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a:9:{s:12:"shoshi_title";s:65:"女性漢詩人 原采蘋(はらさいひん) 詩と生涯 ";s:11:"shoshi_isbn";s:17:"978-4-305-70845-8";s:16:"shoshi_publisher";N;s:11:"description";s:2565:"果たして彼女の内面では何を望み、何を後悔していたのだろうか。 時代の過渡期を生きた遊歴の女性漢詩人の、生涯と詩を再評価する。 寛政10年(1798)に九州秋月藩の儒者の娘として生まれ、生涯独身で日本各地を遊歴の漢詩人として旅を続けた原采蘋。儒教倫理の規制の中で、「漢詩人として成功せよ」との父の遺命を背負い、62年間その遺命に背くことなく漢詩人としての業績を上げることに精進した。 遊歴の日記を漢詩で綴ったが、残された詩には、自らの運命に対する恨み、悲しみが正直に書かれており、江戸時代後期に漢詩人として生きた女性の複雑な感情がにじみ出る。またそれは儒者の娘として一人の女性が学んだ知識の深さを改めて知ることが出来るものである。 「男子は徳有れば便(すなわ)ちこれ才、女子才なければ、便ちこれ徳」と一般的に考えられた時代に、采蘋のような女性が生きることは決して楽ではなかったはずである。時代の過渡期を彼女はどう生きたのか。その生涯と詩に再び光を当て、これまで定着していた「男装の女性漢詩人」という勇ましい采蘋像を更新した労作。 【サブタイトルを「孝と自我の狭間で」とした理由は、采蘋の生涯の中で「孝」と「自我」の問題は極めて重要な位置を占めると考えるからである。自立した漢詩人としての人生の選択は、采蘋の場合「孝」によるものであり、「自我」による選択ではなかったと私は考える。自立した女性漢詩人として時代を先駆けたとの評価を受けてはいるが、果たして彼女の内面では何を望み、何を後悔していたのだろうか。江戸時代の女性は表面的には自我を表に出さなかったが、内面での葛藤があったはずである。采蘋も詩や文章の中では本音を語っている。采蘋の「孝」と「自我」の問題はこれまであまり問題とされてこなかった。孝のために抑圧された采蘋の自我を詩集や日記の中から読み取り、これまで定着してきた「男装の女性漢詩人」という勇ましい采蘋像の後ろに見え隠れする女性らしい一面や、政治や経済に対する采蘋の経世家としての思想にも光を当てて考察して行きたい。】";s:6:"author";s:25:"小谷 喜久江(著/文)";s:10:"publishers";s:12:"笠間書院";s:9:"publisher";N;s:9:"productor";s:12:"笠間書院";s:12:"release_date";i:1498143600;}

女性漢詩人 原采蘋(はらさいひん) 詩と生涯 孝と自我の狭間で

文芸 ラノベ

小谷 喜久江(著)
発行:笠間書院

A5判   672頁  上製
価格 13,000円+税

ISBN 978-4-305-70845-8   C0095
在庫あり(出版社情報)

奥付の初版発行年月 2017年6月
書店発売日 2017年6月23日
登録日 2017年5月29日

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紹介

果たして彼女の内面では何を望み、何を後悔していたのだろうか。
時代の過渡期を生きた遊歴の女性漢詩人の、生涯と詩を再評価する。

寛政10年(1798)に九州秋月藩の儒者の娘として生まれ、生涯独身で日本各地を遊歴の漢詩人として旅を続けた原采蘋。儒教倫理の規制の中で、「漢詩人として成功せよ」との父の遺命を背負い、62年間その遺命に背くことなく漢詩人としての業績を上げることに精進した。
遊歴の日記を漢詩で綴ったが、残された詩には、自らの運命に対する恨み、悲しみが正直に書かれており、江戸時代後期に漢詩人として生きた女性の複雑な感情がにじみ出る。またそれは儒者の娘として一人の女性が学んだ知識の深さを改めて知ることが出来るものである。
「男子は徳有れば便(すなわ)ちこれ才、女子才なければ、便ちこれ徳」と一般的に考えられた時代に、采蘋のような女性が生きることは決して楽ではなかったはずである。時代の過渡期を彼女はどう生きたのか。その生涯と詩に再び光を当て、これまで定着していた「男装の女性漢詩人」という勇ましい采蘋像を更新した労作。

【サブタイトルを「孝と自我の狭間で」とした理由は、采蘋の生涯の中で「孝」と「自我」の問題は極めて重要な位置を占めると考えるからである。自立した漢詩人としての人生の選択は、采蘋の場合「孝」によるものであり、「自我」による選択ではなかったと私は考える。自立した女性漢詩人として時代を先駆けたとの評価を受けてはいるが、果たして彼女の内面では何を望み、何を後悔していたのだろうか。江戸時代の女性は表面的には自我を表に出さなかったが、内面での葛藤があったはずである。采蘋も詩や文章の中では本音を語っている。采蘋の「孝」と「自我」の問題はこれまであまり問題とされてこなかった。孝のために抑圧された采蘋の自我を詩集や日記の中から読み取り、これまで定着してきた「男装の女性漢詩人」という勇ましい采蘋像の後ろに見え隠れする女性らしい一面や、政治や経済に対する采蘋の経世家としての思想にも光を当てて考察して行きたい。】

