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中世王権の音楽と儀礼 猪瀬千尋(著) - 笠間書院
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中世王権の音楽と儀礼

発行:笠間書院
A5判
452ページ
上製
価格 8,500円+税
ISBN
978-4-305-70893-9
Cコード
C0095
一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月
2018年2月
書店発売日
登録日
2018年2月21日
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紹介

音楽はどのような政治性と権力性を有していたのか

遊芸ではなく、有職故実に裏打ちされた高度な政治の一環として音楽を捉えなおし、果たした役割を明らかにする。
文学・歴史・芸能・美術史・建築史ほか、あらゆる視点から文献を読み解き、宮廷儀礼における音楽の実態を考察。変遷をたどり、中世音楽の全体史を示す。
唱導文献の読解により、王権を支えた音楽の宗教性も解明。
音楽がなぜ重要なのか、という根源的問題に迫る。

目次

【目次】

例言

序章 本書の課題と方法
 一 近代における音楽研究
 二 戦前文化史から戦後芸能史へ
 三 本書の課題
 四 各章の構成と本書の視座

第一部 歴史と権力

第一章 琵琶の時代の特質
 はじめに
 一 累代御物の成立
 二 累代楽器の特質
 三 秘曲伝授と累代楽器
 四 後醍醐天皇と累代楽器の紛失
 五 琵琶の時代と笙の時代
 六 中近世の名器と御遊
 結語

第二章 御楽の成立と展開
 はじめに
 一 御楽の成立まで
 二 御楽の成立
 三 後醍醐天皇における御楽
 四 御楽の展開
 五 御楽始と七夕御楽
 六 御楽の特質と背景
 結語

第三章 三ヶ夜内侍所御神楽をめぐって
 はじめに
 一 基礎文献の整理及び内侍所御神楽の分類
 二 寿永二年と延元元年の三箇夜内侍所御神楽
 三 秘曲「昼目」について
 四 『建武年中行事』の構想と後醍醐天皇の身体
 五 観応、文和の動向
 六 明徳、応永の三箇夜内侍所御神楽
 結語

第四章 歴史叙述における仮名の身体性と祝祭性─定家本系『安元御賀記』を初発として─
 はじめに
 一 「宮廷誌」論と「北山第行幸仮名記」
 二 舞御覧の特質
 三 仮名によって音(こえ)はおぎなわれる
 四 仮名は儀礼を祝祭し、日記の文脈を「語り」へと変える
 五 仮名は儀礼と儀礼とをつなぐ
 結語
 参考資料 「北山第行幸仮名記」(付『公種記』)

第二部 空間と身体

第五章 琵琶秘曲伝授儀礼の形成をめぐって
 はじめに
 一 藤原貞敏の事跡(九世紀)
 二 貞保親王と『南宮琵琶譜』(十世紀前半)
 三 桂流と西流および藤原忠実(十一世紀から十二世紀)
 四 藤原師長による儀礼の確立(十二世紀後半)
 五 天皇家への伝授(十三世紀前半)
 六 貞敏伝承の拡大
 七 唱導の中の秘曲伝授
 結語

第六章 啄木本譜外口伝について─『啄木調小巻物』をめぐって─
 はじめに
 一 『文机談』の本譜外口伝
 二 持明院統における本譜外口伝
 三 後醍醐と本譜外口伝
 四 久我兼親、隆淵による秘説の流出
 結語
 参考資料 宮内庁書陵部蔵伏見宮旧蔵『啄木調小巻物』

第七章 弁才天をめぐる造形と文芸
 はじめに
 一 儀軌と図様の四分類
 二 偽経類の形成
 三 中世における弁才天と文芸(世俗側)
 四 中世における弁才天と文芸(僧侶側)
 結語

第八章 妙音堂について─秘曲伝授儀礼の復元─
 はじめに
 一 秘曲伝授と妙音天の歴史
 二 秘曲伝授の本尊様式
 三 堂宇の復元と儀礼の再現
 四 秘曲伝授における本尊の生身性
 五 形骸化する秘曲伝授と西園寺家による妙音天信仰の再興
 結語

第九章 『妙音講式』について
 はじめに
 一 『妙音講式』概要
 二 次第と空間
 三 表白と伽陀
 四 第一段式文と尊格の同一化
 五 第二段式文と音楽の功徳
 六 第五段式文と講式の受容
 七 『妙音講式』の影響
 結語

第三部 言葉と宗教

第十章 中世前期における狂言綺語観の展開
 はじめに
 一 諸法実相論の展開
 二 澄憲「和歌政所結縁経表白」と『法華経』
 三 「依地蹶者還依地而起」と順縁、逆縁
 四 『柿本講式』と妄執の顕在化
 五 『月講式』と心における諸法実相論
 六 『音楽講式』と宿執
 結語

第十一章 禅寂作『月講式』について─東から西へ往く本尊─
 はじめに
 一 講式の構成
 二 本尊の重層性
 三 懺悔発露の式文と論理展開
 四 観想法の重層性
 五 『月講式』の意図するもの
 結語

第十二章 「宿執」について
 はじめに
 一 「宿」の側面
 二 「執」の側面
 三 諸道との重なり
 四 『古今著聞集』「宿執」編の解釈
 五 宿執と狂言綺語観
 結語

第十三章 音楽儀礼における狂言綺語観
 はじめに
 一 法楽としての音楽と「簫笛琴箜篌」の句
 二 『順次往生講式』にみえる諸法実相論
 三 信西による弥勒講と舞妓
 四 声としての狂言綺語観
 結語

第十四章 後白河院における声と儀礼
 はじめに
 一 研究史の整理と方法
 二 積まれる声
 三 夜/夢想/霊験の声
 四 参籠と法楽の声
 五 紡がれる声
 六 聖との結託と御自行
 七 追討の声、追善の声
 八 統合される声
 結語

終章 中世王権の音楽と儀礼
 一 宮廷音楽儀礼の特質
 二 後醍醐の身体と儀礼の再構築
 三 古典と王権
 四 内乱の余波と中世音楽の展開
 五 秘曲伝授の展開
 六 秘曲伝授と唱導、説話とのつながり
 七 音楽における宗教性の喪失

引用文献一覧
初出一覧
あとがき
索引(人名/書名・曲名・事項)

前書きなど

【本書は日本中世の王権の中で、音楽が果たした役割について考察したものである。音楽が持つ特質を権力性、身体性、宗教性の三点ととらえ、三つの特質が事象としてあらわれる場である儀礼を分析の中心とする。その考察の方法は、注釈と書誌学的分析にもとづいて、時代のものの見方に即した「読み」を提示する、日本文学研究において一般的な方法である。ただし扱う資料は、従来の文学作品の枠にとどまらず、仮名日記や漢文日記、故実書や唱導、図像や楽器についても視野におく。儀礼と儀礼を形づくる諸資料の分析を通して、文学--歴史--思想が連関する、音楽の文化的動態を解明することが本書の目的である。...序章より】

著者プロフィール

猪瀬千尋  (イノセ チヒロ)  (

1984年生。2013年名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。名古屋大学大学院文学研究科附属人類文化遺産テクスト学研究センター研究員。博士(文学)。
主要論文に「『古今著聞集』管絃部二六五話の福天神縁起について―ダキニ法と『刀自女経』をめぐって」(『説話文学研究』第52号、2016年9月)、「妓女におけるイメージの連関」(『日本文学』第66巻第7号、2016年7月)、「文治二年大原御幸と平家物語」(『中世文学』第61号、2015年6月)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。