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柿本人麻呂 高松 寿夫(著) - 笠間書院
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柿本人麻呂 (カキノモトノヒトマロ)

文芸
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発行:笠間書院
四六判
124ページ
並製
定価 1,200円+税
ISBN
978-4-305-70601-0   COPY
ISBN 13
9784305706010   COPY
ISBN 10h
4-305-70601-6   COPY
ISBN 10
4305706016   COPY
出版者記号
305   COPY
Cコード
C0092  
0:一般 0:単行本 92:日本文学詩歌
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年3月
書店発売日
登録日
2011年3月8日
最終更新日
2011年4月7日
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書評掲載情報

2013-02-24 日本経済新聞
2011-03-27 毎日新聞
2011-03-27 日本経済新聞
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紹介

うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の第2回配本、柿本人麻呂です。

人麻呂は、古代的呪術の世界から覚醒していた歌人だ、と私は考えているーー佐佐木幸綱

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)
七世紀末、持統天皇の時代を中心に活躍した万葉集を代表する宮廷歌人。天皇の行幸を賛美したり、皇子(みこ)皇女(ひめみこ)の死を悼む挽歌を詠作するなど、律令制が確立していく過程での集団の感情を、大地に根ざした古代性と近代的理性とを合わせ持つ感性によってスケール大きくうたいあげる。また、妻との生別・死別なども作品化することで、個人的な抒情にも卓越した技量を示す。その名を冠する人麻呂歌集も和歌確立期の種々の様相をうかがわせ興味深い。後世、山部赤人(やまべのあかひと)と並ぶ歌聖として崇(あが)められ、伝説的歌人となった。

