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パンツを脱いだあの日からー日本という国で生きる
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年3月
- 書店発売日
- 2022年3月28日
- 登録日
- 2022年1月8日
- 最終更新日
- 2022年3月25日
紹介
「パンツを脱ぎなさい!」
番台のおばちゃんの声に反応した青年にとって、母国の文化や習慣、プライドが崩壊した瞬間であった。
しかし、同時に、生まれ変わった瞬間でもあった。
目次
まえがき
第1章 バングラデシュに生まれて
第2章 日本への旅立ち前夜
第3章 日本という国で生きる
第4章 日本の人たちと関わって
第5章 日本人のひとりとなって
第6章 日本とバングラデシュの架け橋へ
本書刊行に寄せて 吹田市長 後藤 圭二
あとがき 幸せの入り口屋 西亀 真
前書きなど
この本を手に取っていただきまして、ありがとうございます。
私はマホムッド・ジャケルといいます。バングラデシュ人です。
バングラデシュ、どんな国かご存知でしょうか。
よく言ってもらうのが、日本と国旗が似ているということです。
日本は日の丸、白地に赤い丸。バングラデシュは緑色に赤い丸です。
また、少し年配の方でしたら、日本赤軍による1977年の「ダッカ日航機ハイジャック事件」で知っている方もいるかもしれません。
ダッカは、バングラデシュの首都です。
しかし一番のイメージは、「最貧国」ということです。
実際、バングラデシュはとても貧しい国です。
私が子どもの頃ほどではありませんが、それでもいまもまだ貧しい国です。
そのため、第二次世界大戦の敗戦でどん底に落ちたはずなのに、わずかな期間で世界を代表する経済大国に発展した日本と日本人に、私をはじめバングラデシュ人たちは憧れを抱いています。
壊れにくい、質の高い、そんな日本の商品に心を躍らせた、親日の国です。
私は日本に憧れ、青年期までを過ごしたバングラデシュを発ち、外国人留学生として日本に渡りました。
当時、日本はちょうど外国人労働者が増えていた時代です。
まだお互い、異なる文化の理解には至っていませんでした。
バングラデシュ人の多くがイスラム教徒ですから、文化の違いには大いに戸惑いました。
「パンツを脱いだあの日から」
このタイトルには、その文化の違いがあらわれています。
まったく文化の違う日本で、ひとり孤独と戦いながら、なんとかアルバイトにしがみついてぎりぎりのところで生活を繋ぎとめていました。
そのときの葛藤と苦難は、はかり知れません。怒号が飛び、血が流れたこともあります。
ただそんな中で、「日本人の優しさ」と「日本人らしさ」に触れ、外国人労働者として働いていた私は、強烈に「日本人になりたい」と思うようになっていきます。
いま、日本は外国人労働者の受け入れや、出入国在留管理庁(当時の入国管理局)など、外国人に対してのさまざまなキーワードを耳にするようになりました。
外国人労働者である彼ら彼女たちは、どんな人生を抱えて、日本に来ているのか。
そしてどうして日本に憧れ、日本を選んできたのか。
私の半生を少しずつお話する中で、その「本当のところ」をお伝えできれば。
ひとりひとりの外国人労働者が抱えている母国の背景、考えていることを知っていただければ。
何より、そのことを通じて、日本とバングラデシュの架け橋になることができたなら。
こんなに嬉しいことはありません。
また、もうひとつ伝えたいことがあります。
私は日本語の読み書きはできますが、決して流暢ではありません。
しかしご縁をいただいてこうして日本語の書籍として出版することができました。
そこには、私の話したことを書き起こし、原稿にしてくださった西亀真さんの存在があります。
西亀さんは盲目です。目が見えません。
でもそのことを忘れるぐらい、ひとつひとつ丁寧に文章にしてくださいました。
この場で感謝申し上げます。
本当にありがとうございます。
2022年1月
マホムッド ジャケル
上記内容は本書刊行時のものです。