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女の駅 臼井幸彦(著/文) - 柏艪舎
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女の駅 (オンナノエキ) 駅を彩るスクリーンの女神たち (エキヲイロドルスクリーンのメガミタチ)

文芸
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発行:柏艪舎
四六判
280ページ
上製
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-434-20010-6   COPY
ISBN 13
9784434200106   COPY
ISBN 10h
4-434-20010-0   COPY
ISBN 10
4434200100   COPY
出版者記号
434   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年12月
書店発売日
登録日
2014年11月27日
最終更新日
2014年12月17日
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紹介

キャサリン・ヘップバーン、ヴィヴィアン・リー、イングリッド・バーグマン、高峰秀子、左幸子―
洋の東西を問わず、駅を彩る活躍をしてきた有名女優80人にまつわるエッセイ集。

目次

目 次

プロローグ 駅の映画女優論………… 7

第一章 外国映画の女神たち                   (    ):生誕年

(一九〇七~一九一〇年代)
 キャサリン・ヘップバーン………… 14     ヴィヴィアン・リー………………… 17
 イングリッド・バーグマン………… 20     ジョーン・フォンテイン…………… 23
 ジェニファー・ジョーンズ………… 26   
(一九二〇年代)
 モーリン・オハラ…………………… 29     ジュリエッタ・マシーナ…………… 32
 シモーヌ・シニョレ………………… 35     アリダ・ヴァリ……………………… 38
 エヴァ・マリー・セイント………… 41     エレオノーラ・ロッシ・ドラーゴ… 44
 ルチーナ・ヴィニエッカ…………… 47     ジャンヌ・モロー…………………… 50
 オードリー・ヘップバーン………… 53   
(一九三〇年代)
 シルバーナ・マンガーノ…………… 56     モニカ・ビッティ…………………… 59
 アヌーク・エーメ…………………… 62     ソフィア・ローレン………………… 65
 ヴァネッサ・レッドグレイヴ……… 68     ジェーン・フォンダ………………… 71
 ロミー・シュナイダー……………… 74     クラウディア・カルディナーレ…… 77
(一九四〇年代)
 キャサリン・ロス…………………… 80     ダニエラ・ビアンキ………………… 83
 バーブラ・ストライサンド………… 86     カトリーヌ・ドヌーブ……………… 89
 ダイアン・キートン………………… 92     ニコール・ガルシア………………… 95
 メリル・ストリープ………………… 98   
(一九五〇年代)
 ナンシー・アレン…………………… 101     マリア・シュナイダー……………… 104
 ジュディ・デイヴィス……………… 107     ケリー・マクギリス………………… 110
 キャロル・ブーケ…………………… 113     ロザンナ・アークエット…………… 116
(一九六〇年代)
 アンヌ・パリロー…………………… 119     ジュリアン・ムーア………………… 122
 エリザベス・マクガヴァン………… 125     メグ・ライアン……………………… 128
 マルゲリータ・ブイ………………… 131     モニカ・ベルッチ…………………… 134
 ダイアン・レイン…………………… 137     コン・リー…………………………… 140
 イレーヌ・ジャコブ………………… 143     サンドリーヌ・ボネール…………… 146
 ニコール・キッドマン……………… 149     ジュリア・ロバーツ………………… 152
 キャサリン・ゼタ・ジョーンズ…… 155     ジュリー・デルビー………………… 158
(一九七〇年代)
 キャメロン・ディアス……………… 161     ヴァネッサ・パラディ……………… 164
 ケイト・ベッキンセイル…………… 167     アンジェリーナ・ジョリー………… 170
 オドレイ・トトゥ…………………… 173   
(一九八〇年代)
 フリーダ・ピントー………………… 176     スカーレット・ヨハンソン………… 179