目次

01 玉だすき畝傍の山の/橿原の聖の御世ゆ/生れましし神のことごと/樛の木のいや継ぎ継ぎに/天の下知らしめししを/空に満つ大和を置きて/あをによし奈良山を越え/いかさまに思ほしめせか/天ざかる鄙にはあれど/岩走る近江の国の/楽浪の大津の宮に/天の下知らしめしけむ/すめろきの神の命の/大宮はここと聞けども/大殿はここと言へども/春草の茂く生ひたる/霞立つ春日の霧れる/もももしきの大宮所見れば悲しも
02 楽浪の滋賀の唐崎さきくあれど大宮人の船待ちかねつ
03 やすみしし我が大君/神ながら神さびせすと/吉野川たぎつ河内に/高殿を高知りまして、/上り立ち国見をせせば/たたなはる青垣山/山神の奉る御調と/春へには花かざし持ち/秋立てば黄葉かざせり/行き沿ふ川の神も/大御食に仕へまつると/上つ瀬に鵜川を立ち/下つ瀬に小網さし渡す/山川も寄りて仕ふる/神の御代かも
04 くしろつく手節の崎に今日もかも大宮人の玉藻刈るらむ
05 やすみしし我が大君/高照らす日の皇子/神ながら神さびせすと/太敷かす都を置きて/こもりくの初瀬の山は/真木立つ荒山道を/岩が根さへき押し靡べ/坂鳥の朝越えまして/玉かぎる夕さり来れば/み雪降る安騎の大野に/旗すすき篠を押し靡べ/草枕旅宿りせす/古昔思ひて
06 東の野には炎たつ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ
07 大君は神にしませば天雲の雷の上に廬せるかも
08 やすみしし我が大君/高光る我が日の皇子の/馬並めて御狩立たせる/若薦を路の小野に/猪鹿こそばい這ひ拝め/鶉こそい這ひもとほれ/猪鹿じものい這ひ拝み/鶉なすい這ひもとほり/かしこみと仕へまつりて/ひさかたの天見るごとく/まそ鏡仰ぎて見れど/春草のいやめづらしき/我が大君かも
09 玉藻刈る敏馬を過ぎて夏草の野島が崎に船近づきぬ
10 淡路の野島が崎の浜風に妹が結びし紐吹きかへす
11 矢釣山木立も見えず降りまがふ雪にさわける朝楽しも
12 もののふの八十宇治川の網代木にいさよふ波の行方知らずも
13 近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ
14 大君の遠の朝廷とあり通ふ島門を見れば神代し思ほゆ
15 石見の海角の浦みを/浦なしと人こそ見らめ/潟なしと人こそ見らめ/よしゑやし浦はなくとも/よしゑやし潟はなくとも/鯨魚とり海辺をさして/和多豆の荒磯の上に/か青く生ふる玉藻沖つ藻/朝はふる風こそ寄せめ/夕はふる波こそ来寄れ/波のむたか寄りかく寄り/玉藻なす寄り寝し妹を/露霜の置きてし来れば/この道の八十隈ごとに/よろづたびかへりみすれど/いや遠に里は離りぬ/いや高に山も越え来ぬ/夏草の思ひしなえて/しのふらむ妹が門見む/靡けこの山
16 篠の葉はみ山もさやに乱るとも我は妹思ふ別れ来ぬれば
17 古へにありけむ人もわがごとか妹に恋ひつつ寝ねかてずけむ
18 夏野ゆく牡鹿の角の束の間も妹が心を忘れて念へや
19 天地のはじめの時/ひさかたの天の川原に/八百万千万神の/神集ひ集ひいまして/神はかりはかりし時に/天照らす日女の命/天をば知らしめすと/葦原の瑞穂の国を/天地のよりあひの極み/知らしめす神の命と/天雲の八重かき分けて/神下しいませまつりし/高照らす日の皇子は/飛ぶ鳥の浄御の宮に/神ながら太敷きまして/すめろきの敷きます国と/天の原岩戸を開き/神上がり上がりいましぬ/わが大君皇子の命の/天の下知らしめしせば/春花の貴くあらむと/望月のたたはしけぶむと/天の下四方の人の/大船の思ひ頼みて/天つ水仰ぎて待つに/いかさまに思ほしめせか/つれもなき真弓の岡に/宮柱太敷きいまし/み甍を高知りまして/朝言にみ言問はさず/日月の数多くなりぬれ/そこゆゑに皇子の宮人/行方知らずも
20 飛ぶ鳥の明日香の川の/上つ瀬に石橋渡し/下つ瀬に打橋渡す/石橋に生ひ靡ける/玉藻をぞ絶ゆれば生ふる/打橋に生ひををれる/川藻もぞ枯るればはゆる/なにしかもわが大君の/立たせば玉藻のもころ/臥やせば川藻のごとく/靡かひのよろしき君が/朝宮を忘れたまふや/夕宮を背きたまふや/うつそみと思ひし時に/春へには花折りかざし/秋立てば黄葉かざし/敷き妙の袖たづさはり/鏡なす見れども飽かず/望月のいやめづらしみ/思ほしし君とときどき/いでまして遊びたまひし/御食向かふ城上の宮を/常宮と定めたまひて/あじさはふ目言も絶えぬ/しかれかもあやに悲しみ/ぬえ鳥の片恋夫/朝鳥の通はす君が/夏草の思ひしなえて/夕星のか行きかく行き/大船のたゆたふ見れば/なぐさもる心もあらず/そこゆゑにせむすべ知れや/音のみも名のみも絶えず/天地のいや遠長く/しのひゆかむ御名にかかせる/明日香川万代までに/はしきやしわが大君の/形見にここを
