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出版者情報
登録有形文化財
保存と活用から見える新たな地域の姿
- 書店発売日
- 2017年10月19日
- 登録日
- 2017年9月2日
- 最終更新日
- 2017年10月18日
書評掲載情報
2017-12-10 |
読売新聞
朝刊 評者: 奈良岡聰智(京都大学教授、政治史学者) |
2017-12-02 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
地域おこしの拠点としての役割も担う登録有形文化財、地域の歴史や文化と強く結びついた1万件を超える登録物件の多様性がそのまま多様な利用法に現れており、地方創生や観光資源の再発見に注目が集まっている。本書は、全貌を俯瞰するはじめての一般書であり、多様で奥深い世界へいざないその魅力を余すことなく伝える。
目次
はじめに
「登録有形文化財」を目にする機会
「世界遺産」へのアンチテーゼとして
この本が目指すもの──地域づくりへのアプローチ
第一部
第一章 登録有形文化財の多様性
生活に密着した施設──1.火の見櫓
生活に密着した施設──2.病院
生活に密着した施設──3.遊郭
地域のランドマーク──1.東京タワー
地域のランドマーク──2.大阪城
稀少価値の高い施設──1.国立天文台の観測施設
稀少価値の高い施設──2.広島の時報塔
稀少価値の高い施設──3.日清戦争の凱旋門
稀少価値の高い施設──4.清水港テルファー
稀少価値の高い施設──5.木馬、ラジオ塔、観覧車
第二章 登録有形文化財とは?
国の文化財制度
登録有形文化財の誕生
登録有形文化財の条件
登録までの道筋・手続き
登録有形文化財の証、緑のプレート
登録の記念式典に参加する
登録による優遇措置
登録有形文化財の都道府県別の登録状況
登録有形文化財の多い町少ない町
「件数」の数え方
そのほかの分類
登録有形文化財の一覧はどこに?
<コラム1>イギリスの登録文化財制度
第二部
第三章 文化財としての個人の住宅
「民家」というジャンル
筑後平野の至宝「多田家住宅」
信州・須坂の「田中本家」博物館
北方文化博物館となった新潟の豪邸
月に一度の公開 和泉の豪農 山田家住宅
各地に残る洋館
第四章 建築家たちの競演
白壁の街に建つ丹下健三作品
伊東忠太が建てた奇抜な建築
「関西建築界の父」武田五一
中部地方の武田作品
ヴォーリズの建築群 滋賀県に集中
滋賀県以外のヴォーリズ建築
<コラム2>メディアに登場する登録有形文化財
第五章 最大の特徴は「個性的」であること
戦争の歴史を背負う
特攻基地知覧の文化財
ハンセン病療養施設に残る文化財
地下にある文化財──横浜と神戸の水道施設
上高地にある山小屋と養魚施設
廃墟と美術館──二つの発電所の落差
県境で二県に分かれた保育園
水を等分に分ける
<コラム3>トイレの神様
第六章 有名施設・著名観光地を補完する建物群
出雲大社・嚴島神社・金刀比羅宮の裏に建つ宝物館
京都国立博物館に建つ収蔵庫
世界遺産仁和寺の御所
有名城郭に建つ登録有形文化財
下関の老舗料亭
<コラム4>世界遺産と登録有形文化財
第七章 今も発酵を続ける建物群──醸造王国にっぽん
世界に広がる醸造の文化と文化財
酒蔵の街、肥前浜
単独でほれぼれする蔵元
醤油や味噌は和食の基本
薬用酒とみりんの奥深い世界
酒造メーカーの文化活動
近代の醸造──ワインとビール
ビールを造る赤煉瓦──門司と半田
<コラム5>各都道府県の「登録第一号」
第八章 地域とともに生きる鉄道
銅を運んだわたらせ渓谷鐵道
登録有形文化財を前面に売り出す、天竜浜名湖鉄道
沿線人口が少ない若桜鉄道の試み
名駅舎の数々
無人駅から特急の停車駅へ
役目を終えた駅舎たち
圧巻の旧北陸線のトンネル群
最新の鉄道文化財──二〇一六年登録の千葉・小湊鐵道の戦略
駅ナカ婚活に駅ナカ寺院、北条鉄道の生き残り戦略
<コラム6>「登録有形文化財」の観光資源としての注目度
第九章 学び舎を保存する
木造校舎の想い出
学校の重要施設「奉安殿」
旧制中学の伝統を受け継ぐ現役の高校建築
埼玉・深谷に建つ「巍峨壮麗」の二階楼
校門のバラエティ
大学は登録文化財の宝庫──東京大学の建築物群
京都大学の多彩な建築群
旧帝大の登録文化財
キャンパスから遠く離れた施設
地方の国立大学の文化財
ユニークな校舎たち
幼稚園、保育園とそのほかの学園施設
<コラム7>学校に設けられた茶室
第十章 生糸を支えた建築群
日本の近代化を支えた蚕糸業
バラエティ豊かな養蚕農家
各地に残る製糸工場や製糸家の邸宅
繭や生糸にかかわる公的機関
絹織物の産地に残る遺構
蚕糸業に間接的にかかわっている施設
第十一章 宗教施設──神社仏閣教会のバラエティ
近江神宮と吉野神宮
二つの總持寺
新宗教の台頭
宗教団体が持つ教育の場
風変わりな寺院建造物
美しいキリスト教会群
長崎湾の入口に建つ教会
和風の礼拝堂
<コラム8>登録有形文化財の能舞台
第十二章 水と闘い水を利する──「水道」と「堰堤」
浄水場の施設群
岡山市の水道施設
バラエティに富む配水塔
農業用水のバラエティ
堰堤で水と闘う 日光の砂防堰堤群
<コラム9>文化財のアピールと情報提供のありかた
第十三章 著名人にゆかりのある建物群
樋口一葉と野上弥生子ゆかりの家
歌人・詩人ゆかりの四軒の家
実業家の旧宅
京都の誇る三人の住まい
織田信長の遺構
南方熊楠と宮沢賢治
鍵谷カナと磯崎眠亀──産業を興した人々
漢和辞典の泰斗、諸橋轍次が暮らした家
<コラム10>神谷家住宅と大正林道
第十四章 登録有形文化財に「泊まる」
日本三景を見る
外国人向けのホテルとして
ホテルへの転身、ホテルからの転身
秘湯ブームの申し子
再生して新しいタイプの宿に
見学ツアーを体験 伊豆修善寺・新井旅館
「町家」に泊まる
第三部
第十五章 街ぐるみで登録文化財を活用
先駆者茨城・真壁──一〇〇件を超す登録文化財から町ごと重伝建へ
青森・平川市──一集落に四〇軒の農家蔵が密集
小さな街に繁栄の名残──高知・奈半利町 醤油王国、小豆島
登録有形文化財を集めたテーマパーク
地味だけれどおもしろい四国村
琉球民家を集めて
第十六章 地域づくりの核として
リニューアルによって宿場町の核に──旧本庄商業銀行煉瓦倉庫
空き民家を活用する
尾道の空き家再生プロジェクト
登録有形文化財に住んで地域のお祭りを守る
東京五輪をにらんで
定期的にコンサートを開く
終章 登録有形文化財制度の課題と今後
毎年増加する一方、消滅・取り消しも多数
東日本大震災や熊本地震での甚大な被害
所有者の苦労と継承の課題
「登録有形文化財」を県単位で守る
重要伝統的建造物群保存地区などとの連携
ヘリテージ・マネージャーと歴史まちづくり法
修復への国からの支援
建造物から美術工芸品への拡大
おわりに
物件索引
上記内容は本書刊行時のものです。