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出版者情報
レモンケーキの独特なさびしさ
発行:KADOKAWA
四六判
352ページ
定価
2,200円+税
- 書店発売日
- 2016年5月26日
- 登録日
- 2016年4月27日
- 最終更新日
- 2016年5月17日
書評掲載情報
2016-09-04 | 読売新聞 朝刊 |
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紹介
「種明かしをするわけにはいかないので、ここではただ、この本を書いているあいだ、感じやすい(sensitiveである)とはどういうことかについてたくさん考えていた、とだけいっておきましょう」――エイミー・ベンダー
9歳の誕生日、母がはりきって作ってくれたレモンケーキを一切れ食べた瞬間、ローズは説明のつかない奇妙な味を感じた。不在、飢え、渦、空しさ。それは認めたくない母の感情、母の内側にあるもの。
以来、食べるとそれを作った人の感情がたちまち分かる能力を得たローズ。魔法のような、けれど恐ろしくもあるその才能を誰にも言うことなく――中学生の兄ジョゼフとそのただ一人の友人、ジョージを除いて――ローズは成長してゆく。母の秘密に気づき、父の無関心さを知り、兄が世界から遠ざかってゆくような危うさを感じながら。
やがて兄の失踪をきっかけに、ローズは自分の忌々しい才能の秘密を知ることになる。家族を結び付ける、予想外の、世界が揺らいでしまうような秘密を。
生のひりつくような痛みと美しさを描く、愛と喪失と希望の物語。
上記内容は本書刊行時のものです。