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沖縄戦を生きぬいた人びと
揺れる想いを語り合えるまでの70年
- 書店発売日
- 2017年6月19日
- 登録日
- 2017年5月2日
- 最終更新日
- 2017年6月14日
紹介
熾烈をきわめた沖縄戦体験者の証言記録は、これまでにも多く存在する。しかし、17年間、体験者と共に活動し、500名を超える人たちに寄り添いつつその声に耳を傾け続けた記録は、他にないのではないか。 本書の著者は、沖縄に生まれ育ち、自らも身内に沖縄戦の体験者をもつ臨床心理士で、自然のなりゆきのように沖縄戦を研究テーマとしてきた。 本書は、県内7地域で著者たちが創った「沖縄戦体験を語らう場」で、約10年間、837回開催された会の、2924時間に及ぶ音声記録の中から、一部をまとめて紹介したものである。 一対一の単なるインタビュー記録と異なるのは、ただ「語る」だけではなく、何十年もの時間をかけて体験を互いに「語り合う」ことが、人間の心にとっていかに大きな力をもたらすかを実感させる点である。 「戦争体験者」と言っても、その体験の内容は一人ひとりみな異なる。それは、大きな震災体験者と同じでもある。ただ、沖縄戦の体験者は、その多くが高齢となり、生の声を直接聴けなくなりつつある。本書は、膨大な資料の中のごく一部ではあるが、そうした生の声を長期間をかけて丹念に聴き取り、まとめた貴重な記録である。
目次
まえがき
この本の道案内
第一章 沖縄を知る
一、沖縄という地に漂うもの
二、沖縄戦
第二章 沖縄戦を伝える
一、沖縄戦を体験した人びとと研究をする
二、おじぃ・おばぁと共に「語らいの場」を地域に創る
第三章 「青春を奪われた」若者たちの物語―沖縄戦を生きた一〇代の本当の想い
一、この物語を読む前に
二、語らいの場に集う人びと
三、語らいの準備
四、生い立ちにふれる
五、当時のことを語り合う
六、この章のおわりに
第四章 「人を殺めたこと」を抱え生きた元兵士の物語
―戦世を生きるということ
一、照屋さんの歴史
二、照屋さんと共に語り合った人びと
三、語らいの準備
四、照屋さんの沖縄戦
五、語らいの中の照屋さん
六、ガマでの供養
七、この章のおわりに
第五章 「戦争に奪われたもの」を取り戻していった女性の物語
―六十余年心の奥に閉じ込めていた感懐
一、この物語を読む前に
二、ハルさんの歴史
三、語らいの場に集う人びと
四、語らいに参加することへの迷いと決断の時期
五、人と関わることへのチャレンジの時期
六、体験を語るか語らずにいるかの迷いの時期
七、安心して自分自身のことを語る体験と別れ
八、この章のおわりに
第六章 その生きざまを通して
一、語りのチカラ
二、「家族だからこそ話せない」こともある
三、これまで語らなかった方がなぜ語り始めたのか
四、遺された人びとの想い
五、沖縄戦の体験者は震災をどう見たのか
六、変わりゆく想いと変わらない想い
終章 沖縄の想いを伝える
一、執筆・活動を支えたもの
二、沖縄の想いを伝えることをめぐる葛藤
あとがき─心からの感謝を込めて
巻末資料1 文献
巻末資料2 沖縄戦体験者の調査研究を通して明らかになったこと
上記内容は本書刊行時のものです。