21 ............/鶏が鳴く東の国の/御軍を召したまひて/ちはやぶる人を和せと/まつろはぬ国を治めと/皇子ながらよさしたまへば/大御身に太刀とりはかし/大御手に弓とり持たし/御軍をあどもひたまひ/ととのふる鼓の音は/雷の声と聞くまで/吹きなせる小角の音も/敵見たる虎か吼ゆると/もろ人の怯ゆるまでに/ささげたる旗のなびきは/冬こもり春さり来れば/野ごとにつきてある火の/風のむた靡くがごとく/とり持てる弭のさわき/み雪降る冬の林に/つむじかもい巻きわたると/思ふまで聞きのかしこく/ひき放つ矢のしげけく/大雪の乱れ来たれ/まつろはずたち向かひしも/露霜の消なば消ぬべく/ゆく鳥のあらそふはしに/渡会の斎の宮ゆ/神風にい吹きまとはし/天雲を日の目も見せず/常闇におほひたまひて/定めてし瑞穂の国を/神ながら太敷きまして/............
22 天飛ぶや軽の道は/吾妹子が里にしあれば/ねもころに見まくほしけど/止まず行かば人目を多み/まねく行かば人知りぬべみ/さね葛後も逢はむと/大船の思ひ頼みて/たまかぎる岩垣淵の/こもりのみ恋ひつつあるに/渡る日の暮れぬるがごと/照る月の雲隠るごと/沖つ藻の靡きし妹は/黄葉の過ぎて去にきと/玉梓の使の言へば/梓弓音のみ聞きて/言はむすべせむすべ知らに/音のみを聞きてありえねば/わが恋ふる千重の一重も/なぐさもる心もありやと/吾妹子が止まず出で見し/軽の市にわが立ち聞けば/玉だすき畝傍の山に/鳴く鳥の声も聞こえず/玉桙の道行く人も/ひとりだに似てし行かねば/すべをなみ妹が名呼びて/袖ぞ振りつる
23 去年見てし秋の月夜は照らせどもあひ見し妹はいや年さかる
24 秋山のしたへる妹/なよ竹のとをよる子らは/いかさまに思ひをれか/たく縄の長き命を/露こそは朝に置きて/夕べには消ゆといへ/霧こそは夕べに立ちて/朝には失すといへ/梓弓音聞く吾も/おほに見しこと悔しきを/しき妙の手枕巻きて/剣太刀身にそへ寝けむ/若草のその夫の子は/さぶしみか思ひて寝らむ/悔しみか思ひ恋ふらむ/時ならず過ぎにし子らが/朝露のごと夕霧のごと
25 玉藻よし讃岐の国は/国からか見れども飽かぬ/神からかここだ貴き/天地ゐ日月とともに/足りゆかむ神のみ面に/つぎ来たる中の水門ゆ/船浮けてわが漕ぎ来れば/時つ風雲居に吹くに/沖見ればとゐ波立ち/辺見れば白波さわく/鯨魚とり海を恐み/行く船の楫ひき折りて/をちこちの島は多けど/なぐはし狭岑の島の/荒磯面に廬りて見れば/波の音のしげき浜辺を/しき妙の枕になして/荒床にころ伏す君が/家知らば行きても告げむ/妻知らば来も問はましを/玉鉾の道だに知らず/待ちか恋ふらむ/はしき妻らは
26 山の際ゆ出雲の子らは霧なれや吉野の山の嶺にたなびく
27 鴨山の岩根しまける吾をかも知らにと妹が待ちつつあるらむ
28 天の海に雲の波たち月の船星の林に漕ぎ隠る見ゆ
29 穴師川川浪たちぬ巻向の弓月が岳に雲ゐ立てるらし
30 わたつみの持てる白玉見まくほり千度ぞ告りし潜きする海人
31 とこしへに夏冬ゆけや裘扇はなたぬ山に住む人
32 黄葉の過ぎにし子らと携はり遊びし磯を見れば悲しも
33 ひさかたの天の香具山この夕べ霞たなびく春立つらしも
34 天の川去年の渡りで移ろへば川瀬を踏むに夜ぞ更けにける
35 愛くしとわが思ふ妹ははやも死なぬか/生けりとも我に寄るべしと人の言はなくに
36 白妙の袖をはつはつ見しからにかかる恋をも我はするかも
37 春柳葛城山に立つ雲の立ちても居ても妹をしぞ思ふ
38 わが背子が朝明の姿よく見ずて今日の間を恋ひ暮らすかも
39 葦原の瑞穂の国は/神ながら言挙げせぬ国/しかれども言挙げぞ吾がする/事幸くま幸くませと/つつみなく幸くいまさば/荒磯波ありても見むと/百重波千重波にしき/言挙げす吾は/言挙げす吾は
40 ほのぼのと明石の浦の朝霧に島隠れゆく船をしぞ思ふ
41 我妹子の寝くたれ髪を猿沢の池の玉藻と見るぞ悲しき
歌人略伝
略年譜
解説「和歌文学草創期の大成者 柿本人麻呂」(高松寿夫)
読書案内
【付録エッセイ】詩と自然--人麻呂ノート1(抄)(佐佐木幸綱)

著者プロフィール

高松 寿夫  (タカマツ ヒサオ)  (

* 1966年長野県上田市生。
* 早稲田大学大学院中退。
* 現在 早稲田大学教授。博士(文学)(早稲田大学)
* 主要編著
『古代和歌 万葉集入門』(トランスアート)
『上代和歌史の研究』(新典社)
『日本古代文学と白居易-王朝文学の生成と東アジア文化交流』(共編、勉誠出版)

上記内容は本書刊行時のものです。