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出版者情報
粘菌 知性のはじまりとそのサイエンス
特徴から研究の歴史、動画撮影法、アート、人工知能への応用まで
- 書店発売日
- 2017年12月7日
- 登録日
- 2017年9月29日
- 最終更新日
- 2017年12月2日
紹介
「森のなかの美しい宝石のような生物である粘菌には、宇宙の大不思議が宿っている。
その粘菌が、いまや21世紀の知的探求の最前線に立とうとしている。
かつて我が南方熊楠は、粘菌のなかに生命現象の原基を見出そうとしたが、
現代の生物学は、さらに粘菌のなかに知性活動の原基を見出そうとしている。
この本は胸躍る粘菌研究の最前線から届けられた、こよなくチャーミングな報告書である。」
中沢新一氏 推薦!!
脳や神経をもたない単細胞生物でありながら、外的刺激に対して複雑な行動様式を示す粘菌(変形菌)。
その特異なふるまいは、コンピューターサイエンスや人工知能研究の黎明期から科学者たちを悩ませてきた
「単一始点最短経路問題」に最適な解を与えうる能力をもつことで注目を集めた。
この驚くべき生物が、どのようにして無数の色や形へと変身をとげるのか、
その体内でどのような化学反応がおき、多様な行動・判断を生み出しているのか、
その情報処理システムには、まだ多くの謎が残されている。
本書は、サイエンスドキュメンタリーフィルム『The Creeping Garden』の製作を通して、
2人の英国人がどのように研究を深めていったかを描き出す。
その過程で粘菌研究の歴史や、現在第一線で活躍する科学者たちの研究をふまえ、
粘菌を応用したコンピュータや人工知能、ウェアラブルデバイスなどの取り組みについても紹介。
巻末には、粘菌を活用した研究で2度のイグ・ノーベル賞を受賞した中垣俊之博士と、
現在日本の変形菌研究をリードする川上新一博士による対談も収録。
目次
はじめに ――ようこそ粘菌の世界へ
1 粘菌の真の正体を明らかにするために 映画『The Creeping Garden』の誕生
2 共同監督ティムとの出会い 映画の構想
3 粘菌との出会い キノコから粘菌へ
4 宇宙人の侵攻 テキサスに現れた謎の物体
5 粘菌を探し求めて 見つけるのも同定するのも難しい
6 粘菌研究の歴史 粘菌の映画、論文、標本採集
7 粘菌のライフサイクル 姿形を変えながら成長する粘菌の一生
8 粘菌の生育 自宅での育て方
9 粘菌の撮影方を考える 表現手段と伝達方法、タイムラプス撮影
10 粘菌と日本のつながり 昭和天皇と南方熊楠
11 粘菌と知性 モジホコリのネットワーク形成と問題解決
12 アートとサイエンス 科学とバイオアートが出会うとき
13 粘菌とコンピュータ 情報処理プロセッサとしての粘菌
14 知性とロボット 粘菌でロボットを動かす
15 粘菌に記憶能力はあるか 単細胞生物の記憶のメカニズム
16 粘菌の音楽 電子工学の見果てぬ夢とモジホコリの演奏
おわりに
映画『The Creeping Garden』制作秘話
中垣俊之×川上新一対談 粘菌研究の未来
参考文献
索引
上記内容は本書刊行時のものです。