目次

まえがき
凡例

序章 原采蘋研究の意図と視点
一 本書のねらい
二 先行研究について
三 研究の視点
四 各章の説明

第Ⅰ章 江戸詩風の変遷と地方詩壇の状況

第一節 江戸詩壇の変遷
一 古文辞派の終焉
二 江湖詩社の清新性霊説の受容
三 江湖詩社の活躍
四 菊池五山の『五山堂詩話』出版
第二節 長崎来航清国人との交流
一 草場珮川と長崎
二 市河寛斎と長崎
三 頼杏坪と長崎
四 頼山陽と長崎
五 梁川星巌・紅蘭と長崎
六 広瀬淡窓と長崎
七 田上菊舎と長崎
第三節 女性漢詩人の輩出
一 袁枚の影響
二 袁枚の女弟子と江戸の女弟子の違い
第四節 九州詩壇の動向―福岡藩と秋月藩を中心に―
一 福岡藩の藩学
二 秋月藩の藩学
三 寛政異学の禁の余波
四 九州詩壇の動向
五 亀井学と江戸詩壇

第Ⅱ章 原采蘋の少女時代

第一節 亀井少琴との交流
一 原家と亀井家
二 儒者の娘―采蘋の場合
三 儒者の娘―少琴の場合
四 采蘋と少琴―異なる人生の選択
第二節 父古処の願望
一 古処の手紙
第三節 秋月藩の政変
第四節 古処の国学傾倒
一 国学者による『源氏物語』の受容
二 中国白話小説の流行
三 国学者萩原広道の『源氏物語評釈』と白話小説の受容
四 原古処「讀源語五十四首」について
五 「讀源語五十四首」制作の時期と動機について
六 「讀源語雑詠十首」と「讀源語五十四首」について
七 江馬細香の「讀源語」詩について
八 「讀源語五十四首」
第五節 婚約の破談

第Ⅲ章 漢詩人としての修業時代

第一節 父母との遊歴
一 遊歴
二 父母との遊歴と采蘋の評判
第二節 漢詩人としての決意
第三節 佐賀・長崎における評判
第四節 初期の作品―自筆詩稿を巡って―
第五節 『有煒楼詩稿』について
第六節 采蘋の詩風
一 父の影響
二 李白の影響

第Ⅳ章 遊歴詩人としての出発

第一節 京都への旅
一 出郷の動機
二 別れの挨拶
三 諸葛亮孔明との比較
四 菅茶山との出会い
五 一年半の京都滞在と父の死
第二節 江戸への旅立ち
一 『東遊日記』について
二 『東遊日記』に見る中国地方の文人たちとの交流
三 『東遊日記』の旅程図
第三節 京都の再遊

第Ⅴ章 江戸での二十年間

第一節 江戸における交友関係
一 「原采蘋女子秘柬」にみる江戸到着時の状況
二 『金蘭簿』にみる交友関係
三 『有煒楼日記』にみる交友関係
四 『日間瑣事備忘』にみる広瀬旭荘との交流
第二節 羽倉簡堂との交流
一 『南汎録』を読む
二 羽倉簡堂の側室佐野氏の碑文を読む
第三節 江戸における采蘋の名声
一 天保期の『人名録』に見る采蘋の名声
二 文人間における采蘋の名声
三 江戸在住の本当の目的
第四節 江戸客中の詩と秋月藩への上書
一 江戸客中の詩
二 秋月藩への上書

第Ⅵ章 房総遊歴

第一節 幕末房総地方の文化的状況
一 采蘋の人脈
第二節 『東遊漫草』に見る房総文人との交流
一 江戸文人と房総文人との交流
二 『東遊漫草』について
三 『東遊漫草』の詩と訪問先
四 人名録について
五 旅程図
第三節 房総における采蘋の足跡

第Ⅶ章 帰郷

第一節 帰郷後の采蘋
一 幕末の山家の状況
二 「宜宜堂」の開塾
三 『戸原卯橘日記』に見る山家時代の采蘋
四 「宜宜堂」の門弟
第二節 肥薩遊歴
一 『西遊日歴』について
二 日記にみる肥薩遊歴出発の状況
三 『西遊日歴』の詩の内訳
四 『西遊日歴』の詩
五 島原滞在の詩
六 長崎に赴く
七 島原に戻る
八 天草島滞在中の詩
九 『漫遊日歴』について
十 肥薩遊歴の旅程図
第三節 最後の出郷
一 萩での二カ月
二 萩における終焉

終章

第一節 采蘋にとっての「孝」
一 父に対する孝心
二 母への孝養
三 父母兄弟の墓の整備
四 父の遺稿の上木
第二節 采蘋のジェンダー意識―采蘋遺文からの考察―
一 「爲阿源」にみるジェンダー意識
二 「讀南汎録」にみるジェンダー意識
三 貝原東軒への眼差し
四 『漫録』にみる政治への関心
五 上書にみる経済への関心
第三節 采蘋の自我意識
一 采蘋の恋愛にみる自我意識
二 馬関・広島での恋愛
三 駿府の石上氏との恋愛
第四節 漢詩人としての原采蘋
一 男性文人の評価
二 他の女性漢詩人との比較
三 近代への架け橋

原采蘋年譜
原家系図
初出一覧
あとがき

人名索引
書名索引

著者プロフィール

小谷 喜久江(コタニ キクエ)

1947年、千葉県南房総市生まれ。1970年、法政大学文学部英文学科卒業。2003年、豪州 Macquarie University MASTER OF ARTS WITH HONOURS 修士号取得。2013年、日本大学大学院総合社会情報研究科博士課程修了、博士号取得(総合社会情報)。
著書に『江戸期おんな表現者事典』(現代書館、2015年2月、共著)。主要論文に「江戸後期における武家女性の生き方―女子教育の面からの一考察―」(修士論文)、「袁枚の隨園女弟子の実態と江戸漢詩壇に及ぼした影響」(『国際文化表現研究』第9号、2013年3月)、「原采蘋の政治的関心―采蘋遺文を題材にして―」(『国際文化表現研究』第11号、2015年3月)。「遊歴の漢詩人原采蘋の生涯と詩―孝と自我の狭間で―」(博士論文)。

上記内容は本書刊行時のものです。