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出版者情報
戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇
- 書店発売日
- 2017年7月7日
- 登録日
- 2017年5月25日
- 最終更新日
- 2017年7月4日
書評掲載情報
2017-10-01 |
朝日新聞
朝刊 評者: 保阪正康(評論家) |
2017-08-27 | 毎日新聞 朝刊 |
2017-08-20 |
読売新聞
朝刊 評者: 稲泉連(ノンフィクションライター) |
2017-08-13 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 成田龍一(日本女子大学教授) |
2017-07-29 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
いま最も注目されるノンフィクション作家・堀川惠子の最新作。本作でも博物館の倉庫に眠っていた遺品の発掘により、戦前戦中戦後の演劇史を書き換える。広島で被爆した劇団員たち。難を逃れた演出家は、投下四日後に現地へ赴き、仲間たちの安否に奔走する。その目に映った惨状を膨大なメモに残していた。名優・丸山定夫、女優・園井惠子、劇作家・三好十郎、演出家・八田元夫―築地小劇場からはじまった新劇と昭和の演劇史。
いま最も注目されるノンフィクション作家・堀川惠子の最新作。本作でも博物館の倉庫に眠っていた遺品の発掘により、戦前戦中戦後の演劇史を書き換える。
8月6日、内務省から派遣されていた移動劇団「桜隊」の9人が被爆し、5人は爆心地そばの宿舎で即死、4人は広島では一命をとりとめたが、2週間後には全員避難先で死亡した。昭和演劇史でも有名な桜隊の受難である。
劇団の座長の丸山定夫は、戦前に一世を風靡した名優であった。築地小劇場で腕を磨き、映画、ラジオと引っ張りだこだったが、舞台の魅力が捨てがたく、戦時中にもかかわらず新劇団を立ち上げ、統制された中でも活動を続けた。内務省に命じられた疎開先に広島を選んだことが運命の分かれ道となった。
映画より先の昭和17年、文学座で客演した『富島松五郎伝』(映画では、「無法松の一生」)で、杉村春子を相手に演劇史上に残る名演を残した。
丸山には、弾圧の嵐が吹く演劇界で二人の盟友がいた。劇作家の三好十郎、演出家の八田元夫である。治安維持法により一年も勾留された八田。検閲を乗り越え、当局が許すギリギリの線で脚本を書き続けるく三好。三人は命を賭けて日本の演劇を守ろうとした。
今回、早稲田演劇博物館に所蔵されていた未整理の八田の遺品は、メモ魔といわれた演出家が、仕事、生活そして8月6日の被爆を聞き、仲間の救出のため広島で行った活動の詳細を残していた。その資料による8月10日からの2週間の被災地描写は、これまでの原爆を描いたどんな作品をも圧倒する。
目次
序 章 ある演出家の遺品
第一章 青春の築地小劇場
第二章 弾圧が始まった
第三章 イデオロギーの嵐
第四章 拷問、放浪、亡命
第五章 新劇壊滅
第六章 「苦楽座」結成
第七章 彰子と禾門
第八章 眠れる獅子
第九章 戦禍の東京で
第十章 広島
第十一章 終わらない戦争
第十二章 骨肉に食い込む広島
終 章 そして手紙が遺された
上記内容は本書刊行時のものです。