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働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」 川添愛(著/文) - 朝日出版社
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働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」 (ハタラキタクナイイタチトコトバガワカルロボット ジンコウチノウカラカンガエルヒトトコトバ)

コンピュータ
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発行:朝日出版社
A5判
272ページ
定価 1,700円+税
ISBN
978-4-255-01003-8   COPY
ISBN 13
9784255010038   COPY
ISBN 10h
4-255-01003-X   COPY
ISBN 10
425501003X   COPY
出版者記号
255   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2017年6月6日
最終更新日
2017年6月6日
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書評掲載情報

2017-08-20 毎日新聞  朝刊
評者: 内田麻理香(サイエンスライター)
2017-07-30 読売新聞  朝刊
評者: 伊藤亜紗(東京工業大学准教授、美学者)
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紹介

なぜAIは、囲碁に勝てるのに、簡単な文がわからないの?

そもそも、言葉がわかるって、どういうこと?
中高生から大人まで「言葉を扱う機械」のしくみと、私たちの「わかり方」を考える。

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「つまり、僕らはロボットにしてほしいことを言うだけで、あとはロボットが勝手にやってくれる。それが一番いいってことだね」
「いいね。そうすれば、誰も働かなくてよくなるね」
イタチたちはみなこの計画にうっとりして、なんてすてきなのだろうと思いました。
(序章「ことの始まり」より)
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なんでも言うことを聞いてくれるロボットを作ることにしたイタチ村のイタチたち。彼らは、「言葉がわかる機械ができたらしい」といううわさを聞いては、フクロウ村やアリ村や、その他のあちこちの村へ、それがどのようなものかを見に行きます。ところが、どのロボットも「言葉の意味」を理解していないようなのです――

この本では、「言葉がわかる機械」をめぐるイタチたちの物語と、
実際の「言葉を扱う人工知能」のやさしい解説を通して、
そうした機械が「意味がわかっていると言えるのか」を考えていきます。

はたして、イタチたちは何でもできるロボットを完成させ、ひだりうちわで暮らせるようになるのでしょうか?

ロボットだけでなく、時に私たち人間も、言葉の理解に失敗することがありますが、なぜ、「言葉を理解すること」は、簡単なように見えて、難しいのでしょうか?

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――いま、さまざまな人がさまざまな機会に、「言葉を理解する機械がとうとう完成した」とか「今はできていないけれど、もうすぐできるだろう」とか「機械には本当の意味で言葉を理解することはできない」ということを言っています。いったいどれが正しいのでしょうか?
――私たちは普段から、「あの人が何を言っているかが理解できた」とか「あの言葉の意味が分からない」ということをよく口にします。しかし、自分がそう言うとき、どんな意味で言っているか、きちんと意識しているでしょうか? 実際のところ、私たちはさまざまなことを、「言葉が分かる」という便利な表現の中に放り込んでしまっています。それらを一つひとつ取り出してみないことには、「言葉が分かっているかどうか」という問題に答えを出すことはできません。
――この本では、「言葉が分かる」という言葉の意味を考えていくことで、機械のこと、そして人間である私たち自身のことを探っていきたいと思います。
――(問題の一部を知るだけでも)みなさんが、「人と機械の知性」について考えたり、またご自身の「言葉の使い方」や「理解の仕方」を振り返ったりする手がかりになると信じています。
(序章「ことの始まり」より)
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目次

[目次]
第1 章 言葉が聞き取れること
音声と音素
機械による音声認識と、機械の「お勉強」
人間による「聞き取り」の習得
人と同じようにしないとダメ?

第2 章 おしゃべりができること
チューリング・テスト
「会話をする機械」の現状
ぼんやりしたやりとり、ぼんやりした理解
「真偽が問われる」レベルでの言語理解

第3 章 質問に正しく答えること
質問に答える機械
「言葉の世界」の中だけでの「理解」

第4 章 言葉と外の世界を関係づけられること
機械が画像を「認識する」
深層学習の基本を少しだけ
画像・動画の「表現力」の限界
外界の情報と「文の真偽」との関係

第5 章 文と文との論理的な関係が分かること(その一)
論理って何?
推論と意味理解
「論理的に考える」ことのじゃまになるもの
機械による論理的な判断:含意関係認識

第6 章 文と文との論理的な関係が分かること(その二)
文を推論パターンに当てはめる
文と文の類似度を手掛かりにする

第7 章 単語の意味についての知識を持っていること
「全部教えたらいいじゃない」
意味に関する知識の自動獲得
単語の意味は、周辺の単語で決まるのか?
句や文をベクトル化する

第8 章 話し手の意図を推測すること
意味と意図
曖昧性の解消
会話的含み
意図を伝えることの難しさ

終章 その後のイタチたち
「何でもできるロボット」の難しさ
では、私たち人間は?

あとがき
註と参考文献

著者プロフィール

川添愛  (カワゾエアイ)  (著/文

1996年九州大学文学部文学科卒業(言語学専攻)。2005年同大学大学院にて博士号(文学)取得。
2002 ~2008年、国立情報学研究所研究員。2008~2011年、津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授。
2012~2016年、国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授。専門は言語学、自然言語処理。
著書に『白と黒のとびら――オートマトンと形式言語をめぐる冒険』(東京大学出版会、2013年)、
『精霊の箱――チューリングマシンをめぐる冒険(上・下)』( 東京大学出版会、2016年)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。