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出版者情報
神像彫刻重要資料集成 3 関西編二
- 書店発売日
- 2016年12月6日
- 登録日
- 2016年11月17日
- 最終更新日
- 2016年12月2日
紹介
全国の神像を都府県別に初集成。宗教文化の全体像をとらえるための画期的資料集。三重県、大阪府、奈良県、和歌山県の国宝9躯、重要文化財131躯を含む、全340躯収録。
【刊行にあたって】 伊東史朗(和歌山県立博物館長・京都国立博物館名誉館員)
神像彫刻は仏像にくらべ知られている作品数がはるかに少ない。国宝・重要文化財に指定されているものでいえば、仏像の二十パーセントに満たない。調査の困難さが主な理由ではあろうが、そのような状況が実態を反映しているといえないのは、一部地方において神像の調査が積極的に行われ、仏像に比肩しうる多くの作品が報告されていることからもよくわかる。全国的にも同様のことが予測される。したがって、仏像と同じような研究基盤を築くためには、国や地方の指定作品はもちろん、各地の調査活動により知られた作品をも入れて、その全貌を把握する作業が必要となる。
本企画は、そのような学界内の要望を踏まえ、国・地方指定の既知のものだけでなく、近年の調査により見出された作品をも含め、可能な限りその図版と基礎的データを集成し、あわせて斯界第一人者による論考を添えて、神像の調査と研究の現到達点を提供しようとするものである。
本書の刊行により、わが国の神像の美術史的変遷、技法と構造、地域的な特徴など、渋滞していた神像研究が飛躍的に進展し、仏像の研究とあい並んで、わが国の宗教文化の偏りない全体像が把握されることが期待されるとともに、神像が文化財として今以上に評価され、その保存に役立つことが望まれる。
【推薦のことば】 加藤隆久(生田神社名誉宮司・神戸女子大学名誉教授)
恵まれた自然環境の中で、日本人は自然と親和的な精神文化をはぐくんできた。その上に仏教を受容したので、江戸時代までは、いわゆる神仏習合が日本人の自然な信仰であった。日本人は清らかな心をもって神仏の加護を受けようと社寺を参拝してきた。明治初めに神仏判然令が出されたが、家庭には神棚と仏壇のあるのが一般的で、今も伝統的な地域や家庭では、そうした信仰が継承されている。
最近、神仏の加護のもとに西国の神社と寺院が協力して相互巡拝を推進し、神威仏光の高揚を図ると共に広く宗教や思想信条を超えて人心の平安と社会の安寧に資することを目的として、「神仏霊場会」が設立された。
そして今、仏教の影響を受けながら「神の御姿」として古来あまた造像されてきた神像についての研究が盛んになってきている。
仏像と異なり、神像は御神体として直接目にすることが出来ないことも多く、今まだ取り上げられる機会も少なかった。しかし近年は徐々に全国各地にまつられる御神像の調査研究も進み、この度「神像彫刻重要資料集成」として刊行されることになったという。
御神像という文化財を学術的に正確に把握し、研究成果を後世に伝えていこうとするもので、日本にはぐくまれてきた精神文化の諸相をたどるためにも、非常に意義深いものと思う。この画期的な資料集成を茲に強く推薦するものである。
上記内容は本書刊行時のものです。