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出版者情報
評伝ロバート・モーゼス
世界都市ニューヨークの創造主
- 書店発売日
- 2018年4月28日
- 登録日
- 2018年2月27日
- 最終更新日
- 2018年4月23日
書評掲載情報
2018-06-23 | 日本経済新聞 朝刊 |
2018-06-17 | 産經新聞 朝刊 |
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紹介
ジェイン・ジェイコブズの宿敵として知られる、“マスター・ビルダー”ロバート・モーゼス。
20世紀のニューヨークが生んだ稀代の能吏の評伝。
ジェイコブズとモーゼス、このふたりに共通しているのは、両者とも都市に暮らす生活者のために、より快適な都市を創造しようとしている点だ。
ジェイコブズが都市生活をこよなく愛したことはいまさら語る必要はないが、モーゼスもまた、都市の魅力を十分認識していて、都市の疲弊、郊外への人口流出を引き戻すために、都市のインフラをいっそう充実させることに注力したのである。(本文より)
「男性は女性よりも嫉妬心が強いといわれる。なぜか。それは男性が女性以上に権力を愛するからである。
ニューヨークを訪ねたものは誰もがパークウェイ、トライボロー・ブリッジ、ロングアイランドのジョーンズビーチ、そして国連本部、リンカーンセンター等を知っている。これらすべての実現に二〇世紀のニューヨークが生んだ稀代の能吏、ロバート・モーゼス(1888~1981)がかかわりあい、そのために当時の米国大統領、ニューヨーク知事、ニューヨーク市長らとの日本では想像できない熾烈な権力と欲望の闘争が常にその背後にあったのだ。もう一つの権力者に米国の代表的メディアを加えてもよいだろう。生涯、ノブレス・オブリージュの精神を貫いた彼は能吏としての目覚ましい台頭、そして黄金期、さらにジェイン・ジェイコブズとの闘いでの敗北、苦悩の晩年を送るが、しかし近年彼への再評価など、先の『ジェイコブズ対モーゼス』の訳者である渡邉泰彦氏がよどみなく彼の一生を語り続けた本である。
しかしジェイン・ジェイコブズが限りなく愛したロウワー・マンハッタンは顔のない新しい権力者、ネオリベラリズムに侵食され、大領領トランプとメディアの闘いも凄まじい。この本は二〇世紀のニューヨークを舞台にした物語であるが、同時に米国の政治、経済、社会の現在と未来への鏡であることに気がつく。物語は読みやすく、大きな米国に関心をもつ人々にとって必読の書であるといってよい。」――槇 文彦
目次
序章
1章 若きモーゼス
イエール、オックスフォード、コロンビア/州知事アル・スミスとの二人三脚/さまざまな改革の実行
2章 モーゼス大奮闘
一般市民に行楽地を/ロングアイランド州立公園局長、そして州公園評議会議長に就任/州務長官時代/アル・スミス、大統領選に大敗、州知事にはルーズベルト、市長には「洒落もの、ジェイムス」/ハレルヤ! モーゼス
3章 州につづいて市の公園事業も掌握
ラガーディア市長との微妙な蜜月/ニューヨーク市は財政破綻の危機―モーゼス流の解決法/セントラルパーク動物園新装開園―アル・スミスへの贈り物
4章 交通網整備
トライボロー・ブリッジ/FDRのモーゼス追放の陰謀/ヘンリー・ハドソン・ブリッジとウエストサイド美化事業
5章 黄金期
私企業のメリットと、行政権力を併せ持つパブリック・オーソリティ(公社)/そしてついにトンネル公社の実権も手中に/ラガーディア市長の死、腐敗政治の復活、そしてモーゼス「やり遂げるためには代価は当然/国連ビル誘致―モーゼスがいなければ国連本部はフィラデルフィアに
6章 マンハッタン都心部の青写真
マンハッタン横断自動車道/マスタープラン騒動
7章 住宅供給事業
スラム撤去とアーバン・リニューアル/スタイブサント・タウン&ピーター・クーパー・ビレッジ/タイトル1事業(その1)マンハッタンタウン/パークウエスト・ビレッジ事業スキャンダル/タイトル1事業(その2)リンカーンセンター
8章 モーゼスの苦悩
執拗な批判と追求/1964年ニューヨーク世界博覧会
9章 潰えた夢
リンゼイ市長そしてロックフェラー州知事/ロングアイランド海峡横断道路橋
10章 モーゼス再評価の動き
ロバート・カロ著「パワー・ブローカー:ロバート・モーゼスとニューヨークの衰退」/ロバート・モーゼスと近代都市:ニューヨークの変貌/公園建設とパークウェイ、巨大橋梁、トンネルを含めた高速道路網整備/住宅供給事業、スラム撤去と都市再生、PPP/人種差別/汚職、不正利得
終章
年表
あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。