第二章 日本映画の女神たち

(一九一七~一九二〇年代)
 望月優子……………………………… 184     原節子………………………………… 187
 高峰秀子……………………………… 190   
(一九三〇年代)
 左幸子………………………………… 193     久我美子……………………………… 196
 岸恵子………………………………… 199   
(一九四〇年代)
 浅丘ルリ子…………………………… 202     倍賞千恵子…………………………… 205
 十朱幸代……………………………… 208     吉永小百合…………………………… 211
 栗原小巻……………………………… 214     富司純子……………………………… 217
 和泉雅子……………………………… 220   
(一九五〇年代)
 桃井かおり…………………………… 223     烏丸せつこ…………………………… 226
 田中裕子……………………………… 229     大竹しのぶ…………………………… 232
(一九六〇年代)
 浅野ゆう子…………………………… 235     小林聡美……………………………… 238
 江角マキコ…………………………… 241   
(一九八〇年代)
 須藤温子……………………………… 244     本仮屋ユイカ………………………… 247
 徳永えり……………………………… 250     堀北真希……………………………… 253

エピローグ 女と女優………………… 256

参考文献……………………………………… 263
索引…………………………………………… 265

前書きなど

プロローグ 駅の映画女優論
        

「映画は女優で見る」と主張して止まない映画評論家もおられるように、映画における女優の役割は極めて大きいものがあります。
「MOOK21・外国映画女優名鑑」によると、女優が映画の中で重要な位置づけをされるようになったのは、映画誕生の十五年後、一九一〇年にアメリカで起きたある象徴的な事件以来であるようです。「新進女優のフローレンス・ローレンス(一八八六~一九三八)がセントルイスの電車事故で死亡」という衝撃的な記事を地元紙が掲載しました。明らかな誤報だったのですが、映画会社がそれを宣伝に利用し、フローレンス見たさに観客が映画館に殺到するという事態が発生しました。
この事件が映画会社に女優の重要性を教え、偶然にも最初の女優映画スターが生まれました。同時期に、デンマークやイタリアでもスター女優が誕生し、観客はお気に入りの女優を目的に映画館に行くというスタイルが徐々に定着してゆきます。そして製作者の名前だけが記されていた宣伝用ポスターにも、主演女優の名前が登場するようになり、ハリウッドの隆盛と共に、観客の夢をかなえる華やかな映画女優の存在が際立ってきます。
その上、駅が舞台になると女優の存在は格段に大きくなるように思います。ヴェネチア:サンタ・ルチア駅のキャサリン・ヘップバーン、ロンドン:ウォーター・ルー駅のヴィヴィアン・リー、ニューヨーク:グランド・セントラル駅のイングリッド・バーグマン、ローマ:テルミニ駅のジェニファー・ジョーンズ、パリ:リヨン駅のオードリー・ヘップバーン、ミラノ中央駅のソフィア・ローレン、アントワープ中央駅のカトリーヌ・ドヌーヴ、そして北軽井沢駅の高峰秀子、上野駅の左幸子……と映画の中で、駅のホームやコンコースを背景にした往年の名女優の懐かしい顔が、たちどころに浮かびます。
新進の人気女優でもフィラデルフィア三〇丁目駅のキャメロン・ディアス、パリ:リヨン駅のアンジェリーナ・ジョリー、パリ:北駅のオドレイ・トトゥ、ロサンゼルス・ユニオン駅のスカーレット・ヨハンソン、そして北海道増毛駅の徳永えり、上野駅の堀北真希……と限りがありません。
駅の空間では、なぜかこれらの女優の個性と美しさが一際、輝きを増しています。
駅はフランス語でgare、イタリア語でstazione、スペイン語でestacion……いずれも女性名詞です。こんなところにも駅には女優が似合う謂れがあるのでしょうか。もっともドイツ語のbahnhof(駅)は男性名詞ですが……。
