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絆の音楽性 スティーヴン マロック(著/文) - 音楽之友社
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絆の音楽性 つながりの基盤を求めて

発行:音楽之友社
B5判
656ページ
定価 16,000円+税
ISBN
9784276139091
Cコード
C1011
教養 単行本 心理(学)
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2018年2月2日
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紹介

本書の原著者マロックは、トレヴァーセンが録り貯めた母子相互作用の音源から、音声分析の手法によって「コミュニカティヴ・ミュージカリティ(絆の音楽性)」という心理学上の概念を創出した。マロックが注目した26秒のやりとりのなかで、母子は規則正しいパルスを共同生成し、その音声を注意深く同期もしくは交代させながら、優雅なナラティヴを形成した。そして、このような共同生成は、人が経験しうる多くの事象に潜んでいる。本書は、人のコミュニケーションのなかに存在する、生まれながらの音楽性の生物学的ないし心理学的な起源や、発達、癒しの機能について、さまざまな研究分野から考察する全27の論考より構成されている。全体は5部に分けられ、第1部は音楽性の起源と精神生物学、第2部は乳児期における音楽性、第3部は音楽性と癒し、第4部は子どもの学びにおける音楽性、第5部は演奏行為における音楽性を扱う。執筆者の所属はイングランド、スコットランドのほか、フランス、ポルトガル、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、スイス、ドイツ、ギリシャ、アメリカ、オーストラリア、と欧米各国に及ぶ。それぞれが各分野において独創的かつ学際的視点で研究を積み上げてきた研究者であり、音楽の喜びが生まれた直後から備わる人間特有の才能であり、集団の文化的意味の創造や言語の発明とその効果的利用にとって基本的重要性を持つという認識を共有している。原著、原論文発表以来、「コミュニカティヴ・ミュージカリティ」は多くの研究者の共感を得て、発達心理学のみならず、文化人類学や言語学、脳科学、神経科学、周産期精神医学、小児精神保健学、PTSD/被虐待児音楽療法、音楽療法論、障害児教育、舞踊学、教室談話、教育法、即興、時間生物学、演奏行為論など、さまざまな学問領域でその検証、敷衍が展開されてきた。本書はその視界を一望するもので、翻訳が待たれていた。

