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頓阿 小林 大輔(著) - 笠間書院
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頓阿 (トンナ)

文芸
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発行:笠間書院
四六判
122ページ
並製
定価 1,200円+税
ISBN
978-4-305-70631-7   COPY
ISBN 13
9784305706317   COPY
ISBN 10h
4-305-70631-8   COPY
ISBN 10
4305706318   COPY
出版者記号
305   COPY
Cコード
C0092  
0:一般 0:単行本 92:日本文学詩歌
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2012年2月
書店発売日
登録日
2012年1月18日
最終更新日
2012年2月6日
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紹介

うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の、頓阿です。

和歌四天王と呼ばれ、伝統と新しさを兼ね合わせるすぐれた和歌を作り出すことができた歌僧。

頓阿 とんな
とんあ、ともいう。鎌倉時代末期から南北朝時代初期にかけて活躍した歌僧。定家・為家の子孫である二条為世の教えを受け、兼好や慶運らとともに為世門下の和歌四天王の一人に数えられた。二条家の歌学は、貴族だけにとどまらず幅広い階層に受容されていくが、その普及を担ったのが四天王らの地下歌人であり、とりわけ頓阿は多大な役割を果たした。正統の二条家歌学は、為世の子孫ではなく、頓阿を経て後世の歌人たちに受け継がれていったのである。家集『草庵集』『続草庵集』、歌学書『井蛙抄』『愚問賢註』を残す。その和歌は明晰にしてスマート、室町時代以降の多くの歌人たちが見習うべき手本とした。

目次

01 あらたまの春立つ今日の朝日影匂へる山は霞み初めつつ
02 玉島やいく瀬の淀に霞むらん川上遠し春の曙
03 鶯の声よりほかは誘はるる人こそなけれ軒の梅が香
04 影映す岩垣淵の玉柳深くなりゆく春の色かな
05 見るままにさざ波高くなりにけり花咲きぬらし沖つ嶋山
06 立ちならぶ花の盛りや谷陰に古りぬる松も人に知られん
07 初瀬山桜に白む尾上よりおくれて明くる鐘の音かな
08 山里は訪はれし庭も跡たえて散り敷く花に春風ぞ吹く
09 世の中はかくこそありけれ花盛り山風吹きて春雨ぞ降る
10 咲きにけり八十宇治川の波間より見ゆる小島の山吹の花
11 さらでだに月かとまがふ卯の花を露もて磨く玉川の里
12 いづくにか今宵鳴くらん郭公月も里分く群雲の空
13 濡れつつや宗我の河原の五月雨に水のみかさの真菅刈るらん
14 宮城野の木の下闇に飛ぶ蛍露にまさりて影ぞ乱るる
15 立ち返り明日も来てみむ石間行く音も涼しき水の白波
16 行く水の淵瀬ならねど飛鳥風昨日にかはる秋は来にけり
17 いつよりか天の川瀬に渡しけん年に一夜の夢の浮橋
18 草も木も露けき秋のならひとや心なき身に袖の濡るらん
19 落ちたぎつ玉と見るまで滝の上の浅野の露に秋風ぞ吹く
20 足引の遠山鳥のはつ尾花ひとり寝る夜の手枕にせん
21 霧深き峰飛び越えて麓なる稲葉の雲に雁は来にけり
22 昔だに憂き世のほかと見し月の影を深山になるる秋かな
23 ふくる夜の川音ながら山城の美豆野の里に澄める月影
24 月宿る沢田の面に伏す鴫の氷より立つ明け方の空
25 秋の夜は誰待ち恋ひて大伴の御津の泊まりに衣打つらん
26 宇津の山越えしや夢になりはてん垣穂の蔦の色に出でずは
27 冬の夜の閨の板間は明けやらでいくたびとなく降る時雨かな
28 夕暮れは憂かりし秋の風の音を枯れ葉に残す庭の荻原
29 さゆる夜の月の宿かる夏実川氷りもはてず山陰にして
30 和歌の浦に跡をとめずは浜千鳥何につけてか名を残さまし
31 霜氷る朝けの窓の竹の葉に霰くだくる音の寒けさ
32 今朝はまだ人の行き来の跡もなし夜の間の霜の真間の継橋
33 野も山も定かに見えてむばたまの闇のうつつに降れる白雪
34 はし鷹の初狩衣露分けて馴らはぬ恋に濡るる袖かな
35 よそながら馴るるにつけてなかなかに思ふ心を漏らしかねつつ
36 名にし負はばただ一言を言ふまでのしるべともなれ葛城の神
37 待ちわびて今宵も明けぬ鳥の音の憂きを別れとなに思ひけん
38 おのづから枕ばかりをかはしまの水の心はなほぞ知られぬ
39 憂かりける人の契りの浅茅原なびくと見れば秋風ぞ吹く
40 朽ち残る蘆間の小舟いつまでか障るに託つ契りなりけん
41 風越や谷に夕ゐる白雲の中にぞ落つる木曽の山川
42 何事を見きとかいはん数ならで我が身五十路に武隈の松
43 煙だに跡なき海人の藻塩草またかきおくをあはれとぞ見る
44 樒摘む山路暮れぬと急ぐかな我が住む方の鐘の響きに
45 雲居まで聞こえけるかな和歌の浦の蘆辺の鶴の音にも立てぬを
46 武蔵野を分け来し駒の幾日経て今日紫の庭に出づらん
47 雁の来る朝けの霧に峰越えて思ひ尽きせぬ旅の空かな
48 思へただ常なき風に誘はれし嘆きのもとは言の葉もなし
49 かはらじなむなしき空の夕月夜また有明に移りゆくとも
50 夜も憂しねたく我が背子はては来ずなほざりにだにしばし訪ひませ
歌人略伝
略年譜
解説「「歌ことば」のプロフェッショナル」(小林大輔)
読書案内
【付録エッセイ】『玉葉』『風雅』の叙景歌の功績、頓阿の歌(風巻景次郎)

著者プロフィール

小林 大輔  (コバヤシ ダイスケ)  (

1969年静岡県生。早稲田大学大学院満期退学。現在 早稲田大学本庄高等学院教諭。
主要著書『歌論歌学集成 第十巻』(共著、三弥井書店)『草庵集/兼好法師集/浄弁集/慶運集』(共著、明治書院)『ビギナーズクラシックス 日本の古典 新古今和歌集』(角川学芸出版)

上記内容は本書刊行時のものです。