駅が舞台の世界最初の映画、ルイ・リュミエールの『ラ・シオタ駅への列車の到着』(一八九五)にも女性は登場します。
プロヴァンスの明るい陽光が降り注ぐラ・シオタ駅のホームと一群の男女が映し出されると間もなく、画面の奥に蒸気機関車が現れ、観客に向かって突進し、駅に滑り込みます。ホームの人々は旅客を演じるために集まったリュミエール家の人たちと言われていますが、女性はいずれも着飾っています。
列車に乗り込む女性や降車する子供の手助けをする女性など、その行動は様々ですが、映画は単に人々の運動を映し出すだけで、人間の感情や相互関係などの表現は見られません。
「映画とは何か」(加藤幹郎・著)によれば、草創期には「運動」のみを表現していた映画も、映画誕生から四年もすると単に人々の「運動」だけでなく「感情」の表現も行うようになります。英国で撮影された『トンネルでのキス』(一八九九、ジェイムズ・バンフォース)は完璧な男女の物語映画になっていました。「トンネルに入る」という列車の「運動」と、それによって誘発される男性心理、即ち暗闇に乗じて「彼女にキスしたい」という男性の「感情」とそれに伴う行動をも表現するようになったのです。
こうして列車を撮影しながら、「運動」表現のみの映画から「運動」と「感情」を表現する映画へと、メディアとしての可能性が高まっていきます。
こうした恋物語は、草創期から映画にとって関心の高いものだったと思われますが、その後の、駅や列車が登場する恋愛映画になると枚挙に遑がありません。そして駅が舞台の恋愛映画になると、女優の存在感は、男優に較べ、俄然、大きくなります。
「知の庭園―十九世紀パリの空間装置」(松浦寿輝・著)はマルセル・プルースト(一八七一~一九二二)がその代表作「失われた時を求めて」の中で顕彰した、駅と美術館のアナロジーを紹介しています。都市の空間装置として、駅の本質に関わる興味ある思考があり、以下にその一部を抜粋します。
『駅と美術館は、何かしらの「距離」が還元不可能ななまなましさで露出しているという点で共通する、二つの場所である。……出発にせよ、到着にせよ、こことあそことの間の「差異」が一挙に露出する現象であるという点では共通しており、駅は、ここにいる者をあそこへと不意に連れ出す「想像力の奇跡的な飛躍」をもたらす装置である。……駅という特別な場所で達成される「謎めいた作用」こそ、この飛躍を簡明単純に表している。……作品の起源にある創造行為の輝きは、美術館という裸形の抽象空間のうちに置かれてこそ再活性化され、見る者の瞳の前に明らかになる。……美術館の壁から立ち上がってくるのも、「差異」としての裸形の創造行為である。』
やや唐突だが、プルーストの直感通り、駅が、想像力の飛躍装置となり、美術館の裸形の抽象空間に劣らず、芸術家の精神を剥き出しの姿で現出させるとすれば、神の創造物で、女神とも言える女性がそこに佇むと、その創造行為の輝きが、「駅の謎めいた作用」により再活性化するでしょう。
駅が舞台の映画では、女優が特に輝いて見えるのも、当然のように思えてきます。
本書では、映画の中で、駅を舞台にその煌きが印象的だった女優=女神たちを紹介し、神の創造行為の輝きを探り、駅の駅らしさとその本質を考えてみたいと思います。そのため、往年の名女優から新進女優まで、外国映画で五十六人、日本映画で二十四人の合計八十人の女優を採り上げます。魅力溢れるスクリーンの女神たちに彩られた、駅の様々な風景を楽しんで頂ければ幸甚です。

著者プロフィール

臼井幸彦  (ウスイユキヒコ)  (著/文

1944年福岡県生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業、同大学院工学研究科修士課程修了。京都大学博士(工学)。
1970年日本国有鉄道入社。1987年北海道旅客鉄道㈱入社、常務取締役開発事業本部長を経て、2007年札幌駅総合開発㈱社長。2010年同社会長。現在、多摩美術大学客員教授。
著書に『駅と街の造形』(交通新聞社)、『映画の中で出逢う「駅」』(集英社新書)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。