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能・狂言の誕生
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年1月
- 書店発売日
- 2017年1月17日
- 登録日
- 2016年12月19日
- 最終更新日
- 2017年1月18日
書評掲載情報
2017-06-23 |
週刊読書人
3195号 評者: 田口章子氏 |
2017-05-20 |
図書新聞
3303号 評者: 有澤晶子[東洋大学文学部教授] |
2017-02-12 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
能、狂言誕生の秘密に
大陸へのアプローチから迫る!
日本人が世界に誇ることのできる能は、室町時代の応安七年 (一三七四)、観阿弥が京都・新熊野(いまくまの)神社境内で演じた 「白髭(しらひげ)の曲舞(くせまい)」 で産声をあげた。
未だ解決をみない《能はいつどこで、だれの手によって誕生したのか》という疑問に答えるため、中国大陸からの影響を中心に追究。
東アジアを研究してきた著者の比較芸能史研究の集大成!
目次
はじめに
Ⅰ 能・狂言研究史
1 誕生の過程が分かっていない能
誕生の過程が分かっていない能
能と狂言の成立についてこれまでに何があきらかにされているか
従来説への八つの疑問
Ⅱ 日本の中世文化
2 東アジア社会と連動した中世文化
大陸の大動乱で東アジア社会の古代が終わり日本の中世が始まった
中世は精神文化革新の時代
Ⅲ 大陸芸能と能・狂言
3 能と追儺(ついな)
能誕生の母胎--大儺(たいな)と修正会・修二会--
後戸(うしろど)の芸能と摩多羅神
悪鬼払いから亡霊追善へ
中国の亡霊追善劇
伝来した目連伝説と地蔵・観音信仰
4 能面と大陸仮面
仮面の分布と制作者
仮面の本質
中国仮面劇の伝来
中国の仮面劇の発展
朝鮮の仮面劇の発展
能面と中韓仮面の比較
5 能・狂言・複式夢幻能
能と狂言の組合せ
祭祀と芸能の分業形態
複式夢幻能の中入り
6 五から三へ
翁猿楽の由来
表 「日本の主要来訪神一覧」
白と黒の対比
能の五番構成
五から三へ
7 猿楽の身分
中国楽戸(がくこ)と日本楽戸
Ⅳ 能の誕生
8 能の誕生と誕生地
能の誕生--「白髭の曲舞(くせまい)」--
現行 「白髭」 と 「白髭の曲舞」
上演の場所の今熊野とはどこか
新(いま)熊野神社の能興行
9 曲舞と能
猿楽を変えた曲舞
巫女神楽・白拍子・曲舞・猿楽能
10 観世座の能楽界制覇
近江・丹波猿楽への挑戦--能楽界戦国乱世の終焉--
能楽界の制覇
Ⅴ 日本文化の象徴
11 日本文化の象徴としての能・狂言
日本人の多神信仰
変身装置としての依代(よりしろ)--小屋・舞台--
仮面と化粧
切きりの鬼能
能の演技--物狂い--
能の足遣い--舞と踊り--
呼吸と気
狂言の笑い
日本文化の象徴、 能・狂言
主要参考文献
あとがき
前書きなど
日本の伝統芸能でも、 歌舞伎や文楽など、 近世に成立した芸能が、 いつ、 どこで、 だれによって誕生させられたか、 すでにあきらかになり、 事典類に定説として記述されている。 それに対し、 中世に誕生した能や狂言は誕生の過程があきらかになっていない。
この最大の理由は、 鎖国政策をとった近世には、 幕末期まで、 海外からの文化の衝撃波が日本列島に打ち寄せたという事実がなかったのに対し、 中世は、 中国大陸からの影響が甚大であって、 大陸文化の影響を考えることなしに、 中世誕生の日本文化の本質を見極めることはできないからである。
明治以来、 能楽の研究には、 すぐれた才能が輩出し、 その精度は、 日本各分野の芸能研究史と比較しても突出している。 にもかかわらず、 肝心かなめの能の誕生を解明できなかったのは、 中国大陸芸能の影響という視点が、 能楽研究の先達たちに欠けていたからである。
上記内容は本書刊行時のものです。