目次

日本語版の翻訳に寄せて=トレヴァーセンとマロック(根ケ山光一訳)
訳者まえがき=根ケ山光一
原著者の所属と経歴/凡例
第1章 音楽性:生きることの生気と意味の交流(マロックとトレヴァーセン/今川訳)
第1部 音楽性の起源と精神生物学[序文](マロックとトレヴァーセン/根ケ山訳)
第2章 根,葉,花,または幹:音楽の起源と適応的機能について(エレン・ディサナーヤカ/根ケ山訳)
第3章 音楽と人間形成―認知記号論の視点から(創造的仮説の探求)(ペール・オーエ・ブラント/小川容子訳)
第4章 ヒトの固有性に関する儀礼的基盤(ビョルン・マーカー/高田明訳)
第5章 音楽の進化:理論,定義,エビデンスの性質(イアン・クロスとイアン・モーリー/渡辺久子・香取奈穂訳)
第6章 音楽的表現におけるタウ(デイヴィデッド・N.リーとベンジャマン・シェーグラー/蒲谷訳)
第7章 音楽における情動の神経科学(ヤーク・パンクセップとコルウィン・トレヴァーセン/福山寛志訳)
第8章 脳と音楽,そして音楽性:神経画像法からの推論(ロバート・ターナーとアンドレアス・A. イオアニデス/源健宏訳)
第2部 乳児期における音楽性[序文](マロックとトレヴァーセン/志村訳)
第9章 乳児のリズム:音楽的コンパニオンシップの表現(カタリナ・マゾコパキとジャニス・クジュムザキス/坂井康子訳)
第10章 情動と意味を共有する声:スコットランドと日本における幼い乳児とその母親(ニキ・パワーズとコルウィン・トレヴァーセン/岸本健訳)
第11章 乳児の発達における「音楽」と「遊び歌」:解釈(パトリシア・エッケダールとビョルン・マーカー/山本寿子訳)
第12章 早期のトリオ:乳児間の意味の発生における音と動きのパターン(ベンジャミン・S.ブラッドリー/石島このみ訳)
第13章 対乳児発話と会話関与の音楽性における母親のうつの影響(ヘレン・マーウィックとリン・マレー/麦谷綾子訳)
第14章 帰属の即興的音楽性:母子音声相互作用における反復と変奏(マヤ・グラティエとジゼル・アプター=ダノン/嶋田容子訳)
第3部 音楽性と癒し[序文](マロックとトレヴァーセン/羽石英里訳)
第15章 紛争中・紛争後の地域の子ども達のための音楽:精神生物学的アプローチ(ナイジェル・オズボーン/沼田里衣・渡部基信訳)
第16章 コミュニカティヴ・ミュージカリティとコラボレイティヴ・ミュージキングのはざまで:コミュニティ音楽療法からの展望(メルセデス・パヴリチェヴィックとゲイリー・アンスデル/沼田里衣訳)
第17章 マインドフルネスと意味の発達を支えること:性的虐待を受けた児童対象の音楽療法における臨床的手法(ジャクリン・ロバーツ/岡崎香奈訳)
第18章 踊るという人間の本性:美的コミュニティ理論に向けて(カレン・ボンド/田原ゆみ訳)
第19章 音楽における療法的対話:自閉症スペクトラムとレット症候群の子どもにおけるコミュニケーションとしての音楽性を育む(トニー・ウィグラムとコハヴィト・エレファント/羽石英里訳)
第4部 子どもの学びにおける音楽性[序文]マロックとトレヴァーセン(今川恭子訳)
第20章 話すことと聴くことにおける音楽性:学びの環境としての教室談話の鍵(フレデリック・エリクソン/市川恵訳)
第21章 子どもの音楽性と音楽学習にみる自発性(ニコラス・バナンとシェイラ・ウッドワード/早川倫子・今川訳)
第22章 音楽と舞踏の基礎的実存経験としての生気:音楽指導への適用(シャーロット・フレーリッヒ/長井覚子訳)
第23章 即興的な音楽パフォーマンスにおける親密性と相互性:成人アーティストと幼児から教育学的に学ぶこと(ロリ・A.クストデロ/伊原小百合訳)
第5部 演奏行為における音楽性[序文](マロックとトレヴァーセン/丸山訳)
第24章 音楽に揺さぶられる身体:儀式上の儀礼と一体化した時間芸術(エレン・ディサナーヤカ/丸山訳)
第25章 音楽リズムに関する時間生物学に向けて(ナイジェル・オズボーン/山原麻紀子・丸山訳)
第26章 音楽的なコミュニケーション:演奏における身体の動き(ジェーン・デイヴィッドソンとスティーヴン・マロック/村上康子・丸山・今川訳)
第27章 創造的参加としてのコミュニカティヴ・ミュージカリティ:乳幼児期から高度な演奏まで(ヘレナ・マリア・ロドリゲス、パウロ・マリア・ロドリゲスとホセ・サルガド・コレイア/石川眞佐江訳)
参考資料:アタッチメント(愛着)/アフォーダンス/一般タウ理論と近年の音楽学研究/音声分析と音声情報/間主観性/コンパニオンシップ/生気、生気情動と自己感/内発的動機パルス/内分泌および神経伝達物質/ナラティヴ/乳児の音声コミュニケーションとその発達/脳地図――本書に登場する脳の各部位について/浮動する意図性/身振り(ジェスチャー)/ミュージシャンシップとミュージキング/モダリティ
訳者あとがき=今川恭子/索引/訳者紹介

著者プロフィール

スティーヴン マロック  (スティーヴン マロック)  (著/文

Stephen Malloch:ヴァイオリニストとして教育を受けたのち、音楽理論と音楽分析を学び、近年ではノンバーバル・コミュニケーションにおける音楽性に関する心理学研究の主軸を置く。西シドニー大学聴覚研究所研究員。

コルウィン トレヴァーセン  (コルウィン トレヴァーセン)  (著/文

Colwyn Trevarthen:エディンバラ大学児童心理学および精神生物学名誉教授。ハーヴァード大学認知研究センターでジェローム・ブルーナーに師事し、乳児研究を開始。研究分野は神経心理学、脳の発達、乳児のコミュニケーション、子どもの学習と情動的健康、と多岐にわたる。[原書刊行時の情報に基づく]

根ケ山 光一  (ネガヤマ ネガヤマコウイチ)  (翻訳

早稲田大学人間科学学術院教授(発達行動学)

今川 恭子  (イマガワ キョウコ)  (翻訳

聖心女子大学教育学部教授(音楽教育学、音楽学)

上記内容は本書刊行時のものです。