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源氏物語 東アジア文化の受容から創造へ
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2012年3月
- 書店発売日
- 2012年4月2日
- 登録日
- 2012年3月13日
- 最終更新日
- 2012年4月2日
紹介
源氏物語は東アジア文学や文化をいかに受容し、
独自の文学世界を創造したか--
源氏物語や仏教説話には、同時代の新しい東アジアの文学・文化が浸透している。漢籍や仏典、宮中行事、儀式書をよりどころとして、東アジアの影響を受けた当時の知識や教養、制度や慣習の中において物語を読み解くとともに、東アジアの視点から日本古典文学の達成を理解する。
【本書で「東アジア」と銘打った理由は、漢籍や仏典が前近代において東アジアの共通の文化であったという意味だけではなく、源氏物語やここに取り上げた物語や仏教説話はその時代の中国、韓国の文学や文化を、日本の文学がいわば同時代の世界の新しい文学や文化として意識しつつ受容し咀嚼して、それに倣い、それを越える創作に腐心したのであろうと考えるからである。それらはその時代における中国・韓国の文学や文化の潮流を意識した文学の創出であったろうという意味であり、平安文学は東アジアの文学として共通する文学的な主題を取り上げていたという側面を押さえておくべきであろうと考える。それは大局的にいえば前近代の日本文学が多かれ少なかれ有した一面でもあったのであり、古典文学を東アジアの視点から見直すことで、日本文学の達成を客観的にまた相対的に理解することにも繋がるであろうと考える。】
……「まえがき」より
目次
まえがき/凡例
Ⅰ 漢籍・仏典の注釈世界から
第一章 光源氏の物語と『尚書』―注釈史における儒教的言説と物語の方法―
第二章 「帚木」巻の「諷諭」の物語から「蛍」巻の物語論へ―『白氏文集』諷諭詩を媒介として―
第三章 明石の君の物語と『鶯鶯伝』―「明石」巻の光源氏と明石の君との出会いと別れを中心に―
第四章 按察使大納言の遺言と明石入道の「夢」―明石一門の物語の始発と終結―
第五章 光源氏の出家と『過去現在因果経』
Ⅱ宮中行事の世界
第六章 源氏物語の年中行事―朝賀・男踏歌・追儺―
第七章 「蛍」巻の騎射と打毬
第八章 源氏物語の音楽―宮中と貴族の生活の中の音楽―
第九章 源氏物語の政治と経済―桐壺帝・朱雀帝・冷泉帝の治世と光源氏の経済―
第十章 平安文学作品に現れた宮内省の職と諸寮―大膳職・木工寮・大炊寮・主殿寮・典薬寮・掃部寮―
Ⅲ 東アジア文化圏における文学の伝流
第十一章 平安文学における『本事詩』の受容について―徐徳言条・崔護条を例として―
第十二章 仏教説話の日韓比較―道成寺・源信の母・役小角を中心に―
第十三章 中将姫説話と『観無量寿経』の韋提希夫人―『大唐西域記』『三国遺事』の説話と関わらせて―
第十四章 「二河白道」の文化―『観無量寿経』に淵源する文学と仏教民俗―
Ⅳ 人と学問
一 阿部秋生
二 深澤三千男
初出一覧/あとがき/索引
上記内容は本書刊行時のものです。