書店員向け情報 HELP
出版者情報
食でたどるニッポンの記憶
- 書店発売日
- 2017年6月22日
- 登録日
- 2017年5月19日
- 最終更新日
- 2017年6月14日
紹介
食文化研究者である著者が、半世紀以上に渡る様々な食との出会いについて綴る。食卓から浮かぶ、戦後から現代までの日本社会と食文化の変遷が描かれる。著者の個人的「食歴」であり、戦後の日本人の食卓の貴重な記録。
目次
Ⅰ 田舎の悪童たちの胃袋を満たしたもの(昭和20年~30年)
400年近く続く造り酒屋に生まれて/カヨちゃんとの痛い思い出/柱につながれていた幼少期/おしゃぶりは干しイモ/
泣くと身欠きニシンが泳いできた/棒タラとの長いつきあい/麦とろは、当時もうまかった/
白いごはんと塩ホッケは最強コンビ/DDTの洗礼を受けた子どもたち/肺病で亡くなる人が多かった/
日本人が肉食を嫌った理由/子馬の競りは、町の一大イベント/トテ馬車から木炭車へ/
クジラを食べることは日本の文化だった/クジラ料理ベスト3/ニワトリのタマゴの恩恵
肉は町の肉屋ではなく、山で調達/野ウサギの「ウサギ汁」に舌鼓/スズメの捕獲作戦「その1」
スズメ捕獲作戦「その2」/カラスのロウソク焼き/野鳥のレストランがあった/赤カエルの肉は甘くてうまい
シマヘビは売ってお小遣いにしていた/ドジョウとウナギは料理屋へ/小泉式オリジナル「小ブナ」漁法
家の池にコイが自然繁殖/淡水魚と日本の食生活/「畑の肉」である大豆食品/食材が少なくても豊かな食生活はできる
弁当温め箱の、棚取り合戦/大好物だらけの私の弁当/弁当のない子も一緒にわいわい食べた
イナゴ捕りで、みんながハッピーに/子ども同士で生きる知恵を身につけた/秋は干し柿がうまかった
酒粕を食べて酔っぱらって登校/食べる魚の種類も増えてきた/紙芝居を観て少年探偵団を結成
テレビと映画館の登場で衝撃を受ける
Ⅱ 伝統食の崩壊と新たな食材の登場(昭和31年~36年)
日本の食生活が激変した昭和三十年代/出世魚のごとき「あだ名」が示す食の遍歴/マヨネーズの衝撃
魚肉ソーセージで子分を増やす/血沸き肉躍るジンギスカン/焼きソバとの偶然の出会い/祭りで稼いだ金でハムを食う
アンゴラウサギで一儲けした友人/大盛りラーメンで空腹を満たした日々/インスタントラーメンの登場
土用の丑の日の「大酸っぱい」/自動式電気釜誕生の衝撃/弁当にも肉が入るようになった
高校時代は三倍うまい「サンドイッチ弁当」/極上のアブラハム・リンカーン/フランス料理のエスカルゴに挑戦
映画が果たした役割/変わらなかったトイレ事情
Ⅲ オリンピック前後の東京の生活文化と食事情
日本全体が希望に満ちていた大学時代/醸造学科のお坊ちゃまレベルは日本一/原宿のネコ屋敷に住んでいた
神宮球場へ通い詰めた日々/休日はトロリーバスでザリガニ捕り/渋谷の名画座で映画三昧
バスの中での、もろみドクドク事件/阿武隈「缶」太郎の自炊生活/ポークソテーでうひょひょー
クジラを最高においしく食べる調理法/夜中の立ち飲みのおでん屋/新宿「ションベン横丁」の思い出
新宿西口のバラックの「おしゃれコーナー」/渋谷の百軒店とキャバレー通い/東京農大のネットワークは大きな財産
Ⅳ 崩壊しつつある日本の食文化への提言
26歳で訪れた沖縄で肉の多さに圧倒される/沖縄の「おばあ」が教えてくれたこと/
地域に伝承されている食文化には意味がある/アメリカの統治で沖縄の食文化は失われた/
日本人が歴史的に食べてきた「和食の主材」/半世紀の間に日本の食生活が激変/
なぜ日本の食生活は短期間で激変したのか/カップラーメンの登場/化学調味料の消費量も増えた/
食生活の変化で病気も変わった/食べ物は体型まで変えてしまう/酒の飲み方も変化してきた/
戦後の酒の変遷/奄美大島の長寿の秘密
上記内容は本書刊行時のものです。