんらかの手がかりになればと思い,関心のあるテーマであるセル性能,セル劣化メカニズムの解明,セル診断技術などについて国内外の文献を引用させていただき取りまとめてみた。ここで記述した内容をもとに,さらに専門分野で磨きをかけていただき一流の研究者,技術者に育っていただきたい。本書が今後の研究開発に向けての礎になることを願っている。
 最後に引用させていただいた国内外の大学の諸先生,企業の研究者・技術者,国の研究機関の研究者ならびに他の関係機関の方々に対し敬意と感謝を申し上げます。
 2010年4月
 西川尚男

上記内容は本書刊行時のものです。